紫の桜(番外編)

if

初期設定のラスト2

ゆっくりと意識が浮上した


あたりを見回すと何の変哲もない研究室へと続く廊下
腕の中には授業の教材に使っていた源氏物語の資料

「・・・戻ってきた、の？」

確認するように呟く


彼はどうしたのだろう
ちゃんと幸せになれただろうか

思い浮かんだ疑問
ふと資料が目についた


もしかすると何か変化があるかもしれない…
そう思いいたって資料を開く


軽く流し読んでみると、書かれていたのは何の変哲もない【源氏物語】
脱力したように大きく息をつく


変わっていなくてよかったような、残念なような微妙な気分になった


…そもそも、今まであったことは現実なんだろうか?
まさかすべて私の夢だったとか…?

一人で悶々と悩みはじめる


「教授?そんな所で…どうなさいました?」
「あ、あぁ、別に・・・」


後ろから声をかけられて振り向き、息が詰まった


なぜ…
疑問が頭の中をぐるぐる廻る


そこにいたのは永遠に会えなくなったはずの人だったのだ



「と、の…？」



呟くと同時に抱き寄せられる


「やっと会えた…」


今生は、貴女だけのために…
そう呟かれ涙が溢れた