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中学

コンクールメンバーに選ばれなかった腹いせに

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野球でいうところの夏の甲子園が、吹奏楽だと夏から秋にかけての吹奏楽コンクール。

出場にあたってはいくつかルールがあるが、1団体につき50名(中学校の部の場合)までしか出演できない。
人数の少ない吹奏楽部だと三年生、二年生、そして春に楽器を始めたばかりの一年生も投入されることがある。私の入った吹奏楽部は三年生と二年生をメインに、足りない楽器は一年生からも数人選ばれている。

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私はちょっと期待していたんです。こんなに練習をしているんだからコンクールメンバーに一年生ながら選ばれるんじゃないかと。
しかし、選ばれなかった。クラリネットはそもそも3年生と2年生の先輩たちだけで足りているし、人数が足りていてもなお出したいというほどの技術なんて私には到底無かった。

一年生でコンクールに出たのは、打楽器パートから2人だった。打楽器は人数の必要なパートで、今の私なら納得できる。
でも当時は悔しかった。全然私より練習してないくせに。

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コンクール当日。

私含めコンクールメンバーではない一年生は、打楽器を運ぶ手伝いになった。
出演順になったら舞台へ打楽器を運び、演奏が終われば運び出しトラックへ。そしてすぐさま電車に乗り、学校へ戻りトラックを待つ。トラックが来たら荷物を降ろし、部室へ入れる。

夏なので暑い。部室は二階で、重い打楽器を数人で一緒に持ちながら階段で運ぶのもしんどい。そして打楽器はどこ持って運んでも良いというものではなく、デリケートなもの。でも運び慣れないから、持ってはいけないパーツを持ってしまい、先輩にきつく注意されるのだ。

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そんなしんどい運搬が終わり、夜になり少し涼んで休憩しているとき。コンクールメンバーになった一年生の打楽器の子としゃべった。

同じ小学校出身で、そこまで親しくはなくとも気軽に話せる関係だったと思う。その子と小学校や、その後の中学二年三年としゃべっているはずなのに、大人になったいま、何をその子と話したかは覚えていない。

けれど、この休憩時に何を話したかだけは今でも鮮明に覚えている。

私は
「吹奏楽部なのに打楽器って吹かないよね」
と言った。

だからなんなんだーーーー!!
という話なんだけど。

これはコンクールメンバーになれた同級生への、私なりの腹いせだった。
腹いせとしてはしょぼすぎるのが泣きたい。
おまえのかあちゃん~~レベル。泣きたい。

コンクールメンバーにもなれない、そしてその悔しさの表現がしょぼすぎる、初めての夏のコンクールでした。

つづく
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