異世界人の父は筋力がありません。勿論、息子の俺も筋力が無く武器を持てません。武器を持てないハンターの成り上がり。

やーま

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祝賀会

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 「おめでとう。今日から君達は正式なハンターだ!今後の活躍に期待しているぞ」

 五人の試験者は試験に合格し、正式なハンターとしての証[ハンタープレート]を授与された。

 プレートには階級があり、順にアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミリオンが存在する。
 五人は駆け出しハンターの証、アイアンプレートに属する。

 「これにて、本日のハンター試験を終了。知っているとは思うが… この後、中心街で祝賀会の場を設けてある。皆、来るように」

 祝勝会には、誰でも参加できる。
 そのため、人手不足のパーティやギルドが気に入った子を勧誘しに来る。
 勧誘されなくても、自分を先輩達にアピールできるよう、国が気を利かせて場を設けてくれている。

 依頼を達成するのに、ソロよりもパーティを組んだ方が効率も安全性も段違いに良い。
 そもそもソロで凶暴なモンスターに挑むハンターなんてほぼ存在しない。それほど無謀な事である。

 勿論、ガルダも分かっていた。

 しかし武器を持たない自分を仲間に入れてくれる人達なんて、いるのだろうか。

 でも…

 もしかしたら、専属援護役として誰かギルドに入れてくれるかもしれない。

 そんな可能性を信じて、ガルダも祝賀会に足を運んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ガンバルム国、中心街。
 武器屋、防具屋、アイテム売買屋、装飾屋、宿屋、飯屋などが立ち並び、沢山の人達やハンター達で賑わっている街。

 その沢山の店の中心に一際目立つ巨大な建物、ガンバルム国ハンター連盟総支部。
 各地からモンスターの討伐や捕獲依頼。アイテムの収集依頼など様々なクエストの依頼を受注し、ハンター達に仕事を与えている場所。

 祝賀会は、そのハンター連盟総支部すぐ近くの飯屋[ハラペコハンター食堂]で行われていた。

 『チリンッチリンッ』
 店の扉にぶら下げてある鈴が、誰かが扉を開けた事を知らせる。

 「いらっしゃい!!」

 店の中には既に席に座っているラルク、シリスの姿が見え、ハンター達に囲まれて食事を楽しんでいた。
 エマは違うグループのハンター達に囲まれているみたいだが迷惑そうな顔をしている。
 キースの姿は何処にも見えなかった。

 少し遅れて来たガルダは、会話が弾んでいるであろう中に堂々と入る事が出来ず、隅の空いている席に腰をかけた。

 
 「何で急に店の場所変わってんだよ…」

 試験官に渡された祝勝会の場所が書いてある紙には「ペコペコハンター食堂」って書いてあったのに…行ったら「うちにはそんな予約入ってませんよ」と言われるし… 
 店主が「ハラペコハンター食堂じゃないですか?」って教えてくれたから何とか場所分かったが…

 周りを見渡すとカウンターの影から、此方をニヤニヤしながら見ている試験官が居た。
 目が合った途端、目を逸らし咳払いをしている。

 「あの野郎…もしかして… わざと違う店を俺の紙に書きやがったな!?」

 問い詰めようと思ったが、血が逆流するのを抑えた。
 ここで試験官と喧嘩なんて事になれば、どのハンターからも声を掛けて貰えなくなり、問題児のハンターなんて噂が広まる可能性もある。
 
 今は、耐えるんだ…
 
 周りのハンター達は話しに夢中になっていて、ガルダが入って来た事に気付いていない。

 まぁその内、誰か声掛けてくれるだろ… 試験で俺も戦えるって事を証明出来たんだ。援護役がパーティーに欲しいって思う奴もいるだろ…

 ……

 ……

 ……

 時計の長針はガルダが席に着いてから、30分ほど進んでいた。

 あれぇ…

 誰も話し掛けて来ない…

 
 「おいっ… アイツまだいるぞ…誰か声掛けてやれよ」

 「誰も要らないだろ。武器を持てない仲間なんて…」

 「バカッ お前ら聞こえてたら、どうすんだよ」
 
 ボソボソとハンター達が話している声は俺に向けられているものだとすぐに分かった。
 
 くそ…
 期待した俺が甘かった。

 『ドンッ』
 酔っ払ったハンターがフラフラしていたのか、ガルダの肩に当たった。

 「いってぇ…」

 「あれぇ?おーまえはー、武器持てないってぇ いってたぁ奴だぁ」
 
 もういいや…絡むのも面倒くさい。
 帰ろう…

 ガルダは席を立ち、扉の方に歩いて行く。

 「帰れぇ帰れぇ!!反則野郎なんてぇ、誰もいらねぇぞー。あの爆弾も、支給品以外の品を使ったんだろぉ?」

 は?

 「え、そうなの?」
 「確かに、あの支給品には爆発する物なんて無い筈」
 「えー…ずるじゃん」
 「そもそも武器持てないなら、ハンターなるなよな」

 好き勝手に物をいうハンター達の言葉に、扉の把手を握っている右手に血管が浮き出る。
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