60 / 125
恋愛編
59
しおりを挟む
アンバー王国王城
「やぁ!アルベルト、セシリア嬢も
よく来てくれたね、歓迎するよ」
レオナルド様がいつもの輝かしい笑みで出迎えてくださった
「あぁ、一週間世話になる」
殿下が答えたのに合わせ、私も丁寧に頭を下げた
レオナルド様はそれに笑顔で頷き言葉を続ける
「長旅で疲れただろうからまず滞在してもらう部屋に案内させるね
父上たちが晩餐は一緒にと言っていたけどそれまでは自由にしてくれていて構わないよ
後で部屋にお茶とお菓子を運ばせるからゆっくり休んで」
「あぁ、気遣い感謝する」
「じゃ、早速部屋に行こうか」
その言葉をうけて彼の後ろに控えていた青年がすっと前に進み出てきた
「私がご案内いたします」
「あぁ、頼む」
殿下が頷くと同時にレオナルド様があ、と声をあげる
「ごめん、こいつのこと紹介するの忘れてた
アルベルトは知ってるけどセシリア嬢は初めてだもんね
彼は僕のお目付役のカインだよ
この滞在中に何か困ったことがあったら僕かカインに言ってくれたら良いからね」
紹介された青年がこちらに向き直り、恭しく頭を下げた
「レオナルド殿下付きの文官をしております
シュミアン伯爵家次男、カインと申します
「初めまして、カイン様
ラピス皇国リスト公爵家長女、セシリアです
よろしくお願いしますね」
私もそれに礼を返す
二人の挨拶が終わったのを確認し、レオナルド様が再び声を発した
「さ、行こうか」
______________________________
「アルベルト様はこちらのお部屋をご使用ください
例年と同じ部屋でございます
セシリア様にはアルベルト様の隣の部屋をご用意しましたがよろしいですか?」
「問題ない」
殿下の答えを聞いてカイン様が礼をする
「それでは時間までごゆっくりお過ごしください」
「あぁ」
「ありがとうございました」
「いえ
ではこれで失礼致します」
去っていったカイン様を見送り、殿下と別れて案内された部屋に入る
部屋をぐるりと見回すと、室内はさすが王宮というべきか…一般的な客室ものより数倍広く華やかだった
アンバー王国はこういう装飾が一般的なのかしら?
白やクリーム色を基調とした家具は金で縁取りがされている
かかっている絵画や活けられた花々
カーテンやクッションなど、すべてが豪華で華やかだ
うちの国とはだいぶ違うのね…
装飾や部屋の作り事態は大差はないが、ラピス皇国の装飾は寒色を基調とし、水槽やウォーターカーテンなど、至るところに水が張り巡らされている
そのためどこか冷たい雰囲気を漂わせてるのだ
それに慣れてしまっている自分としては、この絵本に出てくるお姫様の部屋のような煌びやかな空間は少し落ち着かない
「お嬢様、お着替えのご用意ができました」
そんなことを考えていると世話役としてついてきてくれたマーサから声がかけられる
「ありがとう」
お礼を言ってそちらに近づくと、手早く外出用のドレスが脱がされ、代わりに普段来ているドレスよりも数段華やかなドレスを着せられた
「あら……?」
こんなの持ってたかしら?
