10 / 21
臆病な僕ときみの嘘
2-5
しおりを挟む
彼女はもうこの世にはいない。
後悔しても、何も変えられない。
伝えられなかった「好き」の気持ちは、一生彼女に伝わることはなく宙ぶらりんのままなのだ。
だけど、決めたじゃないか。もう後悔してしまうようなことはしないって。
君に謝って、想いを伝えるんだ。臆病な僕はいつもリードされてばかりだったけど、今度こそ、自分から。
23時50分。エイプリルフールが終わるぎりぎりの時間。
覚悟を決めてスマートフォンを握ったものの、去り際の君の表情が目に浮かんで指が動かない。
次の瞬間ピロンと響いた、メッセージの通知音。
『大嫌い』
まただ。僕は勇気を出すのがいつも遅いんだ。3つの文字が脳内をグルグルと駆け巡る。
大嫌い。
だいきらい。
そうか。そうだよな。
そのとき、『大嫌い』の上に並ぶ今日の僕と君の会話が目に入った。
嘘ばかりが並ぶメッセージアプリの画面。今日の会話で、本当のことは一つもない。
もしかして。
まだ23時55分。一つの可能性に賭けて、時計の針が進むのをじっと待つ。
時計は規則正しく時を刻み、長針と短針が頂点を指し示した。
『昨日はごめん。僕も君のことが大好きだ』
自分勝手な告白。こんな僕を、君は許してくれるだろうか。
既読の表示で君がメッセージを見たことはわかったけど、なかなか返事が来ない。
どうしてもこれ以上待てなくて、電話をかけた。
後悔しても、何も変えられない。
伝えられなかった「好き」の気持ちは、一生彼女に伝わることはなく宙ぶらりんのままなのだ。
だけど、決めたじゃないか。もう後悔してしまうようなことはしないって。
君に謝って、想いを伝えるんだ。臆病な僕はいつもリードされてばかりだったけど、今度こそ、自分から。
23時50分。エイプリルフールが終わるぎりぎりの時間。
覚悟を決めてスマートフォンを握ったものの、去り際の君の表情が目に浮かんで指が動かない。
次の瞬間ピロンと響いた、メッセージの通知音。
『大嫌い』
まただ。僕は勇気を出すのがいつも遅いんだ。3つの文字が脳内をグルグルと駆け巡る。
大嫌い。
だいきらい。
そうか。そうだよな。
そのとき、『大嫌い』の上に並ぶ今日の僕と君の会話が目に入った。
嘘ばかりが並ぶメッセージアプリの画面。今日の会話で、本当のことは一つもない。
もしかして。
まだ23時55分。一つの可能性に賭けて、時計の針が進むのをじっと待つ。
時計は規則正しく時を刻み、長針と短針が頂点を指し示した。
『昨日はごめん。僕も君のことが大好きだ』
自分勝手な告白。こんな僕を、君は許してくれるだろうか。
既読の表示で君がメッセージを見たことはわかったけど、なかなか返事が来ない。
どうしてもこれ以上待てなくて、電話をかけた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる