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41. ソタイとかゼロとか
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「だから、挨拶なんていらないから! とにかく朱虎はこのまま帰って、あたしは獅子神さんに送ってもらうから、じゃあね!」
朱虎はまだ何か言ってたけど、あたしはさっさと電話を切った。
「お待たせ~……」
振り向いたあたしはごくりと喉を鳴らした。
あたしたちはカラオケルームにいた。とにかく人目につかずに、ゆっくり話が出来そうなところ、というチョイスだ。左右から楽しそうに流行りの曲に乗った歌声が聞こえてくるけど、この部屋はとてもそんな雰囲気じゃなかった。とにかく空気が重い。
テーブルをはさんで環と獅子神さんが向かい合って座っている。
「志麻、こっちに座れ」
「う、うん」
あたしはそろりと環の横に腰を下ろした。
改めて見ると、環と獅子神さんは本当によく似ていた。卵型の小顔に切れ長の目、長いまつげに綺麗な形の唇。街中で二人並んでいたら、ものすごく目立ちそうだ。
獅子神さんはじっとうつむいていた。環は腕を組んで、そんな獅子神さんを睨みつけている。その視線は冷たくて、思わず息をつめてしまうほど厳しかった。
こんなに怒った環は見たことがない。両親は検事と裁判官だと言っていたし、お兄さんが黙ってヤクザになっていたなんて、家族としては大問題に違いない。環にとっては絶対に許せないことなんだろう。
そう考えると、何だか居たたまれない気分になってきた。
「あ、あの……環。何となくついてきちゃったけど、あたし、席外した方が良いんじゃないかな。これって家族の問題だし……」
「何を言う。君も当事者だろう、当然話を聞くべきだ」
環は獅子神さんをねめつけたまま首を横に振った。
「君はこの男に身分差称されて結婚に持ち込まれかけていたんだぞ。――ああ、実際に東雲会の幹部だから詐称していたのは身分ではなく名前だったかな? 寡聞にして存じ上げないが、確かお名前は獅子神さんとおっしゃいましたかね」
隠す気もない棘、というかもはやナイフ並みの嫌味が突き刺さる。自分に向けられているわけじゃないのに胃がキュッと縮む気がした。
獅子神さんは顔を上げると苦笑した。
「お前がそんな風に感情を露にするのは子どものころ以来だな」
「思い出話など求めていないのだが?」
「分かってる。ただ、黙っていたことでお前がそんなに怒るとは思わなかった。正直、少し驚いたよ」
何故か妙にほのぼのした雰囲気の獅子神さんに、環の周りの空気が更に凍り付くのが分かった。
空気の温度差が怖い、ひたすら怖い。
あたしだけそろっと帰れないだろうか。
「志麻さん」
「へっ? は、はい」
「申し訳ないが、僕からも同席を頼む。君にもぜひ話を聞いて欲しいんだ」
いや、怖すぎるので帰らせてください。
とは言い出せない雰囲気に、あたしはぎくしゃくと頷いた。
「獅子神さんもそう言うなら……って、ええと」
「本名は岩下蓮司だ。環もいるからね、蓮司で良いよ」
「そ、そうですか。それじゃ、あの……蓮司さん」
男の人の名前を呼ぶのはちょっと抵抗があるけど、環も『岩下』だから仕方ない。
蓮司さんは瞬くと、微笑んだ。
「君に名前を呼ばれるのは悪くないな。もっと早くに申し出ておけばよかった」
まったくこの場にふさわしくない台詞に、あたしはひきつった顔で「はあ」と答え
た。
環が大きく舌打ちする。
「すまんな志麻、兄は昔からマイペースなんだ。――おい、くだらん感想など述べてないでとっとと説明しろ」
「分かってるからそうピリピリするな」
