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新しい左腕
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ーー出発の日
二人は貯めた100000Bellでそれぞれの必要な物を買い集めた。
ガルダは主に補助系アイテムと攻撃系アイテムと防具を買い、必死に貯めたお金は余すところ30000Bellとなった。
(補助系とはーー回復液、解毒薬、無痛剤など人間の体に何らかの効果を要する品)
(攻撃系とはーートラップ、光弾、手榴弾、煙弾、ライポイル玉などモンスターに効果を要する品)
エマは必要最低限のアイテムと弓と矢を買い、残金はほぼゼロとなった。
ベァクドルドに弓を壊された後、代理で安い弓を購入し使っていたが、採取クエストで集めた鉱石で50000Bellの新しい弓を造って貰ったのだ。
ある程度の買い物を済ませると二人は予め集合場所にしていたカフェで合流。
カフェに少し遅れて到着したガルダは直ぐに購入したアイテムの確認をしていた。
色んな状況を想定しアイテムを揃えたがバックの中身は何とか普通に動ける量に収まった。
「まぁアイテムは大体こんなもんかな」
「私はもういつでも行けるわよ」
ガルダは確認が終わると、ポケットから30000Bellを卓上に並べ始めた。
金貨がぶつかり合いジャラジャラと音を奏でる。
「なぁ。これで何処か義手買えるとこあるかな?」
「無理ね」
愚問に即答するエマ。
ガルダはアイテムを購入した後、防具屋に行き、義手を見てきたが思った以上に高額でとても30000Bellでは購入出来なかったのだ。
「義手の相場知ってるの?安い所でも50000Bellはするわよ」
「え……」
「何で出発の日までに下見して考えていなかったのよ」
「ゔっ…」
俺はエマの御最もな発言にぐうの音も出なかった。
するとエマは卓下から長方形の箱を取り出し、それをガルダの目の前に置いた。
いやいやそんな訳……
まさか…
「あれか!?何か変なもん飛び出したりするドッキリな奴だろ!?」
半信半疑で目の前に置かれた箱の上蓋を恐る恐る持ち上げてみる。
しかしちゃんと中には手の形をした頑丈そうな金属品が入っていた。
それが一目で義手だと分かる。
「あんた全然下見しに行く素振りも無かったから、昨日下町の安い防具店に行って私が集めていた素材を売却したお金で買っといたわよ。まぁ元々、私のせいだしねっ」
「マジで?」
「おおマジよ」
しかしその言葉の後にエマは「ふふっ」と不気味な笑いを付け加える。
「おい…何だよその笑い…」
「でもその義手にはパラサイト大虫の素材を使っているみたいでね。装着すると…義手の内側にある装着部分の太い管から寄生針が出てきて、直接人間の神経と接続されて物凄い激痛が疾るらしいよ」
ゴクリと唾を飲むガルダ。
ニュルニュルと動く針が左腕の肉を突き破り体内に入ってくる感覚を想像してしまい、身体中からべとべとした汗が噴き出してくる。
「何?装着しないの?要らないなら返品してくるよ?ふふっ」
エマはそんな俺のビビる姿を見て楽しんでいた。
買ってくれたとはいえ性格の悪い奴だ…。
ここまで煽られて痛みにビビり、いつまでも装着しないなんて愚の骨頂。男として恥だ。どうせ、いつかは経験しなければならない痛み。俺は平然をよそおい思い切って左腕に嵌め込んだ。
すると…
機械音が鳴り始める。腕の接合部分から金属の爪が伸び左腕の肘を外れないようがっしりと掴み左腕断面の皮膚に円形の筒の様な物が当たる。
その数秒後、機械音は止まり静かになり、二人は微動だにしなくなった義手をじっと見つめた。
一分後、突然始まる接合ーー
ガルダの左腕にドリルで皮膚を抉られる様な激痛が走る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
『バタンッ…』
経験した事もない激痛に悲鳴と共に意識を失うガルダ。
「あはははははっ」
ーー意識を取り戻した後
エマは俺を馬鹿だと笑いながら罵った。
「無痛剤を飲めば良かったのに」と
ともあれ。
無事接合できたのか、違和感こそあるものの、かの左手の様に動かせることが出来た。
これですべての準備が完了したのだ。
二人はすぐに出発し、ローランド国に向かった。
三つの国が隣接する地帯には大型モンスターは生息していない。国同士の位置もそこまで離れておらず、走れば一日もかからない。
小型モンスターの群れに襲われなければ問題なく辿りつけるーー
◇ ◇ ◇
ガンバルム国~ローランド国 平原地帯
二人は見事にフラグを回収していたーー
二人は貯めた100000Bellでそれぞれの必要な物を買い集めた。
ガルダは主に補助系アイテムと攻撃系アイテムと防具を買い、必死に貯めたお金は余すところ30000Bellとなった。
(補助系とはーー回復液、解毒薬、無痛剤など人間の体に何らかの効果を要する品)
(攻撃系とはーートラップ、光弾、手榴弾、煙弾、ライポイル玉などモンスターに効果を要する品)
エマは必要最低限のアイテムと弓と矢を買い、残金はほぼゼロとなった。
ベァクドルドに弓を壊された後、代理で安い弓を購入し使っていたが、採取クエストで集めた鉱石で50000Bellの新しい弓を造って貰ったのだ。
ある程度の買い物を済ませると二人は予め集合場所にしていたカフェで合流。
カフェに少し遅れて到着したガルダは直ぐに購入したアイテムの確認をしていた。
色んな状況を想定しアイテムを揃えたがバックの中身は何とか普通に動ける量に収まった。
「まぁアイテムは大体こんなもんかな」
「私はもういつでも行けるわよ」
ガルダは確認が終わると、ポケットから30000Bellを卓上に並べ始めた。
金貨がぶつかり合いジャラジャラと音を奏でる。
「なぁ。これで何処か義手買えるとこあるかな?」
「無理ね」
愚問に即答するエマ。
ガルダはアイテムを購入した後、防具屋に行き、義手を見てきたが思った以上に高額でとても30000Bellでは購入出来なかったのだ。
「義手の相場知ってるの?安い所でも50000Bellはするわよ」
「え……」
「何で出発の日までに下見して考えていなかったのよ」
「ゔっ…」
俺はエマの御最もな発言にぐうの音も出なかった。
するとエマは卓下から長方形の箱を取り出し、それをガルダの目の前に置いた。
いやいやそんな訳……
まさか…
「あれか!?何か変なもん飛び出したりするドッキリな奴だろ!?」
半信半疑で目の前に置かれた箱の上蓋を恐る恐る持ち上げてみる。
しかしちゃんと中には手の形をした頑丈そうな金属品が入っていた。
それが一目で義手だと分かる。
「あんた全然下見しに行く素振りも無かったから、昨日下町の安い防具店に行って私が集めていた素材を売却したお金で買っといたわよ。まぁ元々、私のせいだしねっ」
「マジで?」
「おおマジよ」
しかしその言葉の後にエマは「ふふっ」と不気味な笑いを付け加える。
「おい…何だよその笑い…」
「でもその義手にはパラサイト大虫の素材を使っているみたいでね。装着すると…義手の内側にある装着部分の太い管から寄生針が出てきて、直接人間の神経と接続されて物凄い激痛が疾るらしいよ」
ゴクリと唾を飲むガルダ。
ニュルニュルと動く針が左腕の肉を突き破り体内に入ってくる感覚を想像してしまい、身体中からべとべとした汗が噴き出してくる。
「何?装着しないの?要らないなら返品してくるよ?ふふっ」
エマはそんな俺のビビる姿を見て楽しんでいた。
買ってくれたとはいえ性格の悪い奴だ…。
ここまで煽られて痛みにビビり、いつまでも装着しないなんて愚の骨頂。男として恥だ。どうせ、いつかは経験しなければならない痛み。俺は平然をよそおい思い切って左腕に嵌め込んだ。
すると…
機械音が鳴り始める。腕の接合部分から金属の爪が伸び左腕の肘を外れないようがっしりと掴み左腕断面の皮膚に円形の筒の様な物が当たる。
その数秒後、機械音は止まり静かになり、二人は微動だにしなくなった義手をじっと見つめた。
一分後、突然始まる接合ーー
ガルダの左腕にドリルで皮膚を抉られる様な激痛が走る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
『バタンッ…』
経験した事もない激痛に悲鳴と共に意識を失うガルダ。
「あはははははっ」
ーー意識を取り戻した後
エマは俺を馬鹿だと笑いながら罵った。
「無痛剤を飲めば良かったのに」と
ともあれ。
無事接合できたのか、違和感こそあるものの、かの左手の様に動かせることが出来た。
これですべての準備が完了したのだ。
二人はすぐに出発し、ローランド国に向かった。
三つの国が隣接する地帯には大型モンスターは生息していない。国同士の位置もそこまで離れておらず、走れば一日もかからない。
小型モンスターの群れに襲われなければ問題なく辿りつけるーー
◇ ◇ ◇
ガンバルム国~ローランド国 平原地帯
二人は見事にフラグを回収していたーー
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