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14、ツイッター
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シャワーを浴びて汗を流していると、ひどくおなかが空いていることに気付き、なにげなく時計を見た。
浴室の時計は14:48。
伊織くんが8時か9時にやってきて、そのまま二度寝した。起きてセックスして、もうすぐ3時……!!
慌てて浴室を出て、伊織くんに声をかける。
「伊織くん、ごめん。おなかすいたよね?!」
「おかえりなさ~い。うん、おなかすいてる~♡でも先パイが寝ている間に、持ってきてたお菓子は食べたよ♡」
「うわー、ごめんね。何食べたい?」
「今日もリクエストしていいんですか~? えっちのあとはお肉食べたいなあ♡♡」
「そうだね」
俺は素直に、伊織くんに同調した。
丸一日食べてなかった身体は空腹で倒れそうだった。
今まで、こんなことなかったけど。食べなくても、いつまでも過ごせた。見かねて涼くんや食堂の小出さんが無理やり食べさせてたのを思い出した。
伊織くんといると、なんだか身体も正直な作りに変わっていく気がした。
「豚肉のソテーでもいい? とんかつは時間かかっちゃう」
2日連続揚げ物はどうかと思ったので、伊織くんには悪いけど涼くんにも食べさせたソテーを提案した。カルディで買ったソースを使うから、味付けも考えなくてよい。
「わーい♡♡♡」
伊織くんは嬉しそうな声を上げた。
食器を洗っていると、伊織くんがソファに寄りかかりながらスマホを触ってることに気付いた。
「あ! 伊織くん、それ俺のだよね?!」
手を拭き、急ぎ足で歩み寄った。
「えへへ♡」
「えへへじゃなーい! あれ、もしかして俺がお風呂入ってる時も触った?」
そういえば、とシャワーを浴びる前後のスマホの位置を確認すると場所が変わっていた。
「バレちゃったかー。先パイ、ツイッターってやってますか?」
「してないよ?」
「インスタは?」
「してない……なに?」
伊織くんの質問の意図がわからず、少し戸惑いながら、聞き返した。
「えっとお、あまね先パイのアカウント作っておきました♡♡」
「え?!」
スマホの画面を見せられ、俺は驚いた。
kent
@kentM1130
の名前で、ツイッターのアカウントが作られている。
「な、なななにこれっ?!」
「先パイのアカウントです♡」
「なに勝手に作っちゃうんだよーえ、あ!! これってツイートしてる?!」
「えへへ♡おれもしたことなかったから、ちょっと試しにつぶやいちゃった♡」
" 顔を殴るのは反則だ "
「なななな、なんてことをっ!!」
「えー、だってなんかあまね先パイって内にためこんじゃうタイプだしー、吐き出した方がすっきりするかと思って♡」
「だからって、全世界に向けてウソつくことないでしょ!」
俺は伊織くんを叱った。
なんて子なんだっ。
「……ウソじゃないでしょ? 殴られましたよね?」
「……」
俺はぶつけただけだと、伊織くんには伝えた。でも彼は俺のウソに気付いていたようだ。
「D Vですよ?」
「……そうだね……」
以前にも、伊織くんに言われた言葉。
でも俺はケントさんのことが好きだし、殴られるのもきっと好きだ。
「思ってること匿名で呟いたら、少しはモヤモヤはれるかなあと」
別れることはできないと、それがわかっている伊織くんは、俺に少しでも気が楽になるような提案をしてくれたんだ。
俺は怒るのをやめた。
でも。
「ご厚意はありがたく受け取るけども。2個目のツイートはなに?!」
" かわいい後輩といちゃいちゃしたから元気になった "
「えへへ~♡♡」
「しかもっしかもいっぱいフォローしてるじゃん。これ誰なのっ!!」
