2 / 18
中学
コンクールメンバーに選ばれなかった腹いせに
しおりを挟む
野球でいうところの夏の甲子園が、吹奏楽だと夏から秋にかけての吹奏楽コンクール。
出場にあたってはいくつかルールがあるが、1団体につき50名(中学校の部の場合)までしか出演できない。
人数の少ない吹奏楽部だと三年生、二年生、そして春に楽器を始めたばかりの一年生も投入されることがある。私の入った吹奏楽部は三年生と二年生をメインに、足りない楽器は一年生からも数人選ばれている。
****
私はちょっと期待していたんです。こんなに練習をしているんだからコンクールメンバーに一年生ながら選ばれるんじゃないかと。
しかし、選ばれなかった。クラリネットはそもそも3年生と2年生の先輩たちだけで足りているし、人数が足りていてもなお出したいというほどの技術なんて私には到底無かった。
一年生でコンクールに出たのは、打楽器パートから2人だった。打楽器は人数の必要なパートで、今の私なら納得できる。
でも当時は悔しかった。全然私より練習してないくせに。
****
コンクール当日。
私含めコンクールメンバーではない一年生は、打楽器を運ぶ手伝いになった。
出演順になったら舞台へ打楽器を運び、演奏が終われば運び出しトラックへ。そしてすぐさま電車に乗り、学校へ戻りトラックを待つ。トラックが来たら荷物を降ろし、部室へ入れる。
夏なので暑い。部室は二階で、重い打楽器を数人で一緒に持ちながら階段で運ぶのもしんどい。そして打楽器はどこ持って運んでも良いというものではなく、デリケートなもの。でも運び慣れないから、持ってはいけないパーツを持ってしまい、先輩にきつく注意されるのだ。
****
そんなしんどい運搬が終わり、夜になり少し涼んで休憩しているとき。コンクールメンバーになった一年生の打楽器の子としゃべった。
同じ小学校出身で、そこまで親しくはなくとも気軽に話せる関係だったと思う。その子と小学校や、その後の中学二年三年としゃべっているはずなのに、大人になったいま、何をその子と話したかは覚えていない。
けれど、この休憩時に何を話したかだけは今でも鮮明に覚えている。
私は
「吹奏楽部なのに打楽器って吹かないよね」
と言った。
だからなんなんだーーーー!!
という話なんだけど。
これはコンクールメンバーになれた同級生への、私なりの腹いせだった。
腹いせとしてはしょぼすぎるのが泣きたい。
おまえのかあちゃん~~レベル。泣きたい。
コンクールメンバーにもなれない、そしてその悔しさの表現がしょぼすぎる、初めての夏のコンクールでした。
つづく
出場にあたってはいくつかルールがあるが、1団体につき50名(中学校の部の場合)までしか出演できない。
人数の少ない吹奏楽部だと三年生、二年生、そして春に楽器を始めたばかりの一年生も投入されることがある。私の入った吹奏楽部は三年生と二年生をメインに、足りない楽器は一年生からも数人選ばれている。
****
私はちょっと期待していたんです。こんなに練習をしているんだからコンクールメンバーに一年生ながら選ばれるんじゃないかと。
しかし、選ばれなかった。クラリネットはそもそも3年生と2年生の先輩たちだけで足りているし、人数が足りていてもなお出したいというほどの技術なんて私には到底無かった。
一年生でコンクールに出たのは、打楽器パートから2人だった。打楽器は人数の必要なパートで、今の私なら納得できる。
でも当時は悔しかった。全然私より練習してないくせに。
****
コンクール当日。
私含めコンクールメンバーではない一年生は、打楽器を運ぶ手伝いになった。
出演順になったら舞台へ打楽器を運び、演奏が終われば運び出しトラックへ。そしてすぐさま電車に乗り、学校へ戻りトラックを待つ。トラックが来たら荷物を降ろし、部室へ入れる。
夏なので暑い。部室は二階で、重い打楽器を数人で一緒に持ちながら階段で運ぶのもしんどい。そして打楽器はどこ持って運んでも良いというものではなく、デリケートなもの。でも運び慣れないから、持ってはいけないパーツを持ってしまい、先輩にきつく注意されるのだ。
****
そんなしんどい運搬が終わり、夜になり少し涼んで休憩しているとき。コンクールメンバーになった一年生の打楽器の子としゃべった。
同じ小学校出身で、そこまで親しくはなくとも気軽に話せる関係だったと思う。その子と小学校や、その後の中学二年三年としゃべっているはずなのに、大人になったいま、何をその子と話したかは覚えていない。
けれど、この休憩時に何を話したかだけは今でも鮮明に覚えている。
私は
「吹奏楽部なのに打楽器って吹かないよね」
と言った。
だからなんなんだーーーー!!
という話なんだけど。
これはコンクールメンバーになれた同級生への、私なりの腹いせだった。
腹いせとしてはしょぼすぎるのが泣きたい。
おまえのかあちゃん~~レベル。泣きたい。
コンクールメンバーにもなれない、そしてその悔しさの表現がしょぼすぎる、初めての夏のコンクールでした。
つづく
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
2025年何かが起こる!?~予言/伝承/自動書記/社会問題等を取り上げ紹介~
ゆっち
エッセイ・ノンフィクション
2025年に纏わるさまざまな都市伝説、予言、社会問題などを考察を加えて紹介します。
【予言系】
・私が見た未来
・ホピ族の予言
・日月神示の預言
・インド占星術の予言
など
【経済・社会的課題】
・2025年問題
・2025年の崖
・海外展開行動計画2025
など
【災害予測】
・大規模太陽フレア
・南海トラフ巨大地震
など
※運営様にカテゴリーや内容について確認して頂きました所、内容に関して特に問題はないが、カテゴリーが違うとの事のでホラー・ミステリーから「エッセイ・ノンフィクション」へカテゴリー変更しました。
文系の星好きがプラネタリウムの職員を目指した話
Cattleya
エッセイ・ノンフィクション
実体験をもとに書いてあります。
自己紹介代わりになるかもしれませんが、読んで頂ければ幸いです。
エッセイの執筆ははじめてです。
日記のような感覚で読んで頂ければと思います。
もしも、読んでいて不快になった場合はブラウザバックして頂いて構いません。
※不定期更新
読まれない小説はもう卒業! 最後まで読んでもらえる小説の書き方|なぜ続きを読んでもらえないの? 小説の離脱ポイントを分析しました。
宇美
エッセイ・ノンフィクション
私はいままでたくさんのweb小説を読み始めて、途中でつまらなくなって、読むのをやめました。
なぜ読むのをやめてしまったのか…… このエッセイでは、離脱ポイントを分析解説しています。
あなたの執筆に役に立つこと間違いなしです。
エッセイって言うのか、私の感覚世界。
あきすと
エッセイ・ノンフィクション
思考・思想・感情・習慣・食べ物・添加物・肩こり・耳鳴り・ガン検診
色々体験したり考えさせられたり、親しい人との別れ。
この世界はとても残酷。
生き方なんて誰も教えてはくれない。
ただ、生きて行く。その為にどうしたものかと
日々考えたり、ぼーっとしたり。
怠けたり、赴いたり。
旅に出たいなぁと、急に思い立つ。
こんな私のどうしようもない、感覚と
もよもよした文章で出来た世界です。
どっちでも良いかなぁ。
影響なんてなくていい。響かなくて余計、良い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる