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4、していいのに

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「はぁ~やっと終わったあ~」

昼休憩を挟み、夕方18時までみっちりと授業が行われた。受験生、おそるべし。

「涼くん、お疲れさま~夜ごはん食べる?」

俺は午後のんびりと料理を作っていた。グリーンカレーにヤムウンセン、それからリンゴたっぷりのポテトサラダ。
涼くん食べるなら、ポークソテー足そうかなあ。

「食う~寮まで持たない……」

毎日ケントさんが送迎するのかな?

「泊まってく?」

まさか夕方までみっちりあるとは思わなかったな。これ自宅か寮じゃないとキツいかも。

「明日からはそうしようかな……あ、これヤムウンセンてやつ?」

「うん、そう~キットがあってさ。昨日こういうやつたくさん買ってもらったんだ。あ、グリーンカレーはちゃんと作ったよ」

「すげー」

「あと肉焼こうか?」

「ありがとー♡」
涼くんはそう言って俺にキスをした。




あれ。


なんか俺、涼くんと付き合ってるみたいだな。




……いいか。




ジュージューと豚カツ用の厚い肉を焼き、これまたカルディで買ったソースをかけて味つけする。
あちっと言いながら肉をカットして、テーブルに運んだ。

「今日はナンじゃないんだ?」

「ごめん、なんかお米が食べたかったんだよね~」

「いやいいよ、オレもごはん好き」

「良かった」

2人で早めの食事をしていると、ケントさんが帰ってきた。

「お帰りなさーい」

「ケント先生~明日から泊まっていい?  夏期講習毎日18時まであるんですよね」

「は?  イヤだ。帰れ」

「ひっど!  あまねのこと心配で昼間オレ呼んどいて、終わったら帰すんですかっ」

「あーそうだよ、悪いか」
ケントさんはいけしゃあしゃあと、ひどいことをのたまった。

「ケントさん~それはあんまりだよ。俺、昼間一人で大丈夫だよ」

「ダメだ」

「じゃあ涼くん泊まらせてあげてよ。ゲストルームの荷物、ほとんど捨てて良いものだったから明日には片付くよ」

「いや捨てなくていいよ。ベッドの上は荷物ないじゃん。ケント先生お願いっ♡」

出た、涼くんのハートつけたしゃべり方。イケメンの甘え方、破壊力ハンパない。
でもケントさんに通じるかな?



「はあ゛。じゃあ明日からな」

え、すごい。ケントさんがOKしてくれた。すっごいイヤそうだったけど。

「ありがとうございまーす♡」

涼くんはにやにやしながら、俺を見た。

あ。

昼間、また俺といちゃつくつもりだな。




もー。











ケントさんは涼くんを寮まで送って帰ってくると、すぐに抱きついてきた。
退院して頬にキスしかしなかったケントさんが、あきらかに発情している。

「お風呂、溜めたよ。いっしょに入ろ」
そう声をかけると、ケントさんは両手で顔をつかみ、深いキスをしてきた。

あ、ケントさんの舌。

久しぶりだ。

なんだか、気持ちいい。

咥内を激しく乱して、舌を絡ませてはクチュクチュと唾液を与えられる。

「━━━━ハァッ♡」

今までどうやってキスをしていたっけ?と思うほど息が苦しくなって、甘い吐息と共にケントさんの身体をギュウッとつかんだ。

そのままソファに倒され、脚の間にケントさんの膝が入り込み、左手はTシャツの中へと侵入していった。胸元の小さな突起をさすられ、指で弾かれると身体がビクンと震えた。

「あっ♡」

「……少しは感じるか?」
ケントさんは首筋を愛撫しながら聞いてきた。

「うん」
まだ、くすぐったいけど。

快楽が、脳には響かない。

乳首は硬くなったけど、俺の股間はたぶん変化してない。

「ケントさん……セックスする?」

ケントさんが我慢しているのはわかるから、俺は誘ってみた。
でも、勃たないチンコを見てケントさんは困った顔をした。

「お前、まだそういう気分じゃないだろ?」

「いいのに。前は強引にしてきたじゃん」

「前は乱暴にしてもお前のチンコ勃ってただろ」

うっ。そうだけど。

「大丈夫だよ。俺ドMなんだから、ケントさんに無理やりされたいよ」

「嘘つけ」

「ほんとだよ。俺、縛られて乱暴に挿れられたい」

俺はケントさんが喜ぶ姿を見たかった。

俺が勃たなくても、セックスは成立するんだから、無理やりにでもして欲しい。

我慢させてるのが申し訳なかった。

「最後にしたのっていつだっけ?  お正月だよね?  もう半年してないよ」

「あまね、オレは無理にしなくてもいいから」

「俺はしたいよ」

「全然感じてないだろ……」
ケントさんは苦しそうな表情で答えた。

昔のケントさんより、ずいぶんと優しくなってる。

「もう、いいのに~。じゃあ口でしようか?」

「それはイヤ」

もう~っ。

「じゃあ挿れてっ!!  お願いします」

ケントさんが我慢しているの、すごくイヤだ。

「しねーよ……」

ケントさんはギュウーっと上から覆いかぶさって、大きなため息を吐いた。





俺は悲しかった。


申し訳なくて、辛くなった。




俺の性欲、どこに行っちゃったんだろう。













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