フォロー数が100を超えていた。もちろん、フォロワーは0人だ。
「え、なんかー、見てたらゲイの人いっぱいいたんですよ。それでフォローしちゃった♡♡」
伊織くんはタップして、フォロー者の一覧を見せてくれた。さらにタップし、ある人を開く。
ものすごいイケメンの自撮りだった。
「誰、この人? かっこいいね?」
「なんか、ゲイの人って筋トレした身体とかのせてました~ほら、これなんかちんこ見せてますよ」
「ぇえー!!」
さらさらと画面をスワイプしたりタップしたりして、伊織くんはかっこいい男性のあらわな姿をたくさん見せてくれた。
「……世の中にはこんなにイケメンがあふれてるの……?」
信じられなかった。
フォロワー数も、数万のもあれば4桁のもいたがどの人も麗しきボディーに輝かしい日常を送っていた。
「まあ、加工もあるでしょうけどね。なんか楽しくていっぱいフォローしちゃいました。あ、あまね先パイが好きそうな、エグいのもフォローしときましたからね♡」
「うわ……」
鬼畜、の文字に目を覆った。
自分が受けるならまだましも、人がされてるのはかわいそうで見てられない。
「先パイも、試しにつぶやいてみてよ。なにか変わるかもしれないですよ」
「かわ、るかなあ?」
俺は伊織くんに無理やりスマホを持たされ、しぶしぶつぶやいた。
" 後輩が勝手にアカウントつくりました "
「えー。つまんなーい」
「この自己紹介なに? ケントさんの悪口を言うって書いてるじゃん。不特定多数の人が見るSNSに、こんなこと書くのだめでしょ」
「ケントなんて名前たくさんあるもーん。それに、ケント先生ってツイッターしてないでしょ? バレない、バレない♡♡」
もー、この子は。
「ほら、もう一回つぶやいてみて。昨日思うところあったでしょ?」
「はぁ……」
" 仲直りせっくすは気持ちよかったです "
「ほんと……ほんとあまね先パイはDV被害者マインドですね」
伊織くんはあきれたようだが、それも含めて俺なんですねと、慈しむようにキスをしてくれた。
浴室の時計は14:48。
伊織くんが8時か9時にやってきて、そのまま二度寝した。起きてセックスして、もうすぐ3時……!!
慌てて浴室を出て、伊織くんに声をかける。
「伊織くん、ごめん。おなかすいたよね?!」
「おかえりなさ~い。うん、おなかすいてる~♡でも先パイが寝ている間に、持ってきてたお菓子は食べたよ♡」
「うわー、ごめんね。何食べたい?」
「今日もリクエストしていいんですか~? えっちのあとはお肉食べたいなあ♡♡」
「そうだね」
俺は素直に、伊織くんに同調した。
丸一日食べてなかった身体は空腹で倒れそうだった。
今まで、こんなことなかったけど。食べなくても、いつまでも過ごせた。見かねて涼くんや食堂の小出さんが無理やり食べさせてたのを思い出した。
伊織くんといると、なんだか身体も正直な作りに変わっていく気がした。
「豚肉のソテーでもいい? とんかつは時間かかっちゃう」
2日連続揚げ物はどうかと思ったので、伊織くんには悪いけど涼くんにも食べさせたソテーを提案した。カルディで買ったソースを使うから、味付けも考えなくてよい。
「わーい♡♡♡」
伊織くんは嬉しそうな声を上げた。
食器を洗っていると、伊織くんがソファに寄りかかりながらスマホを触ってることに気付いた。
「あ! 伊織くん、それ俺のだよね?!」
手を拭き、急ぎ足で歩み寄った。
「えへへ♡」
「えへへじゃなーい! あれ、もしかして俺がお風呂入ってる時も触った?」
そういえば、とシャワーを浴びる前後のスマホの位置を確認すると場所が変わっていた。
「バレちゃったかー。先パイ、ツイッターってやってますか?」
「してないよ?」
「インスタは?」
「してない……なに?」
伊織くんの質問の意図がわからず、少し戸惑いながら、聞き返した。
