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開花
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月明かりが辺りを照らす時間帯
業平殿と二人きり
いつもなら軽い口喧嘩のようなものが始まるのだが、今は先ほど発覚した過去の約束のせいで何とも微妙な空気が漂う
「・・・」
「・・・」
二人そろって黙りこむ
先に沈黙に耐えられなくなったのは私だった
「・・・ずっと、覚えてらっしゃったんですか?」
「…なにがです?」
「何がって、約束・・・」
「あぁ、はい
貴女と違って物覚えは良いほうですのでね」
「なっ、私が物覚えが悪いみたいに言わないで下さいな」
「だって実際に忘れていたでしょう?」
「・・・」
確かに忘れてたけど…
言い負かされて口を噤むと業平殿が軽く笑った
「・・・言ってくださればよかったのに」
上目遣いでにらみつつそう言ってみる
「貴女は完全に忘れていたのに、いつ言いだせと?」
「いつって・・・」
「だいたい、いきなり私が“昔、私と貴女は結婚する約束をしたんですよ”といって信じましたか?」
「それは…」
絶対信じなかっただろうけど・・・
また口を閉じる
決まり悪くて目をそらすと再度沈黙が流れた
次に沈黙を破ったのは彼
「まぁ、過ぎた事はどうでもいいです
結局私と貴女の結婚はもう決まったこと。今私がここに来いるのもそのためですしね」
その言葉にぴしりと身体が固まる
そうだ
忘れてたけど、今日って・・・
「さて、改めてもう一度聞きます。覚悟はできていますか?」
「え!?え、えっと~・・・」
どうしよう…
業平殿と二人きり
いつもなら軽い口喧嘩のようなものが始まるのだが、今は先ほど発覚した過去の約束のせいで何とも微妙な空気が漂う
「・・・」
「・・・」
二人そろって黙りこむ
先に沈黙に耐えられなくなったのは私だった
「・・・ずっと、覚えてらっしゃったんですか?」
「…なにがです?」
「何がって、約束・・・」
「あぁ、はい
貴女と違って物覚えは良いほうですのでね」
「なっ、私が物覚えが悪いみたいに言わないで下さいな」
「だって実際に忘れていたでしょう?」
「・・・」
確かに忘れてたけど…
言い負かされて口を噤むと業平殿が軽く笑った
「・・・言ってくださればよかったのに」
上目遣いでにらみつつそう言ってみる
「貴女は完全に忘れていたのに、いつ言いだせと?」
「いつって・・・」
「だいたい、いきなり私が“昔、私と貴女は結婚する約束をしたんですよ”といって信じましたか?」
「それは…」
絶対信じなかっただろうけど・・・
また口を閉じる
決まり悪くて目をそらすと再度沈黙が流れた
次に沈黙を破ったのは彼
「まぁ、過ぎた事はどうでもいいです
結局私と貴女の結婚はもう決まったこと。今私がここに来いるのもそのためですしね」
その言葉にぴしりと身体が固まる
そうだ
忘れてたけど、今日って・・・
「さて、改めてもう一度聞きます。覚悟はできていますか?」
「え!?え、えっと~・・・」
どうしよう…
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