蓮司さんは懐に手を入れると、黒い手帳ケースのようなものを取り出した。広げると、中には金色のごついバッヂと身分証が入っている。
「あ、これ……ドラマとかでよく見る、警察手帳?」
「いつもは特殊な職務上携帯してないんだが、たまたま今日は持っていてよかったよ」
身分証の写真は確かに蓮司さんだった。今の姿とまるで印象が違う、いかにも真面目な好青年って感じだ。
「えっと……つまり、蓮司さんは……」
「環の言うとおり、僕の本職は警察だ。警視庁組織犯罪対策部に所属している。通称、組対って言うんだけど」
『ソタイ』という響きには聞き覚えがあった。よくおじいちゃんや斯波さんが口にしている。
「確か、ヤクザ関連の対応をする警察の人ですよね」
「そう。他にも、麻薬関連、銃器関連、国際犯罪関連について捜査を行う部署だよ。――そして、今回僕はゼロの指揮下で動いている」
環の眉がピクリと動いた。
「公安か」
蓮司さんは軽く顎を引くようにして頷いた。
「東雲会は設立当初から目をつけられていた。会長の東雲錦は若くして海外マフィアと太いパイプを持っていて、公安のマーク対象でね。――彼が組織を立ち上げるという情報を掴んだとき、僕が『獅子神蓮司』として潜入調査を行うことになったんだ」
「潜入調査って……つまり、スパイってことですか?」
蓮司さんは苦笑した。
「カッコいい言い方をするとそうなるかな」
ますますドラマみたいな話になってきた。いや、もはや映画レベルだ。
「でも……東雲会設立時から潜り込んだって言っても、幹部になんてそんなにすぐになれませんよね?」
「さすがに詳しいね。もちろんいろいろと小細工はした。運も味方してくれて二年近くで何とかここまで来たよ」
「二年って……じゃあ蓮司さんは、その間ずっと誰にも秘密で『獅子神蓮司』として生活してたんですか」」
たった二年で幹部にまでのし上がるなんてすごいスピード出世ではあるけど、ずっと嘘をつき続ける生活を送るには長い。
「ああ。――そして、その捜査もようやく大詰めに来ている」
蓮司さんはひとつ呼吸を置くと、膝の上で組んだ手にぐっと力を込めた。
「――実は、東雲錦が近々、イタリアマフィアと大規模な麻薬の裏取引を行うことが分かったんだ」
「えっ?」
突然物騒な話題になって、あたしは面食らって瞬いた。
環は眉を軽く上げ、無言で蓮司さんを見つめている。
「既に向こうの大物も来日しているらしく、今回の取引情報はかなり精度が高い。もし見逃せば、この国に大量の薬物が流入することになる。――それに、この取引を足掛かりとして向こうのマフィアが日本へ勢力拡大する腹積もりもあるらしい」
蓮司さんは穏やかな表情のままだったけど、組み合わせた手に力がこもっているのが分かった。
「取引は絶対に阻止しなければならない。我々は取引のタイミングで東雲錦を検挙し、同時に東雲会も潰すつもりで動いている。……だから」
「だから?」
蓮司さんはテーブルに手をつくと、深々と頭を下げた。
「僕の正体はこのまま黙っていてくれないか」
「えっ……」
「嘘をついていたことは本当に申し訳なかったと思っている。せめて十日……いや、一週間で良い。頼むからもう少しだけ時間をくれ」
頭を下げたままだから蓮司さんの表情は見えない。
それでも声音が切羽詰まっているのは分かった。
「もちろん、検挙の際には万が一にも君や雲竜組に迷惑がかからないよう、出来る限り配慮する。だから」
「あたし、誰にも言うつもりありません!」
あたしは慌てて蓮司さんの言葉を遮った。
「東雲会に知り合いなんていないし……言う相手なんていないです」
「雲竜銀蔵氏や、不破さんにも黙っていてもらえるかい」
顔を上げた蓮司さんがじっとあたしの目を覗き込んできた。
必死な迫力に気圧されながら、あたしは頷いた。
「は、はい。言いません」