「えっとお、あまね先パイのアカウント作っておきました♡♡」
「え?!」
スマホの画面を見せられ、俺は驚いた。
kent
@kentM1130
の名前で、ツイッターのアカウントが作られている。
「な、なななにこれっ?!」
「先パイのアカウントです♡」
「なに勝手に作っちゃうんだよーえ、あ!! これってツイートしてる?!」
「えへへ♡おれもしたことなかったから、ちょっと試しにつぶやいちゃった♡」
" 顔を殴るのは反則だ "
「なななな、なんてことをっ!!」
「えー、だってなんかあまね先パイって内にためこんじゃうタイプだしー、吐き出した方がすっきりするかと思って♡」
「だからって、全世界に向けてウソつくことないでしょ!」
俺は伊織くんを叱った。
なんて子なんだっ。
「……ウソじゃないでしょ? 殴られましたよね?」
「……」
俺はぶつけただけだと、伊織くんには伝えた。でも彼は俺のウソに気付いていたようだ。
「D Vですよ?」
「……そうだね……」
以前にも、伊織くんに言われた言葉。
でも俺はケントさんのことが好きだし、殴られるのもきっと好きだ。
「思ってること匿名で呟いたら、少しはモヤモヤはれるかなあと」
別れることはできないと、それがわかっている伊織くんは、俺に少しでも気が楽になるような提案をしてくれたんだ。
俺は怒るのをやめた。
でも。
「ご厚意はありがたく受け取るけども。2個目のツイートはなに?!」
" かわいい後輩といちゃいちゃしたから元気になった "
「えへへ~♡♡」
「しかもっしかもいっぱいフォローしてるじゃん。これ誰なのっ!!」
フォロー数が100を超えていた。もちろん、フォロワーは0人だ。
「え、なんかー、見てたらゲイの人いっぱいいたんですよ。それでフォローしちゃった♡♡」
伊織くんはタップして、フォロー者の一覧を見せてくれた。さらにタップし、ある人を開く。
ものすごいイケメンの自撮りだった。
「誰、この人? かっこいいね?」
「なんか、ゲイの人って筋トレした身体とかのせてました~ほら、これなんかちんこ見せてますよ」
「ぇえー!!」
さらさらと画面をスワイプしたりタップしたりして、伊織くんはかっこいい男性のあらわな姿をたくさん見せてくれた。
「……世の中にはこんなにイケメンがあふれてるの……?」
信じられなかった。
フォロワー数も、数万のもあれば4桁のもいたがどの人も麗しきボディーに輝かしい日常を送っていた。
「まあ、加工もあるでしょうけどね。なんか楽しくていっぱいフォローしちゃいました。あ、あまね先パイが好きそうな、エグいのもフォローしときましたからね♡」
「うわ……」
鬼畜、の文字に目を覆った。
自分が受けるならまだましも、人がされてるのはかわいそうで見てられない。
「先パイも、試しにつぶやいてみてよ。なにか変わるかもしれないですよ」
「かわ、るかなあ?」
俺は伊織くんに無理やりスマホを持たされ、しぶしぶつぶやいた。
" 後輩が勝手にアカウントつくりました "
「えー。つまんなーい」
「この自己紹介なに? ケントさんの悪口を言うって書いてるじゃん。不特定多数の人が見るSNSに、こんなこと書くのだめでしょ」
「ケントなんて名前たくさんあるもーん。それに、ケント先生ってツイッターしてないでしょ? バレない、バレない♡♡」
もー、この子は。
「ほら、もう一回つぶやいてみて。昨日思うところあったでしょ?」
「はぁ……」
" 仲直りせっくすは気持ちよかったです "
「ほんと……ほんとあまね先パイはDV被害者マインドですね」
伊織くんはあきれたようだが、それも含めて俺なんですねと、慈しむようにキスをしてくれた。
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