瀬野の短編集「婚約破棄」

瀬野凜花

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婚約解消と運命の女神

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 運命のあの日から10年が経った。私とレオンの関係は今でも良好だ。良好というか、周りに「いつまで新婚なんだ」と言われるくらいには仲が良い。

 レオンと婚約して結婚の準備をしている間、レオンはたくさんの想いを伝えてくれた。
 私はいつしかレオンのことを好きになっていた。初恋だ。あの時婚約が解消になった時はどうしようかと思ったけど、結果的には良かったわ。
 もしかしたら、学園にいたときからレオンに惹かれていたのかもしれない。ふとそう思ってレオンに何気なく言った時のレオンの嬉しそうな顔は忘れられない。

 可愛い子どもも2人生まれた。男の子と女の子が1人ずつ。2人ともレオンのまねなのか、「愛してる!」「大好き!」と1日に何度も言ってくれる。本当に可愛い。

 子どもといえば、ユーリ様ご夫婦のところにも先日第2王子が産まれたらしい。仲睦まじい国王と王妃だと、北まで噂がまわってきた。幸せそうで私も嬉しくなる。

「何を考えているんだ?」

 レオンが後ろから抱きついてくる。

「あなたのこと、子どもたちのことよ」

 私はレオンにほほえみかけた。

「本当か? 嬉しいよ。愛してる」

 レオンは私の頬に口づけた。くすぐったくて笑いがもれる。

「私も愛してるわ」

 愛し合える夫と出会えたことは本当に幸運だと、毎日感じている。

 私たちを結びつけてくれた運命の女神様に、心からの感謝の祈りを捧げた。
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