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花束の贈り主
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「ええと、アルベルト様にそのような提案をしていただけるほど力のある実家ではないのですが……」
おずおずと告げると、アルベルト様は片眉をつりあげた。
「そこの元婚約者が言っていたじゃないか。花束の贈り主と結婚すればいいって」
はい?
「私がその贈り主だよ」
あのモテモテの伯爵令息様が?
花の妖精さん?
「元婚約者に自慢するほど喜んでくれていたんだね。嬉しいよ。今年のオレンジ色のカーネーションはどうだった?」
今年届いた花の種類を知っているのは、私の家族と使用人、そして贈り主だけだ。まだ誰にも言っていないから。
どうやら彼は本当に妖精さんのようだった。
婚約破棄に本物の妖精さんに、と衝撃的なことが重なった私はすうっと意識が遠くなるのを感じた。
気を失う直前、誰かに支えられた気がした。
気がつくと、自室のベッドで寝ていた。
しばらくぼんやりとしてようやく最後の記憶を探り当てた私は、ガバリと起き上がった。
その時、枕元のサイドテーブルの上の紙が目に入った。
手に取って目を通すと、それはアルベルト様の書き置きで「明日の午後に訪問する」と書いてあった。
どうやら、あの記憶は夢ではなかったらしい。
必然的に、婚約破棄も実際にあったことになるわけで……。
考えると頭が痛い。ひとまず寝て、明日考えることにしよう。
現実逃避することを決め込んだ私は、ベッドに再びもぐりこんだ。
おずおずと告げると、アルベルト様は片眉をつりあげた。
「そこの元婚約者が言っていたじゃないか。花束の贈り主と結婚すればいいって」
はい?
「私がその贈り主だよ」
あのモテモテの伯爵令息様が?
花の妖精さん?
「元婚約者に自慢するほど喜んでくれていたんだね。嬉しいよ。今年のオレンジ色のカーネーションはどうだった?」
今年届いた花の種類を知っているのは、私の家族と使用人、そして贈り主だけだ。まだ誰にも言っていないから。
どうやら彼は本当に妖精さんのようだった。
婚約破棄に本物の妖精さんに、と衝撃的なことが重なった私はすうっと意識が遠くなるのを感じた。
気を失う直前、誰かに支えられた気がした。
気がつくと、自室のベッドで寝ていた。
しばらくぼんやりとしてようやく最後の記憶を探り当てた私は、ガバリと起き上がった。
その時、枕元のサイドテーブルの上の紙が目に入った。
手に取って目を通すと、それはアルベルト様の書き置きで「明日の午後に訪問する」と書いてあった。
どうやら、あの記憶は夢ではなかったらしい。
必然的に、婚約破棄も実際にあったことになるわけで……。
考えると頭が痛い。ひとまず寝て、明日考えることにしよう。
現実逃避することを決め込んだ私は、ベッドに再びもぐりこんだ。
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