蓮司さんはほっと息を吐いた。
「ありがとう。……ヤクザの家の娘である志麻さんからしてみれば、僕のような潜入捜査員なんて軽蔑されても仕方ないとは思うが」
「えっ、軽蔑なんてそんなことないです!」
つい大声になってしまった。蓮司さんが目を丸くする。
「だって、正体を隠しながら色々調べて、更にスピード出世までするなんて、ほんとにすごいですよ。しかも、二年間も!あたしなら三十分も持たないと思う」
「潜入調査としては短い方だよ。長い人は十年、二十年も潜っていることだってある」
「二十年も!?」
駄目だ、全然想像できない。
「あの、スパイしてるってことは家族にも言っちゃいけないんですか」
「ああ。職務の性質上、直属の上司以外は誰にも僕の任務について話すことはできない。――ちなみに、さっき君に説教してたのが僕の上司だよ」
「えっ!? あのおじさん、警察なんですか!? どう見てもこっちの世界の人だとばかり……あ、でも、うちによく来る警察の人もヤクザっぽい人ばっかりかも」
一度見たことがあるけど、対応するのが斯波さんだからどう見ても善良なサラリーマンを脅すヤクザの構図だった。もちろん、善良なサラリーマン役が斯波さんだ。
「組対に長くいるとどうしてもそうなっちゃうんだよね。ああ見えて涙もろくて優しい人なんだよ」
「えっ、涙もろ……や、その情報はいらないです」
あのおじさんの泣き顔を想像しかけて、慌てて首を振って打ち消す。
「でも、本当に大変な仕事なんですね……嫌になっても簡単に辞められなさそうだし、超ブラック」
「確かに大変だけど、やめようとは思わないかな。市民の生活と安全を守るためだからね」
蓮司さんがふっと微笑んだ
何だか、今までと雰囲気が全然違う。冷たくてどこかつかめない空気はなくなって、砕けているけど誠実で優しい感じだ。
こっちが本当の蓮司さんなんだろうか。確かに、全体的に朱虎とは正反対だ。
「何やら良い風にまとめようとするな。話はまだ終わっていない」
ほんわかしかけた空気を環の不機嫌な声が叩き壊した。
朱虎はまだ何か言ってたけど、あたしはさっさと電話を切った。
「お待たせ~……」
振り向いたあたしはごくりと喉を鳴らした。
あたしたちはカラオケルームにいた。とにかく人目につかずに、ゆっくり話が出来そうなところ、というチョイスだ。左右から楽しそうに流行りの曲に乗った歌声が聞こえてくるけど、この部屋はとてもそんな雰囲気じゃなかった。とにかく空気が重い。
テーブルをはさんで環と獅子神さんが向かい合って座っている。
「志麻、こっちに座れ」
「う、うん」
あたしはそろりと環の横に腰を下ろした。
改めて見ると、環と獅子神さんは本当によく似ていた。卵型の小顔に切れ長の目、長いまつげに綺麗な形の唇。街中で二人並んでいたら、ものすごく目立ちそうだ。
獅子神さんはじっとうつむいていた。環は腕を組んで、そんな獅子神さんを睨みつけている。その視線は冷たくて、思わず息をつめてしまうほど厳しかった。
こんなに怒った環は見たことがない。両親は検事と裁判官だと言っていたし、お兄さんが黙ってヤクザになっていたなんて、家族としては大問題に違いない。環にとっては絶対に許せないことなんだろう。
そう考えると、何だか居たたまれない気分になってきた。
「あ、あの……環。何となくついてきちゃったけど、あたし、席外した方が良いんじゃないかな。これって家族の問題だし……」
「何を言う。君も当事者だろう、当然話を聞くべきだ」
環は獅子神さんをねめつけたまま首を横に振った。
「君はこの男に身分差称されて結婚に持ち込まれかけていたんだぞ。――ああ、実際に東雲会の幹部だから詐称していたのは身分ではなく名前だったかな? 寡聞にして存じ上げないが、確かお名前は獅子神さんとおっしゃいましたかね」
隠す気もない棘、というかもはやナイフ並みの嫌味が突き刺さる。自分に向けられているわけじゃないのに胃がキュッと縮む気がした。
獅子神さんは顔を上げると苦笑した。
「お前がそんな風に感情を露にするのは子どものころ以来だな」
「思い出話など求めていないのだが?」
「分かってる。ただ、黙っていたことでお前がそんなに怒るとは思わなかった。正直、少し驚いたよ」
何故か妙にほのぼのした雰囲気の獅子神さんに、環の周りの空気が更に凍り付くのが分かった。
空気の温度差が怖い、ひたすら怖い。
あたしだけそろっと帰れないだろうか。
「志麻さん」
「へっ? は、はい」
「申し訳ないが、僕からも同席を頼む。君にもぜひ話を聞いて欲しいんだ」
いや、怖すぎるので帰らせてください。
とは言い出せない雰囲気に、あたしはぎくしゃくと頷いた。
「獅子神さんもそう言うなら……って、ええと」
「本名は岩下蓮司だ。環もいるからね、蓮司で良いよ」
「そ、そうですか。それじゃ、あの……蓮司さん」
男の人の名前を呼ぶのはちょっと抵抗があるけど、環も『岩下』だから仕方ない。
蓮司さんは瞬くと、微笑んだ。
「君に名前を呼ばれるのは悪くないな。もっと早くに申し出ておけばよかった」
まったくこの場にふさわしくない台詞に、あたしはひきつった顔で「はあ」と答え
た。
環が大きく舌打ちする。
「すまんな志麻、兄は昔からマイペースなんだ。――おい、くだらん感想など述べてないでとっとと説明しろ」
「分かってるからそうピリピリするな」
蓮司さんは懐に手を入れると、黒い手帳ケースのようなものを取り出した。広げると、中には金色のごついバッヂと身分証が入っている。
「あ、これ……ドラマとかでよく見る、警察手帳?」
「いつもは特殊な職務上携帯してないんだが、たまたま今日は持っていてよかったよ」
身分証の写真は確かに蓮司さんだった。今の姿とまるで印象が違う、いかにも真面目な好青年って感じだ。
「えっと……つまり、蓮司さんは……」
「環の言うとおり、僕の本職は警察だ。警視庁組織犯罪対策部に所属している。通称、組対って言うんだけど」
『ソタイ』という響きには聞き覚えがあった。よくおじいちゃんや斯波さんが口にしている。
「確か、ヤクザ関連の対応をする警察の人ですよね」
「そう。他にも、麻薬関連、銃器関連、国際犯罪関連について捜査を行う部署だよ。――そして、今回僕はゼロの指揮下で動いている」
環の眉がピクリと動いた。
「公安か」
蓮司さんは軽く顎を引くようにして頷いた。
「東雲会は設立当初から目をつけられていた。会長の東雲錦は若くして海外マフィアと太いパイプを持っていて、公安のマーク対象でね。――彼が組織を立ち上げるという情報を掴んだとき、僕が『獅子神蓮司』として潜入調査を行うことになったんだ」
「潜入調査って……つまり、スパイってことですか?」
蓮司さんは苦笑した。
「カッコいい言い方をするとそうなるかな」
ますますドラマみたいな話になってきた。いや、もはや映画レベルだ。
「でも……東雲会設立時から潜り込んだって言っても、幹部になんてそんなにすぐになれませんよね?」
「さすがに詳しいね。もちろんいろいろと小細工はした。運も味方してくれて二年近くで何とかここまで来たよ」
「二年って……じゃあ蓮司さんは、その間ずっと誰にも秘密で『獅子神蓮司』として生活してたんですか」」
たった二年で幹部にまでのし上がるなんてすごいスピード出世ではあるけど、ずっと嘘をつき続ける生活を送るには長い。
「ああ。――そして、その捜査もようやく大詰めに来ている」
蓮司さんはひとつ呼吸を置くと、膝の上で組んだ手にぐっと力を込めた。
