【完結】コドクニアラズ ~淫らな『なんでも屋』~

ナツキ

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6・依頼人②一ノ瀬涼

涼くんの尋問

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「やっぱり、暴力なくてもあまねはエッチできるんじゃないのかなー」
と、涼くんは脱衣所で呟いた。

「あ、いや……ほんと気をつかわせちゃってごめん」

俺はトレーナーとスウェットをはくと、ネックウォーマーをつけた。

「あっ!  また髪がビチョ濡れのままじゃん」

涼くんが慌てて俺の髪をタオルで拭く。

「ありがとぉ」

涼くんとなら、ほんとほのぼの付き合えるんだろうな、なんてぼんやりと考えてしまった。

涼くんが、今日いっしょに寝よ、と誘ってきたので、一旦別れてから歯ブラシと枕とスマホを持って部屋を訪ねた。

「参考までに聞きたいんだけどさ、」
とポテチを食べながら涼くんが聞いてきた。

「どういうことされたら感じちゃうの?」

「えっ、その話するの?!」

「だってさ、あまねのこと全部知りたくなっちゃった。なんかケントさんに委ねようとか勝手に思ってたけど、やっぱオレはあまねのこと一番の理解者でありたい」

「涼くん……」

「と、いうわけで話してみよ?」

「うーわ~残酷~」

「縛られた?」

「し、縛られた」

「気持ち良かった?」

「良かった……」

「叩かれた?」

「叩かれてない」

「殴られた?」

「殴られたことはあるけど、それは普通のときかな。エッチしたときじゃない」

「え、殴られたの?」

「あー、最初ね、ケントさんの名前違うって指摘したとき」

「うーわー……あまね、ほんと無鉄砲なとこあるよな」

「申し訳ない」

「あとはなんだー?  あ、首絞めとか?」

「絞められた……ちょっと気持ち良かった……」

あー、もう恥ずかしくてポテチ食べながら話すことじゃないし穴があったら入りたいっ。


両手で顔を覆う。






ふと思う。



森内くんの首についてたのは、キスマークだった。

殴られた形跡、縛られた形跡、痣や痕になって身体中につけられていたが、手当てされた箇所もあった。お風呂や食事はとれていたようだった。

もしかしたら、俺があの時思ったよりも、森内くんのお兄ちゃんは森内くんを愛していたのかもしれない。
『もや』のせいで暴走し、森内くんを傷つけすぎてしまったのかもしれない。
もとは愛情による表現だったのかもしれない。
俺と同じで、森内くんがお兄さんに痛みを望んでいたかもしれない。



全部想像だ。

暴力を愛情で片付けたら、世の中の虐待が正当化されてしまう。

でも、



でも逆に、



そこに相互の愛があったのなら、ほんの少し……



ほんの少し……






「あまね?」

はっ、と我に返る。


「ごめん」

「なんか考えてた?」

「……うーんと、今度殴られてみようかと考えてた」


「━━━なんでだよっ」

驚いた涼くんは、視線を横にずらし、少し考え込んだ。
そして、入り口そばに置いた、帰省用にまとめられた段ボールの上からガムテープを取った。




「……オレがやる」

「え」

涼くんは椅子に座っていた俺の両手をガムテープでぐるぐると巻き、背もたれの後ろに固定した。

「りょ、涼くん」

「黙って」

怖くなって顔のひきつった俺に、涼くんは甘くて優しいキスをする。

おいしい、と言った唾液を、涼くんは咥内を犯しながら流し込み、あごを押さえて無理に飲ませる。

そのまま首筋をついばみ、右肩を軽く噛んだ。

「っあ゛っりょ、りょ、うくん」

正直、半立ちになったが、恐怖も残っている状態だった。

「殴るよ?」


怖くて、


目をぎゅっとつぶる。


……10秒ほどだろうか。


……20秒ほどだろうか。


俺はそっと目を開ける。


「涼くん……」


涼くんは、苦悶の表情を浮かべ、座り込んでいた。


「ごめん、やっぱオレにはできないわ」


「……うん、俺も、変なこと言ってごめん」


俺はただ、謝った。














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