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フラグ回収
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「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
複数の地を蹴る足音は重なり合い、一つの雑音と化し二人の背中を追いかける。
ーー道中、進む先の遠方に一匹の肉食小型モンスター「ハードン」を発見。
ーーハードン 肉食 爬竜種 ーー
体長 2メートル
鰐のような頭部に菖蒲色のエラがあり、そのエラの大きさがより大きければ大きいほど強いと云われている。
そしてエラの手前にある取れてしまいそうな程飛び出している眼球が特徴。
頭から尾まで全身は青丹色の皮膚で覆われ、骨格は細々としているがしっかりと筋肉が付いている。
獲物を狩る時は二本脚で立ち、手の三本指には鎌のような爪があり、その爪で攻撃してくる。
エマは安全を期して100メートル程離れている位置から矢を放った。
見事ハードンの右肩に命中。致命傷を負わせた事により、処理し易くなったモンスターを確実に仕留めに動くが、一体しか居なかった遠方の茂みから同じ姿のモンスターが一体、ニ体、三体と現れ、瞬く間にその数はゆうに二十体を超していく。
茂みで隠れていたが、一体のハードンの周りには昼寝をしていたハードンの家族が居たのだ。
しかしハードンは通常一家族に父と母に子ニ~三体で群れるのを好む習性。
大所帯だと餌の調達が困難になるからだと云われている。
しかし二人が出会ったハードンの群れは父一体に母五体の家族。
即ち一夫多妻のとても珍しい群れだった。
「これは私のせいじゃないよね!? だって大家族で群れないモンスターだよ!? あんな気持ち悪いの何処がカッコいいの!?」
「あいつらからしたらあのエラがカッコいいんだろうよっ!! それにしてもあのハードン体長4メートルはあるぞ!?」
大群の後方に他のハードンより二回りも大きくサイズのハードンが居る。
ーー父ハードンだ。
「ダメだ!隠れる所も無いっ。このままじゃ追い付かれるな」
逃げ切れないと思ったガルダはバックの中身から大粒の酒果の実「ウイル」取り出した。
風船のように薄い皮に包まれた果肉には甘い香りのアルコールを95%含んでいる。酒の元に使われる果物。
「なぁ!?火炎矢はあるか!?」
「有るわよ!!」
「よし!ならこれを俺が投げたら、射抜いてくれ!!」
「なるほどね!!火の雨を降らせるって事ね!了解」
二人は立ち止まり、ガルダはタイミング見計らい「ウィル」をハードンの群れの頭上にに投げた。
エマは正確に狙いを定め、火炎矢を放つ。
火炎矢ーー液体に触れると矢先から火が発生する。それが水でも血でも水分であれば化学反応を起こす成分が矢先に練りこまれている。
放たれた矢は見事命中。実は弾け、同時に発火。果汁に燃え移り火雨がハードン達に降り注いだ。
『『『ギャギッッ!!』』』
大半のハードンは脚が止まり悶えるが、父ハードンだけは諸共せず進んでくる。
「ねぇ!あいつ全然効いてないじゃない!!」
焦るエマは乱雑に矢を放つ。
が、父ハードンの皮膚は分厚く弾かれる。
「何でお前らはそう脳筋ばっかなんだよ!!」
ガルダは剥ぎ取り用ナイフを構え、父ハードンに向かって走り出した。
双方の距離が縮まっていき、目前で父ハードンは右爪を振り上げ、振り下ろす。
それをガルダは左腕の義手で止めた。
力の差に押し返されそうになるが右手に持っている剥ぎ取り用ナイフの刃は父ハードンの喉仏を捉えていた。
強く振り抜くーー
「ヒュッ…」
父ハードンが息を吸っても空気は漏れ出し、肺まで送り届けない。
息が吸えなくなった父ハードンは窒息し地面に倒れたーー
後方のハードン群も偉大なる父が狩られたことにより、戦意喪失。止む無く逃げていく。
「ふぅ…」
「ちょっと!ちょっと!何が起きたの?」
何が起きたか分からないエマが駆け足で近づいて来る。
「お前ら…小型モンスターの弱点とか知らないだろ…。ハードンは喉部分の皮膚が薄いから剥ぎ取り用ナイフでも難なく刃が通るんだよ」
エマは返答に納得いかない様子で逃げていくハードンを指差した。
「他のハードン達は何で逃げていったの?」
「ハードンは一番強い父親が倒されると勝てないと思い込み逃げる習性がある。だからウイルの実で他の奴らを足止めし、父ハードンのみを相手できるように前線におびき寄せた」
エマはへーと感心している表情を見せる。
「あんたの戦い方、冷や冷やして心臓が幾らあっても足りないわね…。それなら手榴弾とか投げればいいのに」
これだから筋力のある奴らは…。
手榴弾一つ2000Bellもするんだぞ。
そんなのポイポイ投げてたら幾ら金があっても足りない。
如何に安いアイテムを使って危機を乗り切る事も大事なんだよ…。
それに…。
「ほら、手榴弾なんて投げてたらここまで綺麗に残らなかったろ?」
俺は目線を先程倒したハードンに向けた。
通常の二倍ほど大きさの立派な爪と大きなエラが綺麗な状態で残っている。
「きっとこんな上物。売ったらすごい値が付くぞ!!」
「本当だ…。こんなの見た事ないわっ」
二人は上気分で倒れたハードンを綺麗に剥ぎ取った。
