上 下
190 / 207
11章 タレク島の決戦!!

STORY183 VSジョアファルア①

しおりを挟む
 「身の程をわきまえよ!!」

 ジョアファルアは恫喝どうかつし、大業火魔術ギガ・フレイムを無詠唱発動する。

 激しく渦巻く業火の渦がラフィアスの足元から発生する。

 「それから……」

 (!?)

 ジョアファルアは背後から聞こえた声に防御体勢をとりつつ振り返る。

 「今の俺はウラボスだ!」

 剛力魔術パワーを無詠唱発動したウラボスがリア・ファルの杖を振り下ろす。

 「くっ……」

 ジョアファルアは激しい衝撃に襲われ、地面へと叩きつけられる。

 (おのれ! 相変わらず腹立たしいやつめ!!)

 ジョアファルアは空中のウラボスをめつける。

 「それを言うなら……」

 接近に成功したグラヴィエルが魔大剣を持つ手に力を込めて振り抜く。

 「なめるな!」

 ジョアファルアは素早く身をかわす。

 「オレもグラヴィエルなんて名前じゃねぇよ。ゼルアルってんだ!」

 ゼルアルはさらに一歩踏み込んで大剣を横に一閃した。

 (こやつら!!)

 魔大剣の切先がジョアファルアの腕をかすめ、一筋の血が流れる。

 「人間風情が気高き神の血を流させるとは不届き千万!」

 ジョアファルアは魔力を練る。雷撃渦魔術ライトニング・トルネード光線渦魔術レイ・トルネード火炎渦魔術フレイム・トルネードを次々に無詠唱発動する。

 「ちっ! なんつう威力だ!……」

 荒れ狂う3つの大渦に襲われながら、ゼルアルは大剣の切先をジョアファルアに向けて腕を引く。

 「火炎剣技・炎尖貫通突きフレア・ペネトレイト!」

 ゼルアルは大渦の合間を縫うよつに素早くジョアファルアに接近し、魔剣技をくり出す。

 「あまいわ、愚か者!」

 ジョアファルアは上空に飛び上がる。

 「「大爆発魔術エクスプロージョン!!」」

 ジョアファルアが詠唱発動したことでゼルアルは爆炎に呑み込まれる。

 「なん……だと!?」

 だが、同時にジョアファルア自身も爆炎に呑まれてしまう。

 (おのれぇ! ラフィアスの仕業か!!)

 ウラボスが同時に同じ魔術を詠唱したことに気付き、憤怒ふんぬの形相となるジョアファルア。

 (しかし、グラヴィエルには相当なダメージを与えたはず……)

 ジョアファルアは爆炎に巻き込まれたゼルアルのほうを見る。が、その双眸そうぼうは見開かれた。

 ゼルアルは仮面は破壊されているが、大したダメージを受けている様子はない。

 ジョアファルアはリャッカを睨みつける。

 「あたしたちを忘れちゃ困るニャ!!」

 ゼルアルに防御魔術プロテクトを施したリャッカがジョアファルアに叫ぶ。

 「おのれ……雑魚の分際で!」

 リャッカは、ジョアファルアの凄まじい殺気を向けられ、足がすくむのを必死で堪える。

 「言っただろ、今の俺たちには仲間がいると!!」

 再び剛力魔術パワーを施したウラボスの一撃がジョアファルアを打つ。

 またしても地面に叩きつけられたジョアファルア。素早く立ち上がり、ウラボスに対して反撃するため魔力を練る。

 「わたしだっているわ!!」

 そうはさせまいと全能力強化超魔術オールラウンドを発動させたリアーナが斬撃と刺突を織り混ぜた連続攻撃を放つ。

 (小娘が!)

 ジョアファルアは攻撃の標的をリアーナに変更する。が、強烈な殺気を感じて飛び退く。直後、目の前にリア・ファルの杖が振り下ろされた。

 (!?)

 ウラボスは左手をジョアファルアに向けてかざす。

 「大爆発魔術エクスプロージョン! 大爆発魔術エクスプロージョン! 大爆発魔術エクスプロージョン!」

 ウラボスは連続で魔術を詠唱発動する。

 「くぅっ!!」

 大爆発を連続に受け、表情をゆがめるジョアファルア。

 「まだだ! 雷光剣技・雷尖貫通突きライトニング・ペネトレイト!」

 鋭く突きだされたゼルアルの大剣の切先から激しい電流がほとばしり、ジョアファルアを直撃する。

 ゼルアルの強力な一撃を受けて吹き飛ばされたジョアファルア。空中で体勢を直して着地する。だが、勢いは止まらず、そのまま地面を後方へと滑っていく。

 「さすがはラフィアスとグラヴィエルね」

 ジョアファルアは、ウラボスたちに攻撃され、ダメージを受けているにもかかわらず不敵に笑む。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

〖完結〗私が死ねばいいのですね。

藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。 両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。 それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。 冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。 クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。 そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全21話で完結になります。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

処理中です...