首をかしげると疑問を察したのかマーサが口を開く
「アンバー王国への訪問なら華やかなものをと、奥様がお命じになって仕立てられました」
「お母様が?」
「はい
ちなみにこの訪問中のドレスはパーティードレスを除き、ほぼ全て華やかなものになっています」
「まぁ…」
フリルやクリスタルの縫い付けられたドレスに目を落とし苦笑する
この手のドレスは私にはあまり似合わないと思うのだけれど…
…相手国の好む衣装を身につけるのは友好を示す意味もあるし、仕方ないわね
自分に言い聞かせながらソファーに腰かける
一息ついたところで部屋にノックの音が響いた
「やぁ!アルベルト、セシリア嬢も
よく来てくれたね、歓迎するよ」
レオナルド様がいつもの輝かしい笑みで出迎えてくださった
「あぁ、一週間世話になる」
殿下が答えたのに合わせ、私も丁寧に頭を下げた
レオナルド様はそれに笑顔で頷き言葉を続ける
「長旅で疲れただろうからまず滞在してもらう部屋に案内させるね
父上たちが晩餐は一緒にと言っていたけどそれまでは自由にしてくれていて構わないよ
後で部屋にお茶とお菓子を運ばせるからゆっくり休んで」
「あぁ、気遣い感謝する」
「じゃ、早速部屋に行こうか」
その言葉をうけて彼の後ろに控えていた青年がすっと前に進み出てきた
「私がご案内いたします」
「あぁ、頼む」
殿下が頷くと同時にレオナルド様があ、と声をあげる
「ごめん、こいつのこと紹介するの忘れてた
アルベルトは知ってるけどセシリア嬢は初めてだもんね
彼は僕のお目付役のカインだよ
この滞在中に何か困ったことがあったら僕かカインに言ってくれたら良いからね」
紹介された青年がこちらに向き直り、恭しく頭を下げた
「レオナルド殿下付きの文官をしております
シュミアン伯爵家次男、カインと申します
「初めまして、カイン様
ラピス皇国リスト公爵家長女、セシリアです
よろしくお願いしますね」
私もそれに礼を返す
二人の挨拶が終わったのを確認し、レオナルド様が再び声を発した
「さ、行こうか」
______________________________
「アルベルト様はこちらのお部屋をご使用ください
例年と同じ部屋でございます
セシリア様にはアルベルト様の隣の部屋をご用意しましたがよろしいですか?」
「問題ない」
殿下の答えを聞いてカイン様が礼をする
「それでは時間までごゆっくりお過ごしください」
「あぁ」
「ありがとうございました」
「いえ
ではこれで失礼致します」
去っていったカイン様を見送り、殿下と別れて案内された部屋に入る
部屋をぐるりと見回すと、室内はさすが王宮というべきか…一般的な客室ものより数倍広く華やかだった
アンバー王国はこういう装飾が一般的なのかしら?
白やクリーム色を基調とした家具は金で縁取りがされている
かかっている絵画や活けられた花々
カーテンやクッションなど、すべてが豪華で華やかだ
うちの国とはだいぶ違うのね…
装飾や部屋の作り事態は大差はないが、ラピス皇国の装飾は寒色を基調とし、水槽やウォーターカーテンなど、至るところに水が張り巡らされている
そのためどこか冷たい雰囲気を漂わせてるのだ
それに慣れてしまっている自分としては、この絵本に出てくるお姫様の部屋のような煌びやかな空間は少し落ち着かない
「お嬢様、お着替えのご用意ができました」
そんなことを考えていると世話役としてついてきてくれたマーサから声がかけられる
「ありがとう」
お礼を言ってそちらに近づくと、手早く外出用のドレスが脱がされ、代わりに普段来ているドレスよりも数段華やかなドレスを着せられた
「あら……?」
こんなの持ってたかしら?
首をかしげると疑問を察したのかマーサが口を開く
「アンバー王国への訪問なら華やかなものをと、奥様がお命じになって仕立てられました」
「お母様が?」
「はい
ちなみにこの訪問中のドレスはパーティードレスを除き、ほぼ全て華やかなものになっています」
「まぁ…」
フリルやクリスタルの縫い付けられたドレスに目を落とし苦笑する
この手のドレスは私にはあまり似合わないと思うのだけれど…
…相手国の好む衣装を身につけるのは友好を示す意味もあるし、仕方ないわね
自分に言い聞かせながらソファーに腰かける
一息ついたところで部屋にノックの音が響いた
11
お気に入りに追加
614
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。
木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。
本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。
しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。
特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。
せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。
そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。
幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。
こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。
※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう
冬月光輝
恋愛
ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。
前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。
彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。
それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。
“男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。
89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる