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本編

9(回想)

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アルベルトが入学してから3年の月日が流れ、今年はセシリアが入学してきた

廊下を早足に歩くアルベルトを、陽気な声が呼び止める

「やぁ、アルベルト」
「…レオナルドか」

足を止めて振り向くと光を受けてキラキラと輝く金色の髪をかき上げ、爽やかに微笑みながら近寄ってくる友人の姿

「どこに行くんだい?」
「練習場だ
次の時間は休講らしいからな」
「あれ?そうなんだ
それなら暇だし、僕も行こうかな」
「…邪魔はするなよ」

しないよ、と笑ってレオナルドも並んで歩き出す

「それにしても、君は勉強熱心だね~
時間があったらいつも練習場だし」
「…そうか?」
「そうだよ
もう中級の応用までクリアしたんだろ?」
「いや、上級の生活魔法までは終わった」
「え、いつの間に?早いねぇ…
僕らまだ3年だよ?」

凄いなぁ…と感心したように呟くレオナルド
彼は性格なのか、第三王子という立場がそうさせているのかは解らないが、とにかく勉強や努力を嫌う
本人いわく、そんなことより楽しいことがいっぱいある!らしい
だが、そう言うレオナルドも影ではそれなりに努力し、中々に優秀な成績を納めていることをアルベルトは知っている

以前、なぜ努力を隠すのかと聞いたアルベルトに向かい、レオナルドはニヤリと笑ってこう答えた「第三王子が優秀すぎると要らぬ火種になるんだよ」と…
その笑顔が妙に不気味で、アルベルトはそれ以降レオナルドにその手の話題をふることをやめた

そんなレオナルドが思い出したように口を開く

「すごいと言えば、今年の新入生に物凄い子がいるらしいよ」

その言葉にピクリと反応する
それに気づかずレオナルドは言葉を続けた

「聞いた話だと、もう全部の課題をクリアして今は付く教授を選んでるって
ラピス皇国の子らしいけど、アルベルトは知ってる?」

それを聞いて顔がこわばる

セシルだ・・・

彼女以外あり得ない
…今なんと言った?
すべての課題をクリア?
まだ入学して数か月しかたっていないのに?

「君の課題クリアのスピードもめちゃくちゃ速いと思ってたけど…
上には上がいるものだねぇ」

その後もレオナルドは何か話し続けていたが、アルベルトの耳には入ってこなかった


上には上がいる


その言葉だけがアルベルトの頭の中でぐるぐると渦巻いていた
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