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恋愛編

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「あ、そうだった」

レオナルド様が思い出したように呟いて手に持ったままだった薔薇をもう一度私に差し出してくださる

「はい、どうぞ」
「あ…」

そうだった
ローズマリー様の登場で完全に忘れてたわ…

一瞬空いてしまった間を取り繕うように笑顔を作りお礼をのべた

「ありがとうございます」

受け取ろうとてを伸ばす
すると今の今まで空気とかしていた殿下が口を開いた

「おい」

不機嫌そうなその声音に、受け取ろうとしていた手を再び止める

なにかしら?
……私、また殿下の気に触ることをしてしまった?

不安になりながら殿下をうかがう
案の定、彼は眉間に深く皺を寄せていた

やっぱり…
今度はなにかしら…?
殿下のお怒りになるポイント、よくわからないのよね…

何に起こっているのか聞きたいがどう聞いていいのかわからない
悩んでいるとかわりにレオナルド様が首をかしげて殿下に声をかけた

「ん?何?どうかした?」

殿下はムスッとしたまま彼を睨む

「何、じゃないだろう
何でお前がセシルにバラなんか送るんだ」

その言葉にレオナルド様はきょとんと目を見張った後、納得したように頷いた

「え…?
…あぁ、そうか。なるほど…」
「…」

殿下は黙ったまま眉間に皺を寄せており、レオナルド様はうーんと唸っている
状況が理解できていない私は下手に口を挟むとややこしくなると察し、口を閉ざしたまま二人の様子を見守った

「ん~…
これはホントに他意はなかったんだけど…
色も黄色だし、特に問題ないと思うんだけどなぁ…」
「…」

レオナルド様はぶつぶつと呟きながらしばらく考えた後、なにか閃いたのかぽんと手を打った

「じゃ、こうしよう
セシリア嬢、一旦この薔薇はやめておこうか
“お裾分け”には後で一株、鉢植えでリスト公爵家に宛てて正式に送るよ
ついでにラピス皇国でも育てられるような土壌の植木鉢もつけてね」
「まぁ、よろしいのですか?」
「うん。その方が長持ちするしね」

こちらとしてもそちらの方が嬉しい

「では、お手数おかけしますがよろしくお願いいたします」

お言葉に甘えようと頭を下げる
レオナルド様はそれに頷いてから殿下の方に視線を送った

「アルベルトもそれならいいだろう?」

からかうような、面白がるような音を含んだ声

「まぁ、それなら…」

渋々といった様子で殿下がうなずいたのを確認し、レオナルド様がますます笑みを深める
殿下は殿下でますます眉間の皺を深くしたままプイッとそっぽを向いてしまった
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