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恋愛編
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屋敷の自室に戻り、早々に入浴と着替えを済ませた私にマーサが心配そうなを表情を浮かべて問いかけてくる
「お嬢様、なんだか様子がおかしいようですが…どうかされましたか?」
「・・・そうね。少し頭が痛むし、気分がすぐれないの
夕飯まで横になっているから一人にしてくれるかしら」
私の答えに微妙な顔をしながらも、マーサはスッと頭を下げた
「…かしこまりました。人払いをしておきます
それでは夕飯の支度が整いましたらお声をお掛け致しますね」
「ありがとう。よろしくね」
彼女が退室したのを見届けて、私はぽふりとベッドに横たわった
「……」
体調なんて悪くない
もちろん、急用があったわけでもない
ただ、ぐちゃぐちゃになってしまった頭の中を整理するため、一人になってゆっくり考えたかったのだ
『ローズマリーが、アルベルトの側にいるのが、君は嫌なのかと思ってたんだよね』
レオナルド様から言われた言葉を、ぼんやりと天井を眺めながら頭の中で反芻する
確かにアンバー王国にいる間、私の視界に二人が一緒に居る姿がちらちらと写っていたのは事実
その姿を見て幼い頃に感じていたトラウマを刺激され、少し気分が沈んでしまっていたのも事実だったかもしれない
だが・・・
どうなんだろう
彼の言う通り、私はローズマリー姫と殿下が一緒に居るのが嫌だったのだろうか?
仮にそうだとするのなら、それは〝嫉妬〟なのでは?
「嫉妬・・・」
誰が…?
私が
誰に…?
ローズマリー様に
「……しっと?」
嫉妬の意味は二つある
一つは他人が自分よりも恵まれていたり、優れていたりすることを羨み妬むこと
もう一つは自分の愛する者の愛情が他に向くのを恨み憎むこと
前者の意味での嫉妬なら、先ほども言ったように私もなんとなく自覚している
だがあの言葉から考えて、彼が私が感じていると思ったのは後者の方の嫉妬なのだろう
・・・自分の愛する者の愛情が他に向くのを、恨み憎む・・・
「・・・愛する、者?」
愛する…?
誰が、誰を?
…私が、殿下を・・・?
・・・私は、殿下を愛しているの?
頭の中を疑問符がぐるぐる回る
答えはまだ見つからない
「お嬢様、なんだか様子がおかしいようですが…どうかされましたか?」
「・・・そうね。少し頭が痛むし、気分がすぐれないの
夕飯まで横になっているから一人にしてくれるかしら」
私の答えに微妙な顔をしながらも、マーサはスッと頭を下げた
「…かしこまりました。人払いをしておきます
それでは夕飯の支度が整いましたらお声をお掛け致しますね」
「ありがとう。よろしくね」
彼女が退室したのを見届けて、私はぽふりとベッドに横たわった
「……」
体調なんて悪くない
もちろん、急用があったわけでもない
ただ、ぐちゃぐちゃになってしまった頭の中を整理するため、一人になってゆっくり考えたかったのだ
『ローズマリーが、アルベルトの側にいるのが、君は嫌なのかと思ってたんだよね』
レオナルド様から言われた言葉を、ぼんやりと天井を眺めながら頭の中で反芻する
確かにアンバー王国にいる間、私の視界に二人が一緒に居る姿がちらちらと写っていたのは事実
その姿を見て幼い頃に感じていたトラウマを刺激され、少し気分が沈んでしまっていたのも事実だったかもしれない
だが・・・
どうなんだろう
彼の言う通り、私はローズマリー姫と殿下が一緒に居るのが嫌だったのだろうか?
仮にそうだとするのなら、それは〝嫉妬〟なのでは?
「嫉妬・・・」
誰が…?
私が
誰に…?
ローズマリー様に
「……しっと?」
嫉妬の意味は二つある
一つは他人が自分よりも恵まれていたり、優れていたりすることを羨み妬むこと
もう一つは自分の愛する者の愛情が他に向くのを恨み憎むこと
前者の意味での嫉妬なら、先ほども言ったように私もなんとなく自覚している
だがあの言葉から考えて、彼が私が感じていると思ったのは後者の方の嫉妬なのだろう
・・・自分の愛する者の愛情が他に向くのを、恨み憎む・・・
「・・・愛する、者?」
愛する…?
誰が、誰を?
…私が、殿下を・・・?
・・・私は、殿下を愛しているの?
頭の中を疑問符がぐるぐる回る
答えはまだ見つからない
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