異世界人の父は筋力がありません。勿論、息子の俺も筋力が無く武器を持てません。武器を持てないハンターの成り上がり。

やーま

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アマンダ・レイン

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 次の日ーー
 俺達が再度ハンター総支部に向かうと、昨晩の受付嬢に案内され第六階会議室に連れて行かれた。
 アマンダ・レイン殿の方から話がしたいと場を設けてくれたらしい。
 しかし、全く面識も無い筈のお偉い様から話をしたいとなると嫌な予感が浮かぶ。
 
 上層部の人間なら知っていてもおかしく無いかもしれない。
 エリスの事について何か知っているのか。
 いや、知らないから俺達から聞きたいのか。
 薬の事を知っていて、良くない事態が起きているのか。
 それとも追放者に内通している仲間なのか。
 口封じの為に殺されるのか。

 分からないが何か意図がある事は間違いないとガルダは念の為を想定し閃光弾をポケットに隠した。

『コンッコンッ』

 ノック音の後、会議室の扉が開き、メガネを掛けた緑色の短髪女性が中へ入ってくる。
 
「ごめんね待たせて」
 彼女は俺達の向側に座るとエマを見つめた。
 
 だがエマは見つめられている事に耐え切れ無くなり、口を開く。
「あのっ!フォーリアル・エリスについて何か知っている事ありませんか!?」

「やっぱり似ているね。妹なのね。だと思って貴方達をここに通したのよ」

 レインはポケットに手を突っ込み何かを取り出そうとした。
 意味深な発言とその行動にガルダの閃光弾を握る右手に力が入る。

 しかし、レインは警戒するガルダに気づいていた。

「そちらの君。大丈夫よ何もしないわ」

 俺は女の洞察力に驚き、思わず苦笑いを浮かべ反射的に手をポケットから出した。
 レインは俺が手を出してのを確認すると、そっとポケットの中に入っていた物を二人の目の前に置いた。

 卓上に置かれた小さな透明なケースに一つ錠剤のような物体が入っている。
 
 二人は目を疑ったーー
 それが一瞬で何なのかを連想させる。
 MLC薬ではないかと…。

「貴方達が何処まで知っているかは分からないけど、フォーリアル・エマさん。妹の貴方には姉、エリスさんの身に何が起きたか知る権限が有るわ。これはMLCー通称MONSTA LAST CHANGE。人の遺伝子其の物をモンスターの遺伝子へと進化させる薬。エリスのパーティーメンバーは多分これを飲んでしまった」

 目の前にある元凶の薬を見て絶句する俺達にレインは続きを話し続けた。
 
 当時ーー原因不明のハンターのクエスト中失踪事件が多発していた。
 最初はモンスターによる討伐失敗で命を落としたと皆思っていたが、あまりに多すぎる事件件数と上位ランク者のクエスト中失踪が出始め、私達は不審に思い始めた。
 そんな時、パーティーで討伐クエストを受けていたエリスが一人帰ってきた。
 当時受付をしていた私は、勿論クエスト失敗理由を聞いた。
 でも彼女は「みんな黒鉛龍ベルクリデスに殺された」とだけ言い去っていった。しかし身体は震え、目は正気を失なっている様子だった。それからすぐに彼女はこの街から逃げるように街を出たと風の噂で耳にし、不審が確信に変わった。
 この事件は何かが関与していると。それに他者には言えない理由があるんじゃないかと。

 そこでミリオンハンターに何が起きているのか調査依頼をしたのだ。

 調査の結果浮かび上がってきた不穏な影
ーー追放者。

 ハンターの失踪が増え始めた同時期に追放者の目撃件数も増えている事が分かったのだ。
 我々はすぐさまミリオンハンターを追放者に成りすまし潜入する作戦を決行。
 作戦は上手くいき、「追放者ギルド ブラッディパラディン」のメンバーが薬の様な物をばら撒いている事が分かり、その薬を一つ回収する事に成功し、薬を調べた。

 これはとんでもない代物だった。

 この薬には人の細胞を変えてしまう効果があり、そして一度変えてしまうと二度と戻らない事が判明した。

 恐らく彼らも試作品のMLC薬を何処かで追放者に貰い、飲んでしまったんじゃないかと推測している。
 
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