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10章 レビオルムの惨劇

STORY161 急襲!③

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 「あそこだよ!」

 少年が道具屋の横に併設された倉庫を指差す。幸いにも入口の扉を含めて目立った損傷はない。

 「グランザ、あの入り口を守って! わたしはこの子と一緒に中へ入って安全を確認する!」

 「はい!」

 リアーナは先頭に立って倉庫の中に飛び込む。そのあとに少年が続く。

 「ここは通さない!」

 グランザは入り口で立ち止まり、槍と戦斧を構える。



 「ガァァァッ!」

 倉庫に置かれていた荷物の陰からゾンビが襲いかかる。リアーナは光属性が付与されたレイピアを横に薙ぐ。ゾンビの頭部が宙を舞って少年の側に落下した。少年は涙目になりながらも必死で悲鳴をこらえている。

 「そこに隠れててね」

 リアーナは少年を入り口付近に置かれていた荷物の陰に誘導する。少年が隠れたのを確認して奥へと進む。

 「ヌガァッ!」

 「グォォッ」

 獲物を待ち構えていたゾンビたちが次々に襲いかかってくる。

 1体、また1体と確実に敵の数を減らしていくリアーナ。だが、あとからあとから現れる。

 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

 リアーナは疲労から呼吸を乱す。魔力と尽きかけている。

 「ゴウォォォォン」

 ゾンビたちが現れなくなったとホッとしたのも束の間。倉庫の奥から黒く大きな影が近付いてきた。リアーナは息を呑む。倉庫の入り口は大きな造りだ。しかし、あの巨体が通るにはギリギリだったに違いない。

 姿を現した大型ゾンビを前にリアーナは表情を固まらせる。

 「ガァウッ」

 大型ゾンビが左手に持っていた男性の遺体を投げつけてくる。リアーナは横っ跳びにかわす。

 「このぉ!!」

 リアーナは気力を振り絞って中段に構えたレイピアの切先を突き出す。

 ズブッ……

 レイピアが大型ゾンビの腹に深々と突き刺さる。しかし、それを気に止めることもなく太い腕を振る。

 バンッ!

 弾き飛ばされたリアーナは積み上げられていた荷物に激突した。その衝撃で荷物が崩れて床に散乱する。

 「うぅ……くっ……」

 リアーナは痛みに耐えて立ち上がる。小瓶こびんが爪先に当たった。

 「これは!」

 リアーナはそれを見覚えがある。迷わず手にとって一気に飲み干した。ある程度の魔力が回復する。

 リアーナが見つけたのは魔力回復薬マジック・ポーションだった。道具屋が在庫として保管していたものだ。

 大型ゾンビは腹に突き刺さったままのレイピアを抜いて投げつける。

 「きゃ!」

 リアーナは咄嗟に身を屈めた。レイピアが猛スピードで顔の横を通過した。

 カッ

 レイピアはリアーナの後方に置かれていた木箱に刺さった。

 (危なかった! あとちょっと反応が遅かったら……)

 リアーナは冷たい汗をにじませつつも木箱からレイピアを引き抜く。

 「光属性付与魔術ライト・ウェポン!」

 再びレイピアに光属性を付与する。

 「悪いけど、あなたにいつまでも時間を割かれるわけにはいかないの!」

 リアーナは乱れた呼吸を整える。

 「全能力強化超魔術オールラウンド!!」

 リアーナは超魔術を詠唱発動する。

 「はぁぁぁぁぁっ!」

 リアーナは大型ゾンビの全身を凄まじい早さで切り刻んでいく。たちまち傷だらけになって膝をついた大型ゾンビ。

 リアーナは跳躍する。

 「光線魔術レイ・アロー!!」

 大型ゾンビの頭上で魔力を練って光線の雨を叩き込む。

 「クォォォォォォ……」

 大型ゾンビは、リアーナの猛攻によりちりと消えた。

 「ふぅ~、お嬢ちゃんのお陰で助かったよ」

 大型ゾンビが消滅したのを確認して、奥から中年の女性が現れた。
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