28 / 29
ローランド国へ
しおりを挟む
国の周りには石の壁が囲うように聳え立ち、モンスターの侵入を防いでいる。その壁の北と南に国出入りする為の大きな鉄門があり、通行証を門番に見せる事で通れるようになっている。
二人はガンバルム国側の南門に辿り着いた。
門の前に立っていた門番らしき人間に「ハンターか?」と聞かれ、ハンタープレートを見せる。それを確認した門番はレバーを回し鉄門が開く。
開いた門の奥にはヨーロッパ風の綺麗な建物が立ち並び、沢山の人々で賑わい、活気で溢れていた。
ガンバルム国とは違い、防具屋とは別に服屋、装飾品、雑貨屋、宝石屋など様々な商売が盛んになっていて、寧ろハンターの方が人数が少なく感じる。
そして煌びやかな夜景がこの街の裕福さを語っていた。
「ガンバルムとの格差社会はんぱねぇな…」
「まぁ貴族の国と云われているくらいだからね…」
俺達はとりあえず宿屋に一泊分の手続きをしに行き、宿屋に泊まるのを後にした。
その前に先程、手に入れたハードンの材料を売る為に商店街へ足を運んだ。
モンスター素材の買取なら武具店が需要があり、高値で買い取ってくれるだろうと。
一番派手そうな看板を掲げている武具店に入った。
中に入るとツルツル頭のちょび髭を生やした筋肉盛り盛りのオッさんが出迎えてくれて、とてもオッさんの外見からは想像出来ない程に店内の至る所には武器が綺麗に並べて飾ってある。
「いらっせぃっ!!」
「あのぉモンスターの素材売りたいんですけど」
「ほいほいっ。何の素材だ?」
俺はハードンの爪とエラを台の上に置いた。
「何だこれぇ!?ハードンの素材か!?」
「ふふ…そうなんだよ。このハードン恐らく十年に一度位のデカさだったんだ」
「こりゃたまげた…。こんなの見たこともねぇ!!」
「オッちゃんも目が高えな。で、どのくらいの価値がある?」
「両方で5000Bellだな」
「「やっすっ!!」」
「ハードンの素材なんて大して使わねぇからな」
「そ、そんな…」
エマが何とか色気をつかい交渉を試みたが効果は薄く5500Bellで仕方がなく手を打つ。
「私の色気は500Bellの価値なのね…」とぼそぼそと嘆きしばらく落ち込んでいたーー
しかし宿屋に戻るのにもチェックインまで時間に余裕があったので、次に二人はローランド国ハンター総支部に向かった。早速、受付にエマの姉の事を聞く為に。
外見は違えども、ハンタークエスト受注やハンターランクの仕様などはガンバルム国と変わりは無くすべて全国共通。
ハンターの資格さえ持っていれば何処に行っても仕事は受けれるようになっている。
二人が受付に近づくとそれに気づいた受付嬢が先に声を掛ける。
「こんばんわ。クエストの受注ですか?」
「いやっ。あの、フォーリアル・エリスって方ご存知ですか?」
「すいません…。私、最近受付に配属されたばかりでしてその様なハンターはご存知有りません」
「そ、そうなんですか……」
「ハンター履歴から最後に受けた依頼などなら検索できますが、お調べしますか?」
エマは身を乗り出し、声を荒げる。
「お願いします!!」
受付嬢は焦るエマに少々お待ち下さいと伝え、機械を弄り始めた。
数分後、何か見つかった様子を見せる受付嬢。
「最後に依頼を受けたのは、二年前の2月12日になりますね。パーティーメンバーは「フォーリアル・エリス」「ダル・クーネ」「オーランド・イライヌ」「サラン・モーダン」の四人。依頼クエストは「 黒鉛竜ベルクリデスの討伐」。達成失敗に加え、パーティーメンバーの「フォーリアル・エリス」以外は死亡との報告になっています。クエスト失敗理由は記載されていませんね」
私が家出したのは、その日の一週間後だ。
やはり…クエスト中に何かあった事は間違いない。姉が薬を飲んで変身したのは…黒鉛竜ベルクリデスだったんだから。
「その当時、受付をしていた人って今もここに居ますか?」
「えーと、二年前でしたら…。今のハンター総支部管理取締役「アマンダ・レイン」様ですね。今日は既に帰宅されていますので、明日また来て頂けたら居られるとは思いますよ」
「ならまた明日ここに来よう」
「そうね…」
エマは全ての自分の取った行動選択を悔やんだ。
何であの時、まず此処に来なかったのか。もっと早く聞きに来ていれば姉は既に見つかっていたのかも知れない。
こうなったのは自分が選んだ選択の末路。
ああしていれば良かった。
過去を変えたい。
やり直したい。と
とても後悔した。
しかしその後悔が今のエマを動かす原動力となるーー
何故人は後悔するのか。
それは現状が自分の思い描いていた理想と違うからである。
理想に気付いた時。
また理想に近づく為に成長する為に過去の自分の過ちを理解しているからこそ、後悔は生まれる。
決して時は戻らないのだから、大事な物は、過去でも未来でもなく。
現在。
気付いた過ちを糧に生きる命が有るならば
現在の行動選択により、未来は変えることだって出来るかもしれない。
二人は受付嬢に礼を伝え、その場を離れた。
姉の変わった姿も黒鉛竜ベルクリデスと何か関係があるに違いない。二人はそう確信し、さらなる手がかりが見つかる事を願い、朝日が登るのを宿屋に戻り待った。