それから道中、虫の大群に襲われるなどトラブルはあったものの、日没前にはローランド国を囲っている外壁の門に辿り着いたーー
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
複数の地を蹴る足音は重なり合い、一つの雑音と化し二人の背中を追いかける。
ーー道中、進む先の遠方に一匹の肉食小型モンスター「ハードン」を発見。
ーーハードン 肉食 爬竜種 ーー
体長 2メートル
鰐のような頭部に菖蒲色のエラがあり、そのエラの大きさがより大きければ大きいほど強いと云われている。
そしてエラの手前にある取れてしまいそうな程飛び出している眼球が特徴。
頭から尾まで全身は青丹色の皮膚で覆われ、骨格は細々としているがしっかりと筋肉が付いている。
獲物を狩る時は二本脚で立ち、手の三本指には鎌のような爪があり、その爪で攻撃してくる。
エマは安全を期して100メートル程離れている位置から矢を放った。
見事ハードンの右肩に命中。致命傷を負わせた事により、処理し易くなったモンスターを確実に仕留めに動くが、一体しか居なかった遠方の茂みから同じ姿のモンスターが一体、ニ体、三体と現れ、瞬く間にその数はゆうに二十体を超していく。
茂みで隠れていたが、一体のハードンの周りには昼寝をしていたハードンの家族が居たのだ。
しかしハードンは通常一家族に父と母に子ニ~三体で群れるのを好む習性。
大所帯だと餌の調達が困難になるからだと云われている。
しかし二人が出会ったハードンの群れは父一体に母五体の家族。
即ち一夫多妻のとても珍しい群れだった。
「これは私のせいじゃないよね!? だって大家族で群れないモンスターだよ!? あんな気持ち悪いの何処がカッコいいの!?」
「あいつらからしたらあのエラがカッコいいんだろうよっ!! それにしてもあのハードン体長4メートルはあるぞ!?」
大群の後方に他のハードンより二回りも大きくサイズのハードンが居る。
ーー父ハードンだ。
「ダメだ!隠れる所も無いっ。このままじゃ追い付かれるな」
逃げ切れないと思ったガルダはバックの中身から大粒の酒果の実「ウイル」取り出した。
風船のように薄い皮に包まれた果肉には甘い香りのアルコールを95%含んでいる。酒の元に使われる果物。
「なぁ!?火炎矢はあるか!?」
「有るわよ!!」
「よし!ならこれを俺が投げたら、射抜いてくれ!!」
「なるほどね!!火の雨を降らせるって事ね!了解」
二人は立ち止まり、ガルダはタイミング見計らい「ウィル」をハードンの群れの頭上にに投げた。
エマは正確に狙いを定め、火炎矢を放つ。
火炎矢ーー液体に触れると矢先から火が発生する。それが水でも血でも水分であれば化学反応を起こす成分が矢先に練りこまれている。
放たれた矢は見事命中。実は弾け、同時に発火。果汁に燃え移り火雨がハードン達に降り注いだ。
『『『ギャギッッ!!』』』
大半のハードンは脚が止まり悶えるが、父ハードンだけは諸共せず進んでくる。
「ねぇ!あいつ全然効いてないじゃない!!」
焦るエマは乱雑に矢を放つ。
が、父ハードンの皮膚は分厚く弾かれる。
「何でお前らはそう脳筋ばっかなんだよ!!」
ガルダは剥ぎ取り用ナイフを構え、父ハードンに向かって走り出した。
双方の距離が縮まっていき、目前で父ハードンは右爪を振り上げ、振り下ろす。
それをガルダは左腕の義手で止めた。
力の差に押し返されそうになるが右手に持っている剥ぎ取り用ナイフの刃は父ハードンの喉仏を捉えていた。
強く振り抜くーー
「ヒュッ…」
父ハードンが息を吸っても空気は漏れ出し、肺まで送り届けない。
息が吸えなくなった父ハードンは窒息し地面に倒れたーー
後方のハードン群も偉大なる父が狩られたことにより、戦意喪失。止む無く逃げていく。
「ふぅ…」
「ちょっと!ちょっと!何が起きたの?」
何が起きたか分からないエマが駆け足で近づいて来る。
「お前ら…小型モンスターの弱点とか知らないだろ…。ハードンは喉部分の皮膚が薄いから剥ぎ取り用ナイフでも難なく刃が通るんだよ」
エマは返答に納得いかない様子で逃げていくハードンを指差した。
「他のハードン達は何で逃げていったの?」
「ハードンは一番強い父親が倒されると勝てないと思い込み逃げる習性がある。だからウイルの実で他の奴らを足止めし、父ハードンのみを相手できるように前線におびき寄せた」
エマはへーと感心している表情を見せる。
「あんたの戦い方、冷や冷やして心臓が幾らあっても足りないわね…。それなら手榴弾とか投げればいいのに」
これだから筋力のある奴らは…。
手榴弾一つ2000Bellもするんだぞ。
そんなのポイポイ投げてたら幾ら金があっても足りない。
如何に安いアイテムを使って危機を乗り切る事も大事なんだよ…。
それに…。
「ほら、手榴弾なんて投げてたらここまで綺麗に残らなかったろ?」
俺は目線を先程倒したハードンに向けた。
通常の二倍ほど大きさの立派な爪と大きなエラが綺麗な状態で残っている。
「きっとこんな上物。売ったらすごい値が付くぞ!!」
「本当だ…。こんなの見た事ないわっ」
二人は上気分で倒れたハードンを綺麗に剥ぎ取った。
それから道中、虫の大群に襲われるなどトラブルはあったものの、日没前にはローランド国を囲っている外壁の門に辿り着いたーー
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