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本編

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「…は?」

思わず間の抜けた声が出たが、仕方がないと思う

彼女は今なんと言った?
こいなか?コイナカ…恋仲?
誰と、誰が?
…まさか、俺とあの頭のおかしな令嬢か?
いやいや、いくらなんでもそんな勘違いするわけが…

「…誰と、誰のことを言っているんだ?」
「え?殿下と彼女…アリス・ホワード嬢のことですが…」

あったようだ

「冗談でもやめてくれ!」

思わず出てしまった大きな声に、セシリアがビクッと肩を震わす
それに気づいて一瞬勢いを失うが、謝るよりも誤解を解く方が優先だと判断し言葉を続けた

「そんなわけないだろ
彼女の言動を考えてみろ俺が引かれる要素が一つでもあったか?」

問うとセシリアは思案するように視線をさ迷わせる

「…ありませんわね」
「そうだろう」
「えぇ」
「それに、俺は皇太子だ
万が一あの令嬢に好意をもったとしても、恋仲になることはないだろう」

彼女は皇太子妃の器じゃない
そう言いきると彼女は驚いたように目を見開いた後、安堵したような表情を浮かべて頭を下げた

「そうですか
おかしなことを聞いてしまい、申し訳ございません」
「いや、構わない
俺も大きな声を出してすまないな」
「いえ、大丈夫ですのでお気になさらないでください」

軽く微笑んでそう言うセシリア
俺は誤解が解けたことにほっとする

「話しはそれだけか?」
「はい、お時間をとらせてしまい申し訳ございませんでした」
「大丈夫だ
…この後の予定は?」
「?今日は特に何も」
「そうか。俺は今から少し休憩しにカフェに行こうと思っていたんだが…もしよければ付き合わないか?」

言いながら手を差し出すと、セシリアは一瞬驚いた顔をしたがすぐにいつもの綺麗な笑みを浮かべた

「宜しいのですか?
お邪魔でなければご一緒させてください」

そう言って重ねられた細い手をそっと握る
今回は躊躇われなかったことに安堵しつつ、先日と同じカフェに向かって歩きだした
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