翠の桜

れぐまき

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五分咲き

6.5

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目を開けて隣を見る
そこには私に背を向け寝息を立てる愛しい我妻

のそりと身を起して彼女を覗き込んだ

「・・・ん、ぅ」

ひそかに声を立てて仰向けになった彼女にそっと手を伸ばし、髪に触れる
さらさらと指の隙間を流れる髪を感じて顔がほころんだ

愛しい愛しいこの人が、妙なところで鈍いのは今に始まったことではない
肝心なことに気がつかないのも前からだ

だが・・・

「まさか私の気持ちに気づいてなお扱いが変わらないとは思わなかったな…」

ここまで来ると怒りや呆れを通り越し、もはや笑いがこみあげてくる

髪に触れていた手で顔の輪郭をなぞる
玉のような手触りのいい頬を通ってふっくらとした形のいい唇に触れた


幼いころから憧れていた
自分のものにしたいと思った
知らない男のものになるのかと思うと、耐えられなかった
その思いは徐々に強くなり、やがて恋故の独占欲だと自覚した
そして積もり積もった恋心は彼女に接するたびに徐々に愛へと形を変えた

今では、美しい髪も、くるくる変わる表情も、唇から紡がれるどんな言葉も、全部含めて愛しい

そっと親指で唇をなで自分のそれを近づける
もう少しで触れるところまで近づき、ふとそこで動きを止めた


「・・・」


そのまま少し顔を動かし、頬に口づけた


「今はこれで我慢しましょう・・・まったく、いつまで我慢すればいいんでしょうねぇ?」


はやく私の思いを受け入れてくださいね・・・
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