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高校
コンクール、引退、そして音大を受験する
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高校最後の夏のコンクールが終わった。
コンクールの成績発表(金賞銀賞銅賞)は、吹奏楽連盟の人が出演順に結果を発表する。このときは本当に緊張する。発表者の口元に集中してしまう。
そんな中緊張のとき、私が考えていたのは「良い賞が獲れますますように」というよりは「良い賞を取らなければ、指揮者のS先輩のこれまでの指導が否定されてしまう。それだけは嫌」だった。S先輩に反発している部員に目にもの言わせたかった。
そして私たちの成績が発表された。目標としていた成績だった。本当にうれしかった。「あぁこれでS先輩の指導が正しかったと証明できた」から嬉しかった。
****
そしてコンクール後、部活を引退した。副部長などの役割を後輩に引き継いだ。
これまでS先輩と私との繋がりが消えてしまう。
いやだ。
これまで私のポジションだった場所に後輩が取って代わり、S先輩と談笑している。
いやだ。
****
高校三年生ということで受験も控えるのだが、一般の大学ではなく、クラリネットで音大を受験することにした。
高校2年の後半から考えていたことだったが、勉強に全く身が入らず、テスト前にやる気が出て「ここで巻き返してやる」と意気込んでも結果は散々だった。
普段からちゃんと勉強していないのだから当たり前のことで、ショックと言うことすら憚られるが。やっぱりショックで。でもクラリネットは得意だから自尊心は(いびつながら)保てた。
当時の自分の中では「音楽が好き。ずっとこれからもクラリネットでたくさんの人に演奏を聴いてもらいたい」と思ったから音大を目指した。
けれど今振り返れば、音大というS先輩と同じ道にいくこと、目指すことでS先輩との繋がりを多少なりとも保てること。それが隠した本当の目的だったんだろう。
****
音大を目指したりという行動力はあるくせに、告白をすることはできなかった。
部活に勤しんでいたころは、特別な親密さを、私はもちろんS先輩だって感じていたはず。なのに私が引退するとあの親密さは嘘のよう。
そう、引退したから当たり前。でもそうじゃないと信じたかった。
ここで告白でもして、妄想ではなく現実として何かコトが進んでいればと思う。意気地なしめ。
つづく~
コンクールの成績発表(金賞銀賞銅賞)は、吹奏楽連盟の人が出演順に結果を発表する。このときは本当に緊張する。発表者の口元に集中してしまう。
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そして私たちの成績が発表された。目標としていた成績だった。本当にうれしかった。「あぁこれでS先輩の指導が正しかったと証明できた」から嬉しかった。
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そしてコンクール後、部活を引退した。副部長などの役割を後輩に引き継いだ。
これまでS先輩と私との繋がりが消えてしまう。
いやだ。
これまで私のポジションだった場所に後輩が取って代わり、S先輩と談笑している。
いやだ。
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高校三年生ということで受験も控えるのだが、一般の大学ではなく、クラリネットで音大を受験することにした。
高校2年の後半から考えていたことだったが、勉強に全く身が入らず、テスト前にやる気が出て「ここで巻き返してやる」と意気込んでも結果は散々だった。
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当時の自分の中では「音楽が好き。ずっとこれからもクラリネットでたくさんの人に演奏を聴いてもらいたい」と思ったから音大を目指した。
けれど今振り返れば、音大というS先輩と同じ道にいくこと、目指すことでS先輩との繋がりを多少なりとも保てること。それが隠した本当の目的だったんだろう。
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音大を目指したりという行動力はあるくせに、告白をすることはできなかった。
部活に勤しんでいたころは、特別な親密さを、私はもちろんS先輩だって感じていたはず。なのに私が引退するとあの親密さは嘘のよう。
そう、引退したから当たり前。でもそうじゃないと信じたかった。
ここで告白でもして、妄想ではなく現実として何かコトが進んでいればと思う。意気地なしめ。
つづく~
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