二人はガンバルム国側の南門に辿り着いた。
門の前に立っていた門番らしき人間に「ハンターか?」と聞かれ、ハンタープレートを見せる。それを確認した門番はレバーを回し鉄門が開く。
開いた門の奥にはヨーロッパ風の綺麗な建物が立ち並び、沢山の人々で賑わい、活気で溢れていた。
ガンバルム国とは違い、防具屋とは別に服屋、装飾品、雑貨屋、宝石屋など様々な商売が盛んになっていて、寧ろハンターの方が人数が少なく感じる。
そして煌びやかな夜景がこの街の裕福さを語っていた。
「ガンバルムとの格差社会はんぱねぇな…」
「まぁ貴族の国と云われているくらいだからね…」
俺達はとりあえず宿屋に一泊分の手続きをしに行き、宿屋に泊まるのを後にした。
その前に先程、手に入れたハードンの材料を売る為に商店街へ足を運んだ。
モンスター素材の買取なら武具店が需要があり、高値で買い取ってくれるだろうと。
一番派手そうな看板を掲げている武具店に入った。
中に入るとツルツル頭のちょび髭を生やした筋肉盛り盛りのオッさんが出迎えてくれて、とてもオッさんの外見からは想像出来ない程に店内の至る所には武器が綺麗に並べて飾ってある。
「いらっせぃっ!!」
「あのぉモンスターの素材売りたいんですけど」
「ほいほいっ。何の素材だ?」
俺はハードンの爪とエラを台の上に置いた。
「何だこれぇ!?ハードンの素材か!?」
「ふふ…そうなんだよ。このハードン恐らく十年に一度位のデカさだったんだ」
「こりゃたまげた…。こんなの見たこともねぇ!!」
「オッちゃんも目が高えな。で、どのくらいの価値がある?」
「両方で5000Bellだな」
「「やっすっ!!」」
「ハードンの素材なんて大して使わねぇからな」
「そ、そんな…」
エマが何とか色気をつかい交渉を試みたが効果は薄く5500Bellで仕方がなく手を打つ。
「私の色気は500Bellの価値なのね…」とぼそぼそと嘆きしばらく落ち込んでいたーー
しかし宿屋に戻るのにもチェックインまで時間に余裕があったので、次に二人はローランド国ハンター総支部に向かった。早速、受付にエマの姉の事を聞く為に。
外見は違えども、ハンタークエスト受注やハンターランクの仕様などはガンバルム国と変わりは無くすべて全国共通。
ハンターの資格さえ持っていれば何処に行っても仕事は受けれるようになっている。
二人が受付に近づくとそれに気づいた受付嬢が先に声を掛ける。
「こんばんわ。クエストの受注ですか?」
「いやっ。あの、フォーリアル・エリスって方ご存知ですか?」
「すいません…。私、最近受付に配属されたばかりでしてその様なハンターはご存知有りません」
「そ、そうなんですか……」
「ハンター履歴から最後に受けた依頼などなら検索できますが、お調べしますか?」
エマは身を乗り出し、声を荒げる。
「お願いします!!」
受付嬢は焦るエマに少々お待ち下さいと伝え、機械を弄り始めた。
数分後、何か見つかった様子を見せる受付嬢。
「最後に依頼を受けたのは、二年前の2月12日になりますね。パーティーメンバーは「フォーリアル・エリス」「ダル・クーネ」「オーランド・イライヌ」「サラン・モーダン」の四人。依頼クエストは「 黒鉛竜ベルクリデスの討伐」。達成失敗に加え、パーティーメンバーの「フォーリアル・エリス」以外は死亡との報告になっています。クエスト失敗理由は記載されていませんね」
私が家出したのは、その日の一週間後だ。
やはり…クエスト中に何かあった事は間違いない。姉が薬を飲んで変身したのは…黒鉛竜ベルクリデスだったんだから。
「その当時、受付をしていた人って今もここに居ますか?」
「えーと、二年前でしたら…。今のハンター総支部管理取締役「アマンダ・レイン」様ですね。今日は既に帰宅されていますので、明日また来て頂けたら居られるとは思いますよ」
「ならまた明日ここに来よう」
「そうね…」
エマは全ての自分の取った行動選択を悔やんだ。
何であの時、まず此処に来なかったのか。もっと早く聞きに来ていれば姉は既に見つかっていたのかも知れない。
こうなったのは自分が選んだ選択の末路。
ああしていれば良かった。
過去を変えたい。
やり直したい。と
とても後悔した。
しかしその後悔が今のエマを動かす原動力となるーー
何故人は後悔するのか。
それは現状が自分の思い描いていた理想と違うからである。
理想に気付いた時。
また理想に近づく為に成長する為に過去の自分の過ちを理解しているからこそ、後悔は生まれる。
決して時は戻らないのだから、大事な物は、過去でも未来でもなく。
現在。
気付いた過ちを糧に生きる命が有るならば
現在の行動選択により、未来は変えることだって出来るかもしれない。
二人は受付嬢に礼を伝え、その場を離れた。
姉の変わった姿も黒鉛竜ベルクリデスと何か関係があるに違いない。二人はそう確信し、さらなる手がかりが見つかる事を願い、朝日が登るのを宿屋に戻り待った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる