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4・依頼人⑥土野恵美
解決編?といっていいものか 【4・依頼人⑥最終話】
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ああ、詳しくはまた今度でいいや、と思い直し、俺はケントさんの首元に抱きついた。
俺は、今にも暗く沈みそうな心を満たしたかった。
「ケントさぁん、好き……」
「オレも好きだよ」
ケントさんは額にキスしてくれた。
足りない。
「もっと、して」
ケントさんは、ちゅ、ちゅ、とあちこちに柔らかい唇を当ててくれた。
「くちーぃ」
俺が更におねだりしてみると、ケントさんは応えてくれ、舌を絡めさせてクチュリと淫らな音を立ててくれた。
かすかにビールの味がする。
咥内をケントさんの舌が這い、とろりとした唾液を舌に乗せ俺に飲ませる。
「ん━━ぁん━━ッ」
俺は再び身体が火照り、ケントさんが欲しくなった。
「あまね、またしたいの?」
とケントさんが少し驚いたように聞いてきたので、
「……来週法事入ってて、会えないなあと思ったら、……また欲しくなりました」
話すのも苦痛になるほど、ひどく憂鬱な用事だった。
ケントさんに、指で犯されて、果てた末に気を失ってしまいたい。
「そうか」
そう返事すると、ケントさんは顎から下へ舌を這わせ、首筋を通り胸元まで丁寧に愛撫してくれた。
━━━ああ、このままずっと、ケントさんに愛されたいな。
━━━━━依頼人⑥土野恵美
土野家殺人未遂について調査報告。
土野恵子(61)が毎月行われる食事会において体調を崩す。原因は味噌汁に入っていた芋。
毒性のあるクワズイモという、里芋に似たような有害植物のようだ。
長女の牧村好恵(39)に味噌汁のことを問うと、あっさりと殺意を認める。
そのことで、『もや』のことは告げずに恵美さんに犯人を伝えると、あとは恵美さんが探ってくれ、4日後の水曜のバイトのときには全容が解明した。
以下、土野恵美による牧村好恵の聞き取り。
1年前に母親の恵子が、自分の夫・真一郎に毒を飲ませ殺害した。そのことを知った姉・好恵は同じ手口で犯行に及び(母の使った毒物は不明)、恵子へ脅迫しようとした。
(母親が警察に話すなど公にすると、自身の犯行もバレることを恐れ、母親は通報しないだろうと予想した上での犯行)
診察した近所の町医者は恵子の同級生であり、1年前の件も今回も、事実を隠蔽したかと思われる。
ことの発端は40年以上前に遡る。
恵子は昔、西園近衛という男性が好きだったが、意に沿わぬ結婚を強いられ、子を産んだときにせめて愛する人の名『コノエ』と呼びたい、という想いから娘に『好恵』と名付けた。だが、小学生のときUMAが流行り、娘が『ツチノコ』とあだなをつけられてしまい、恵子は長い間名付けについて恨まれることになった。
恵子が60才還暦の年(昨年)、同窓会が開催され、近衛と再会したことにより、想いが再燃し、夫を殺害、逢瀬を楽しむ。
そんな母の行動を不審に思った好恵は、この一年で、自分の名前の由来、そして父の死の真相に気付いた。そして、激しい怒りを抱き、今回の犯行に及んだ。
コドアラプロジェクト内での情報交換共有。
恵美さんの本名は龍ノ介、あだなが『ツチノコ』にならないように、小学生のときの姉が母に助言した。ただ、姉3人と遊んだ幼少期の影響で女の性を欲し、現在はホルモン治療を行い『恵美』として生きている。
この姉の小さな恩が、恵美の心中に長らく残っていたのだろう。事情を知った恵美は姉を不憫に思い、今回の事件は、恵美の口より明るみになることはなかった。
俺は、今にも暗く沈みそうな心を満たしたかった。
「ケントさぁん、好き……」
「オレも好きだよ」
ケントさんは額にキスしてくれた。
足りない。
「もっと、して」
ケントさんは、ちゅ、ちゅ、とあちこちに柔らかい唇を当ててくれた。
「くちーぃ」
俺が更におねだりしてみると、ケントさんは応えてくれ、舌を絡めさせてクチュリと淫らな音を立ててくれた。
かすかにビールの味がする。
咥内をケントさんの舌が這い、とろりとした唾液を舌に乗せ俺に飲ませる。
「ん━━ぁん━━ッ」
俺は再び身体が火照り、ケントさんが欲しくなった。
「あまね、またしたいの?」
とケントさんが少し驚いたように聞いてきたので、
「……来週法事入ってて、会えないなあと思ったら、……また欲しくなりました」
話すのも苦痛になるほど、ひどく憂鬱な用事だった。
ケントさんに、指で犯されて、果てた末に気を失ってしまいたい。
「そうか」
そう返事すると、ケントさんは顎から下へ舌を這わせ、首筋を通り胸元まで丁寧に愛撫してくれた。
━━━ああ、このままずっと、ケントさんに愛されたいな。
━━━━━依頼人⑥土野恵美
土野家殺人未遂について調査報告。
土野恵子(61)が毎月行われる食事会において体調を崩す。原因は味噌汁に入っていた芋。
毒性のあるクワズイモという、里芋に似たような有害植物のようだ。
長女の牧村好恵(39)に味噌汁のことを問うと、あっさりと殺意を認める。
そのことで、『もや』のことは告げずに恵美さんに犯人を伝えると、あとは恵美さんが探ってくれ、4日後の水曜のバイトのときには全容が解明した。
以下、土野恵美による牧村好恵の聞き取り。
1年前に母親の恵子が、自分の夫・真一郎に毒を飲ませ殺害した。そのことを知った姉・好恵は同じ手口で犯行に及び(母の使った毒物は不明)、恵子へ脅迫しようとした。
(母親が警察に話すなど公にすると、自身の犯行もバレることを恐れ、母親は通報しないだろうと予想した上での犯行)
診察した近所の町医者は恵子の同級生であり、1年前の件も今回も、事実を隠蔽したかと思われる。
ことの発端は40年以上前に遡る。
恵子は昔、西園近衛という男性が好きだったが、意に沿わぬ結婚を強いられ、子を産んだときにせめて愛する人の名『コノエ』と呼びたい、という想いから娘に『好恵』と名付けた。だが、小学生のときUMAが流行り、娘が『ツチノコ』とあだなをつけられてしまい、恵子は長い間名付けについて恨まれることになった。
恵子が60才還暦の年(昨年)、同窓会が開催され、近衛と再会したことにより、想いが再燃し、夫を殺害、逢瀬を楽しむ。
そんな母の行動を不審に思った好恵は、この一年で、自分の名前の由来、そして父の死の真相に気付いた。そして、激しい怒りを抱き、今回の犯行に及んだ。
コドアラプロジェクト内での情報交換共有。
恵美さんの本名は龍ノ介、あだなが『ツチノコ』にならないように、小学生のときの姉が母に助言した。ただ、姉3人と遊んだ幼少期の影響で女の性を欲し、現在はホルモン治療を行い『恵美』として生きている。
この姉の小さな恩が、恵美の心中に長らく残っていたのだろう。事情を知った恵美は姉を不憫に思い、今回の事件は、恵美の口より明るみになることはなかった。
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