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本編
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しおりを挟む眠りの底からふと意識が浮上した
鳥のさえずりと川のせせらぎが聞こえる
ぽかぽかと暖かい日差しが体を包み
柔らかい風が頬を撫でる
「ん~…」
ころりと寝返りを打つと草の香りが鼻をくすぐった
爽やかでいい香り…
暖かいし、気持ちいい…
目を閉じたまま心地よいまどろみに意識を委ねる
「ひ、人!?
な、何でこんなところに…」
驚いたような、焦ったような男性の低い声
もう少しで再び眠りに落ちるという時に、聞こえてきた大きな声に眉を潜める
…うるさい
もう少し寝たいのに…
声から逃れるように体を丸める
なにやら騒いでいるのを無視して再び眠りにつこうとしていると声が近づいてきた
「あ、あの!大丈夫ですか?おーい!」
「…」
「え、寝てる…?
おーい、起きてくださいよー…!」
「…」
「無視しないでください~!」
何なの…?
ほっといてよ…
無視を貫こうとするが、ゆさゆさと体を揺すられて仕方なく薄目を開けた
「…」
「!あ、起きました?よかった…」
「…」
…
うま
馬だ。
視界にうつった光景が信じられず目を見開く
寝ぼけているのかと思い目を擦ってみるが、目の前にいるのはやはり馬だった
馬面とかそう言う例えではなく、本物の馬
しかも二足歩行で服を来ている
「…ゆめ?」
呟いて自分の頬をつねる
…痛い
「夢じゃないですよ」
馬がしゃべった
そんな馬鹿な…
「馬…」
「はい、僕は馬族です
お嬢さんは人…ですよね?」
確認されて頷く
他に何に見えると言うのだ
「えっと…
こんなところで寝てると危ないので一先ず僕の家に来ませんか?」
「あなたの、家…?」
「はい
お嬢さん、多分ですけどここがどこかもわかってないでしょう?」
言われて辺りを見渡す
どうやら森の中の開けたスペースにいるらしい
すぐ側に小川が流れている
少し離れたところに私のスーツケースとハンドバッグが転がっていた
私、ホテルでビール飲んで寝たはずなのに…
状況が飲み込めず眉間に皺を寄せる
「説明しますから、とりあえず移動しません?
春とはいえ、そんな格好では冷えてしまいますから」
そう促され状況をつかめていない私はとりあえずついていくことにした
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