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1章 出会いの町キャルト

STORY3 パーティー結成!

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 「改めて、お疲れ!」

 「お疲れ様です…」

 一仕事を終えたウラボスとリアーナは壊滅した村をあとにし、二日かけてキャルトの町へとやってきていた。

 冒険者ギルドに立ち寄ってスライム討伐完了の報告を済ませ、現在、二人の姿は宿屋兼酒場にあった。

 受け取った報酬全額をウラボスに渡そうとするリアーナだったが、ウラボスは頑として受け取らず、山分けすることで話はまとまった。

 ちなみに、ギルドは依頼完了報告を受けた時点で、専任のスタッフが確認に向かうことになっていた。彼らは瞬間移動魔術テレポーテーションを得意としており、所属しているギルド管轄内ならばどこにでも瞬時に移動することができるため、確認作業を速やかに行うことができるのである。

 「スライム討伐を完遂したのに浮かない顔だね?」

 グラスの酒を口に運びながらウラボスが訊く。

 「今回、私は何もしてないのと同じです。ウラボスさんなら一人でももっと早く、楽に終わらせることができましたよね?」

 リアーナは自らの無力さに沈痛の面持ちだ。

 「まあね。たしかに俺は一人でも問題なく終わらせていた自信はあるよ」

 「ですよね……」

 顔を伏せて落ち込むリアーナ。

 「けどさ、頼れる仲間がいるっていうのも強さの一つなんじゃないか?」

 「え?」

 リアーナはウラボスから飛び出した言葉に顔を上げる。

 「強さは一つじゃないと思うぜ。一人で何でもこなせるのも強さだろう。けど、頼れる仲間を持つのも強さのうちだろ?」

 「…そう…なのかな?」

 「考えは人それぞれだから、絶対にそうだとは言えないけどね」

 リアーナはウラボスに掛けられた言葉に笑顔を取り戻す。

 「そう…ですよね! ありがとうございます!」

 ウラボスは、目の前に置かれていたグラスのジュースを一気に飲み干すリアーナを見て微笑する。

 「ところで、答えをまだ聞いてないんだけど?」

 「答え…ですか?」

 なんのことかわからず、キョトンとするリアーナ。

 「スライム討伐が終われば、俺がリアーナのパーティーに加入してもいいか判断してもらうことになってたじゃないか」

 「あっ、そうでしたね…」

 思い出したような様子のリアーナに苦笑しながら答えを待つ。

 「私としてはウラボスさんが仲間になってくれれば嬉しいし、すごく心強いです。でも、本当にいいんですか? ウラボスさんほどの実力があればどこのパーティーだって即戦力になるし、ご自分のパーティーだって作れるはずですよ。そういうの考えてないんですか?」

 足手まといの自分のパーティーよりも、釣り合いがとれる他のパーティーのほうがウラボスにとってはいいんじゃないか、と考えるリアーナ。

 「そうかもしれないけど、俺は君を気に入ったんだ。もし、リアーナがつまらないやつだったらパーティーに入るつもりはなかったさ。でも、一緒にいると退屈しなさそうだったからね」

 ウラボスは口角を上げる。

 「…もう! なんですか、それ。……ぜひウラボスさんの力を貸してください」

 リアーナは頭を下げる。

 「よし、そんじゃ決まりだな。……っと、その前に一ついいかい?」

 「はい」

 「これからはパーティーの仲間なんだからさ、もっと普通に話さないか?」

 「…うん、わかった。それじゃ、よろしくね」

 リアーナは快諾し、笑顔をみせる。

 「ねえ、せっかくだから私たちのパーティーに名前を付けようよ」

 リアーナが提案する。

 「パーティー名か。どんな名前がいいんだい?」

 ウラボスに訊かれて、リアーナは思案する。

 「うーん……暁の風なんてどうかな?」

 リアーナが思い付いた案を出す。が、ウラボスは表情は微妙であった。

 「暁の風か。悪くはないんだけどなぁ……。風の渡り鳥のほうがよくないか?」

 「え~、そうかなぁ? ……あっ、それじゃあさ、二つを合わせて、暁の渡り鳥! なんていいんじゃない!?」

 「暁の渡り鳥……。うん、いいね」

 リアーナの出した名前にウラボスも納得する。

 「決まりね! 私たちのパーティーの名前は暁の渡り鳥!!」

 リアーナは嬉々として瞳を輝かせた。
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