「――実は、東雲錦が近々、イタリアマフィアと大規模な麻薬の裏取引を行うことが分かったんだ」
「えっ?」
突然物騒な話題になって、あたしは面食らって瞬いた。
環は眉を軽く上げ、無言で蓮司さんを見つめている。
「既に向こうの大物も来日しているらしく、今回の取引情報はかなり精度が高い。もし見逃せば、この国に大量の薬物が流入することになる。――それに、この取引を足掛かりとして向こうのマフィアが日本へ勢力拡大する腹積もりもあるらしい」
蓮司さんは穏やかな表情のままだったけど、組み合わせた手に力がこもっているのが分かった。
「取引は絶対に阻止しなければならない。我々は取引のタイミングで東雲錦を検挙し、同時に東雲会も潰すつもりで動いている。……だから」
「だから?」
蓮司さんはテーブルに手をつくと、深々と頭を下げた。
「僕の正体はこのまま黙っていてくれないか」
「えっ……」
「嘘をついていたことは本当に申し訳なかったと思っている。せめて十日……いや、一週間で良い。頼むからもう少しだけ時間をくれ」
頭を下げたままだから蓮司さんの表情は見えない。
それでも声音が切羽詰まっているのは分かった。
「もちろん、検挙の際には万が一にも君や雲竜組に迷惑がかからないよう、出来る限り配慮する。だから」
「あたし、誰にも言うつもりありません!」
あたしは慌てて蓮司さんの言葉を遮った。
「東雲会に知り合いなんていないし……言う相手なんていないです」
「雲竜銀蔵氏や、不破さんにも黙っていてもらえるかい」
顔を上げた蓮司さんがじっとあたしの目を覗き込んできた。
必死な迫力に気圧されながら、あたしは頷いた。
「は、はい。言いません」
蓮司さんはほっと息を吐いた。
「ありがとう。……ヤクザの家の娘である志麻さんからしてみれば、僕のような潜入捜査員なんて軽蔑されても仕方ないとは思うが」
「えっ、軽蔑なんてそんなことないです!」
つい大声になってしまった。蓮司さんが目を丸くする。
「だって、正体を隠しながら色々調べて、更にスピード出世までするなんて、ほんとにすごいですよ。しかも、二年間も!あたしなら三十分も持たないと思う」
「潜入調査としては短い方だよ。長い人は十年、二十年も潜っていることだってある」
「二十年も!?」
駄目だ、全然想像できない。
「あの、スパイしてるってことは家族にも言っちゃいけないんですか」
「ああ。職務の性質上、直属の上司以外は誰にも僕の任務について話すことはできない。――ちなみに、さっき君に説教してたのが僕の上司だよ」
「えっ!? あのおじさん、警察なんですか!? どう見てもこっちの世界の人だとばかり……あ、でも、うちによく来る警察の人もヤクザっぽい人ばっかりかも」
一度見たことがあるけど、対応するのが斯波さんだからどう見ても善良なサラリーマンを脅すヤクザの構図だった。もちろん、善良なサラリーマン役が斯波さんだ。
「組対に長くいるとどうしてもそうなっちゃうんだよね。ああ見えて涙もろくて優しい人なんだよ」
「えっ、涙もろ……や、その情報はいらないです」
あのおじさんの泣き顔を想像しかけて、慌てて首を振って打ち消す。
「でも、本当に大変な仕事なんですね……嫌になっても簡単に辞められなさそうだし、超ブラック」
「確かに大変だけど、やめようとは思わないかな。市民の生活と安全を守るためだからね」
蓮司さんがふっと微笑んだ
何だか、今までと雰囲気が全然違う。冷たくてどこかつかめない空気はなくなって、砕けているけど誠実で優しい感じだ。
こっちが本当の蓮司さんなんだろうか。確かに、全体的に朱虎とは正反対だ。
「何やら良い風にまとめようとするな。話はまだ終わっていない」
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