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八分咲き
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一大決心の後に口にした自分の思い
緊張のあまり睨みつけてしまったが、ちゃんと思いを伝えることはできたので
まぁいいとしよう
恐る恐る彼の反応を伺ってみる
目を丸くして固まる姿にふっと気が緩んだ
なんだか可愛いかも・・・
上がる口角をそのままに、もう一度言葉を紡ぐ
「私、貴方のことをお慕いしています」
そう告げると、彼は音がしそうな勢いで私から顔をそらした
一瞬その反応に戸惑うも、ちらりと覗く耳をみてその戸惑いも消え失せた
あら、真っ赤・・・
今までほとんど取り乱すという事をしなかった彼が赤くなっている
その事実が少し…いや、かなり楽しく、私は追い打ちをかけるように彼の側に詰め寄り、愛の言葉をささやいた
「・・・まったく、貴女という人は…」
「え…?」
ため息とともにぼそりと吐き出された言葉
うまく聞き取れず、聞き返すと返事の代わりとばかりにぐっと抱き寄せられた
ぎゅっ、と少し痛いくらいに抱きしめられて今度は私の顔が熱くなる
「な、業平殿…?」
赤くなっていることを悟られないよう、平然を装って彼の名前を呼ぶも、声が震えて残念な結果となった
そんな私の反応に、彼はくすりと笑って言葉を発する
「遅すぎますよ…私はもう十年以上も貴方を慕っているというのに、貴女は今更ですか?
だいたい、そういうことは婚儀の前にいう事でしょう・・・」
ぶつぶつと憎まれ口をたたかれた事にむっとして体を離した
反論しようと口を開くが、最初に目に飛び込んできた、心底嬉しそうな表情の彼にそのまま口を閉じる
彼は緩んだ顔をそのままに、もう一度私を引き寄せた
「遅すぎる・・・でも、嬉しいです
ありがとう…私も貴女を愛していますよ」
緩み切った表情と、蕩けてしまいそうなほど甘い声音で囁かれ、ゆっくりと唇が重なった・・・
緊張のあまり睨みつけてしまったが、ちゃんと思いを伝えることはできたので
まぁいいとしよう
恐る恐る彼の反応を伺ってみる
目を丸くして固まる姿にふっと気が緩んだ
なんだか可愛いかも・・・
上がる口角をそのままに、もう一度言葉を紡ぐ
「私、貴方のことをお慕いしています」
そう告げると、彼は音がしそうな勢いで私から顔をそらした
一瞬その反応に戸惑うも、ちらりと覗く耳をみてその戸惑いも消え失せた
あら、真っ赤・・・
今までほとんど取り乱すという事をしなかった彼が赤くなっている
その事実が少し…いや、かなり楽しく、私は追い打ちをかけるように彼の側に詰め寄り、愛の言葉をささやいた
「・・・まったく、貴女という人は…」
「え…?」
ため息とともにぼそりと吐き出された言葉
うまく聞き取れず、聞き返すと返事の代わりとばかりにぐっと抱き寄せられた
ぎゅっ、と少し痛いくらいに抱きしめられて今度は私の顔が熱くなる
「な、業平殿…?」
赤くなっていることを悟られないよう、平然を装って彼の名前を呼ぶも、声が震えて残念な結果となった
そんな私の反応に、彼はくすりと笑って言葉を発する
「遅すぎますよ…私はもう十年以上も貴方を慕っているというのに、貴女は今更ですか?
だいたい、そういうことは婚儀の前にいう事でしょう・・・」
ぶつぶつと憎まれ口をたたかれた事にむっとして体を離した
反論しようと口を開くが、最初に目に飛び込んできた、心底嬉しそうな表情の彼にそのまま口を閉じる
彼は緩んだ顔をそのままに、もう一度私を引き寄せた
「遅すぎる・・・でも、嬉しいです
ありがとう…私も貴女を愛していますよ」
緩み切った表情と、蕩けてしまいそうなほど甘い声音で囁かれ、ゆっくりと唇が重なった・・・
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