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11章 タレク島の決戦!!

STORY170 空中戦①

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 飛空艇バロン号はタレク島近海の上空を飛行していた。

 「ここまでは順調だな」

 ガリアンは前方を見据えながら呟く。敵方が仕掛けてくるとすればそろそろのはずだ。船内の空気は張り詰めていた。

 「レーダーに反応!」

 オペレーターの緊迫した声が艦橋に響く。クルーが大型望遠鏡で確認を急ぐ。

 「多数のガーゴイルです! バロン号にまっすぐ向かってきています!」

 「へっ……こんな所で遭遇するなんざ、やつらしかいねぇわな! 早速の歓迎、痛み入るぜ。こっちも応えなきゃねらねぇよな……大型魔機関銃で先制攻撃しろ!!」

 「はっ!」

 ガリアンの指示をだす。敵の方角と距離に見当をつける。

 「大型魔機関銃、発射します!!」

 バロン号に装備された大型機関銃が火を吹く。

 「どうだ!?」

 ガリアンが大型望遠鏡で確認中のクルーに訊く。

 「命中です! ですが、ガーゴイルどもが魔術を発動しました。光線魔術レイ・アローです!」

 「バロン号をなめるなよ、化け物め! バリアを展開しろ!」

 「了解!」

 ガーゴイルからの光線魔術レイ・アローに対してバロン号の前方に防御魔術プロテクトによるシールドを張る。

 ドォォォォォン!

 直後、ガーゴイルの群れが放った光線と魔力の盾が激しくぶつかる。凄まじい衝撃に揺らされながらもバロン号は無傷であった。

 「よぉし。このままタレク島まで一気に行くぞ! 加速魔術クイック発動! それと同時に主砲を発射し続けてガーゴイルどもを撃ち落としてやれ!!」

 「了解!!」

 クルーたちはガリアンの指示どおりにバロン号を動かしていく。



 「間もなくタレク島上空に到着します!」

 「よし!」

 クルーからの報告にガリアンは笑んだ。

 「油断してはダメです。タレク島にはあいつがいます!」

 「あいつだと?」

 グランザの言葉にガリアンは眉をひそめる。

 「あいつってだれなの?」

 リアーナが代表して訊く。

 「タレク島の守護神タロスです」

 「タロス……魔族なのかニャ?」

 続いてリャッカが質問する。

 「魔族というよりゴーレムに近いかな。太古の時代、神が魔族以外の者がタレク島へ侵入することを阻止するために造り出した青銅の超巨大ゴーレムです。恐ろしいほどの怪力と驚異的な硬度で、これまでどんな攻撃も全く通じなかったそうです……」

 グランザの説明を聞いたウラボスが甲板へと向かおうと動く。

 「待って! どこへ行くつもり!?」

 リアーナが呼び止める。

 「決まってるだろ? 邪魔者を排除するのさ」

 「いくらウラボスだって無茶よ!」

 「どれくらい強いのかはわからないけど、まっ……なんとかなるだろ。俺にはリア・ファルの杖があるしな」

 「それでも!」

 リアーナは引き下がらない。

 「今回はリアーナの言い分が正しいニャ。たしかにリア・ファルの杖を手にしたウラボスなら、そのタロスとかいうのを倒せるかもしれないニャ。でも、今回の目的はタロスを倒すことじゃないニャ」

 リャッカがリアーナの意見に賛成する。

 「言いたいことはわかる。けど、この状況をどうするつもりだ?」

 「それは……」

 リャッカが言い淀む。

 「前方に巨大な影です!!」

 クルーの悲鳴にも似た叫び声に一同の視線が前方に注がれる。

 そこには島に立つ、あまりにも巨大な影があった。

 「……なぁ……ウラボスさんよ、全乗組員おれたちとこのバロン号を信じちゃくれねぇか? あんたらに絶対ぜってぇにあの島の土を踏ませてみせる。そうすりゃ、俺たちはあのデカブツに勝ったってことになるよな?」

 「ガリアン……いいだろう。任せた」

 承諾するウラボス。ガリアンは口元に笑みを浮かべた。

 「感謝する。……おめぇら、気合い入れていくぜぇ!」

 「了解!!!」

 こうして、飛空艇バロン号とその乗組員によるタロスとの激戦が始まった。
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