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花束の贈り主
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「トラウマになってしまったんだな。かわいそうに。でも、いつのことだったかは教えてくれないか。キイラを罪に問うのに必要なんだ。それだけ教えてくれれば、いくらでも休んでいて大丈夫だから」
ハンナさんは顔をひきつらせた。
だって、嘘だもんね。日時を聞かれても困るよね。
「ちょ、ちょうど1週間前です!」
1週間前?
私は首を傾げた。
「本当に、その日ですか? 場所は?」
「はい! 間違いありません。場所は王都の中心部にある教会の前の階段です」
自信ありげに胸を張るハンナさんに、私は冷静に事実を告げた。
「あの、やはり人違いだと思います」
「この期に及んでまだ言い逃れをする気か!」
目をつりあげて怒鳴ってくるユージーンに、私は肩を揺らした。
「いいえ。その日は私の誕生日でしたから。パーティーを開いて友人と話していましたし、パーティーの後は家族と過ごしていました。ユージーンは来てくれませんでしたけど」
「は? 誕生日?」
ユージーンはきょとんとした。婚約者の誕生日を忘れていたようだ。
周囲がざわめいた。
一応礼儀として招待は送ったんだけどな。出席とも欠席ともお返事をいただけなかったから、困ったのよね。
「そういうわけなので、人違いです」
用は済んだと思って立ち去ろうとすると、ユージーン様に呼び止められた。
「待て。パーティーの合間とか前後とか、抜け出す時間があったはずだ、絶対に。ハンナが嘘をつくはずがない」
「そうだとしても、ハンナさんのおっしゃっている階段までかなりの距離がありますので、往復する時間はないと思います。必要であれば家族や友人に証言していただくことも可能ですので。婚約破棄、承りました」
ドレスのスカートの裾をつまんで一礼をして今度こそその場を離れようとすると、肩に誰かの手がポンと置かれた。
周囲から黄色い悲鳴が上がる。
手の主を見ると、そこには顔が良くて性格も良くてモテるのになぜか婚約者がいないと評判の伯爵令息、アルベルト様が立っていた。
慌てて挨拶をすると、アルベルト様はにこりとした。
「キイラ嬢。婚約破棄されたならば、次の結婚相手を探すのだろう。その結婚候補の一覧に私の名前を加えてくれないか?」
私は絶句した。
視界の端で令嬢が何人か気絶するのが見えた。
ハンナさんは顔をひきつらせた。
だって、嘘だもんね。日時を聞かれても困るよね。
「ちょ、ちょうど1週間前です!」
1週間前?
私は首を傾げた。
「本当に、その日ですか? 場所は?」
「はい! 間違いありません。場所は王都の中心部にある教会の前の階段です」
自信ありげに胸を張るハンナさんに、私は冷静に事実を告げた。
「あの、やはり人違いだと思います」
「この期に及んでまだ言い逃れをする気か!」
目をつりあげて怒鳴ってくるユージーンに、私は肩を揺らした。
「いいえ。その日は私の誕生日でしたから。パーティーを開いて友人と話していましたし、パーティーの後は家族と過ごしていました。ユージーンは来てくれませんでしたけど」
「は? 誕生日?」
ユージーンはきょとんとした。婚約者の誕生日を忘れていたようだ。
周囲がざわめいた。
一応礼儀として招待は送ったんだけどな。出席とも欠席ともお返事をいただけなかったから、困ったのよね。
「そういうわけなので、人違いです」
用は済んだと思って立ち去ろうとすると、ユージーン様に呼び止められた。
「待て。パーティーの合間とか前後とか、抜け出す時間があったはずだ、絶対に。ハンナが嘘をつくはずがない」
「そうだとしても、ハンナさんのおっしゃっている階段までかなりの距離がありますので、往復する時間はないと思います。必要であれば家族や友人に証言していただくことも可能ですので。婚約破棄、承りました」
ドレスのスカートの裾をつまんで一礼をして今度こそその場を離れようとすると、肩に誰かの手がポンと置かれた。
周囲から黄色い悲鳴が上がる。
手の主を見ると、そこには顔が良くて性格も良くてモテるのになぜか婚約者がいないと評判の伯爵令息、アルベルト様が立っていた。
慌てて挨拶をすると、アルベルト様はにこりとした。
「キイラ嬢。婚約破棄されたならば、次の結婚相手を探すのだろう。その結婚候補の一覧に私の名前を加えてくれないか?」
私は絶句した。
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