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3章 淫魔に憑かれた村

STORY50 ルアン&獣型モンスター戦①

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 飛び出してきたリアーナとリャッカが目にしたのは巨大な獣型モンスターとその背に乗ったインキュバスであった。

 「あれは……ルアン神父!?」

 「ルアンさんがインキュバスだったんですか!?」

 インキュバスの姿を見たリアーナとグランザが驚く。

 「そういうことニャ。そして、サキュバスはペテナだニャ」

 「そんな! それじゃウラボスさんが危険なんじゃ!?」

 グランザがウラボスを心配するが、リャッカはため息を吐く。

 「まったく……。リアーナもグランザもウラボスの強さはよく知ってるはずニャ。あの化け物がそう簡単にやられるはずがないニャ。あたしたちはあいつらをどうにかすることに専念するニャ」

 「……そうね。きっとウラボスはわたしたちを信じてここに残したんだよね。だったら、それに応えなきゃ!」

 「はい、やりましょう!」

 リャッカに諭されたリアーナとグランザはそれぞれの武器を手に臨戦態勢を整える。

 「これはこれは。わざわざのお出迎えですか」

 ルアンは余裕の笑みを見せて獣型モンスターの背中から飛び降りる。

 「ルアン神父、あなたがインキュバスだったんですね……」

 「ええ、そうですよ」

 ルアンは肯定する。

 「ペテナさんがサキュバスなんですか?」

 「正解です」

 リアーナの次の質問も肯定で返すルアン。

 「今ごろはウラボスさんはどうなっているでしょうねぇ」

 ルアンはククク…と喉を鳴らす。

 「どうもならないニャ。むしろペテナのほうを心配すべきニャ」

 「ほぉ。では、ペテナがあの男に敗北するとでも?」

 「ウラボスは絶対に勝つわ。そして、あなたはわたしたちが倒す!」

 リアーナはレイピアを手にルアンに挑んでいく。

 「面白いですね。やってごらんなさい。我が眷族よ。おまえはサイクロプスとケットシーをれ」

 「グォォォォン!」

 獣型モンスターは咆哮してグランザに突進する。

 獣型モンスターの巨体からくり出される爪攻撃はサイクロプスであるグランザさえも弾き飛ばしてしまう。

 (なんて力だ。盾で防御していても凄まじい衝撃を受けてしまう……)

 グランザは左腕に軽い痺れを感じながらも右手の槍で反撃する。しかし、獣型モンスターの動きは速い。

 「水圧矢魔術ウォーター・アロー!」

 リャッカが放った魔術が獣型モンスターに命中する。

 「ガゥッ」

 獣型モンスターは短く鳴くが大したダメージを受けている様子はない。

 「でやぁぁぁっ!」

 グランザの槍が数度閃く。しかし、その全てを巨体からは想像できないほどの身軽な動きでかわしてしまう。

 グランザの攻撃をかわしきった獣型モンスターは跳躍し、グランザに飛びかかる。

 「うわっ!」

 咄嗟に左手の盾でガードするも、体重に押し倒されてしまう。

 「雷撃矢魔術ライトニング・アロー!」

 グランザを押し倒し、噛みつこうとしている獣型モンスターに無数の雷の矢が飛ぶ。

 「グガァォ!」

 雷の矢を受け、グランザから飛び退いた獣型モンスターは標的をリャッカに変更し、襲い掛かる。

 「ニャッ!?」

 リャッカは獣型モンスターの右前足の爪攻撃を辛うじてかわす。

 (まずいニャ!)

 獣型モンスターは続け様に左前足を上げてリャッカを攻撃しようとしている。もはや回避行動は間に合わない。

 「防御魔術プロテクト!」

 リャッカが防御のための結界を張る。しかし、獣型モンスターの強烈な一撃はそれを粉砕してリャッカに届く。

 「ギニャアッ!」

 リャッカが悲鳴をあげて弾き飛ばされる。獣型モンスターはさらに追撃にでようと前傾姿勢となる。

 「リャッカ!」

 グランザは起き上がり、リャッカに向かって走る獣型モンスターに左手の盾を投げつける。

 「グガッ!」

 盾は獣型モンスターに命中し、その動きを止めることに成功した。

 「うぉぉぉぉぉ!!」

 グランザは空いた左手に戦斧を持ち、右手の槍と合わせて連続攻撃をくり出す。

 「グルルルル……」

 獣型モンスターはグランザとリャッカから離れ、身構える。

 「リャッカ! 大丈夫かい、リャッカ!」

 強敵の動きに注意を払いつつリャッカに呼び掛けるグランザ。

 「大……丈夫…ニャ……。治癒魔術ヒール

 リャッカは血が流れ出る傷口を手で押さえながら立ち上がり、回復魔術を施す。

 「本当に大丈夫かい、リャッカ?」

 グランザが心配そうに声をかける。

 「大丈夫だって言ってるニャ。それより、早いとこあいつを片付けるニャ」

 「うん、そうだね!」

 リャッカとグランザは獣型モンスターと対峙し、互いに相手の隙をうかがう。
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