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高校

指揮者との出会い

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高校二年生となり、夏のコンクールが終わると三年生の先輩が引退した。
そして副部長とクラリネットのパートリーダーになった。
勉強もせずに吹奏楽部に時間を貢ぎ、1年生の時よりも吹奏楽への依存がより強固になった。副部長やパートリーダーという、責任感という名のバッチリの言い訳もゲット。

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そしてこの時期、指揮者が変わった。
それまで外部講師だった指揮者の都合が悪くなり、ちょくちょく練習を見に来てくれていたOBの先輩が指揮者になった。
この指揮者をS先輩とする。
S先輩はトロンボーンのプロを目指す音大生だった。

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高校生の私にはとても大人びて見えて、かっこよかった。
吹奏楽部の男性にありがちな(本当にごめんね)、部内ではモテるが外ではイマイチではなく、S先輩は部内はもちろん外でもモテるタイプだった。

顔も整っていて目は大きめ。自信家で、たまに見せる「俺はダメだ」はきゅんとする。モテる人だった。
実際、高校の頃も部活外の彼女がいて、そして大学では同じ大学の彼女がいた頃もあれば、バイト先に彼女がいた頃もあると聞いていた。

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S先輩のかっこよさや、そして指揮者はそもそも目立ち部員の話題の中心になりやすいこと、私を頼りにしているという励まし。などなど。

もうどれがキッカケとは特定できないほどのキッカケがあり、私は指揮者であるS先輩のことを好きになった。

一生に一度の大恋愛になると思った。
実際のところ、あれほど精神的に参ってしまう恋愛はそれ以降していないし、したくもないので、ある意味一生に一度の大恋愛だった。

考えても仕方ないけど、もしS先輩に出会わなければ、私はどんな人生だったんだろう。



つづく~
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