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25. ハーフとか小指とか
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「……喫茶店で獅子神さんに水をぶっかけた?」
迎えの車の中で、運転席の朱虎は信じられないものを見る目をあたしに向けた。
「それ、後の処理どうしたんですか。まさか……」
「……喫茶店飛び出しちゃったから分かんない」
「お嬢……自分が朝言った言葉、覚えてますか」
「お、覚えてたけど!」
「覚えてたら何で水をぶっかけるなんてことになるんです」
「だって……」
朱虎は額に手を当てて深々とため息をついた。
「とにかく、説明してください。一体何があったんですか」
「えっと……映画の感想を話してたんだけど、なんていうか……獅子神さん、話が長くて」
「はあ?」
朱虎の眉間にしわが寄る。あたしは慌てて手を振った。
「や、別にずーっと訳の分からない専門用語バリバリでトークされたからイラついた、とかじゃなくて!」
その時も確かに水ぶっかけようかな、とは思ったけど。
「ガイアのこと、すごく貶されたの。素人なのに、話題作りだけで抜擢されたとか……それだけじゃなくて、どうせパッとしないグループだとかビジュアルだけとか、ガイアはハーフだって言ったらハーフなんか映画に起用するのが間違ってる、とか言うし」
「ガイアを馬鹿にされて腹を立てたんですか」
「それも腹立ったけど、そうじゃなくて! あいつ、ハーフのことを馬鹿にしたの!」
あたしはイライラの勢いでまくし立てた。
「『ハーフは中途半端でどっちつかず、馴染み切れない』とか言ったんだよ!? 全然そんなことないし! ほんと失礼!!」
朱虎がうちに来た時「半外人の捨て子が組長に取り入った」って言って朱虎に意地悪をする人が何人かいた。朱虎は黙っていたけど、ある時おじいちゃんの耳に入って、そいつらは全員こっぴどく叱り飛ばされた。
「朱虎は俺が拾ってきた俺の身内だ。身内を悪く言うこた、この俺が許さねぇぞ馬鹿野郎が!」
障子越しに聞いたおじいちゃんの声。横に並んでいた朱虎は黙ってうつむいてたけど、赤い髪が細かく震えていたのを覚えている。
あの時あたしは、この赤髪の男の子を守らなきゃいけないって思ったんだ。
朱虎はカッカしてるあたしを妙な顔をして見つめていた。
「……そんなことで怒ったんですか?」
「何よそんなことって! めちゃくちゃ腹が立ったんだからねホントに!」
「自分がハーフってわけでもないでしょう」
「そりゃあたしは違うけど……!」
ため息をついた朱虎は視線を切ってスマホを取り出した。
「とにかく、あとは自分が始末をつけます。オヤジまで話が行っちまったら大ごとになりますからね」
「大ごとって……」
「また甲冑騒ぎってことです」
あたしはその時、ようやくハッとした。
「え!? も、もしかしてあたしのやったことが原因で抗争になっちゃうかもしれないの!?」
スマホをタップしながら朱虎が軽く眉を上げる。
さーっと頭から血の気が引くのが分かった。
「嘘……あたしもしかして、すごく大変なことしちゃったの?」
「やっとご理解いただけたようで何よりですよ」
「抗争なんてヤダ! どうしよう朱虎!」
「すぐにご連絡したうえで、詫びを入れに伺います。何とか自分の身一つで収めますよ」
「朱虎の身って……ま、まさか小指切っちゃうの!?」
「指で済むなら可愛いもんですが。……お嬢、ここからは電車で帰れますね?」
ってことは、それ以上の目に遭うってこと!?
「駄目っ! あ、あたしも行く!」
「必要ありません。駅まで送りますからお嬢はまっすぐ帰って下さい」
「あたしがやったことなんだから、あたしが責任とる! ゆ、指切らなきゃいけないんなら、あたしが……」
「馬鹿言わないでください」
朱虎は不意に真剣な顔になってあたしを見つめた。
「お嬢の身体を傷つけられるわけないでしょう」
「でも……!」
スマホを取ろうとしたけど、朱虎はあたしを片手一本で簡単に押さえ込んでしまった。
口を大きな手でふさがれる。
「こういうのは、お嬢の世話係である自分の仕事なんです」
「むぐぐっ」
「電話の間くらい、少しは大人しくしていてください」
もがいているあたしをよそに、朱虎はスマホを耳に当てた。
「――もしもし。獅子神さんですか、不破です。今しがたお嬢から話を伺いました」
あたしと話すときとは全然違う、穏やかだけどどこかぴんと張り詰めた口調。
「うちのお嬢が獅子神さんに大変失礼な振る舞いを行ってしまい、誠に申し訳ございません。全て世話係である自分の責任です」
「む、ぐぐっ……」
「すぐにそちらへ詫びを入れに伺います。自分のような者で恐縮ですが、そちらのお気が済むようどんなケジメでもきっちり受けさせていただきますので」
違う、朱虎のせいじゃない――と怒鳴りたいのに、朱虎の手は完璧にあたしの口を塞いでしまっている。
いっそ噛みついてやろうか。
そう思った時、朱虎の声が戸惑ったようにトーンを変えた。
「えっ……いえ、そんなことは。水を浴びせたのはうちのお嬢です、獅子神さんは何も……いえ、そのようなことではありませんが」
朱虎が眉をひそめる。電話の向こうで一体何を言われてるのか全然分からないけど、怒っているという感じでもないみたいだ。
何だか嫌な予感がして、胸がざわりとした。
「いえ……とんでもありません、ですが……はい。もちろんです、そうご提案頂けるのでしたらこちらとしては……はい」
え、提案?
ホントに何の話になってるの?
「明日の日曜ですか、空いています。承知いたしましたが……本当によろしいんですか? ……はい。……では、失礼いたします」
通話を終えた朱虎は奇妙な顔になっていた。胸騒ぎが大きくなる。
「ど、どうしたの? なんて言われたの、朱虎?まさか、東雲会に身売りしろとか」
「もう一度仕切り直しさせてほしい、と」
「……は?」
仕切り直しって、何を?
「『志麻さんにショックを与えるようなことを言ってしまった自分の方が悪かった、もう一度チャンスが欲しい』と仰っていました。明日、改めてデートを設定させてほしいそうです」
迎えの車の中で、運転席の朱虎は信じられないものを見る目をあたしに向けた。
「それ、後の処理どうしたんですか。まさか……」
「……喫茶店飛び出しちゃったから分かんない」
「お嬢……自分が朝言った言葉、覚えてますか」
「お、覚えてたけど!」
「覚えてたら何で水をぶっかけるなんてことになるんです」
「だって……」
朱虎は額に手を当てて深々とため息をついた。
「とにかく、説明してください。一体何があったんですか」
「えっと……映画の感想を話してたんだけど、なんていうか……獅子神さん、話が長くて」
「はあ?」
朱虎の眉間にしわが寄る。あたしは慌てて手を振った。
「や、別にずーっと訳の分からない専門用語バリバリでトークされたからイラついた、とかじゃなくて!」
その時も確かに水ぶっかけようかな、とは思ったけど。
「ガイアのこと、すごく貶されたの。素人なのに、話題作りだけで抜擢されたとか……それだけじゃなくて、どうせパッとしないグループだとかビジュアルだけとか、ガイアはハーフだって言ったらハーフなんか映画に起用するのが間違ってる、とか言うし」
「ガイアを馬鹿にされて腹を立てたんですか」
「それも腹立ったけど、そうじゃなくて! あいつ、ハーフのことを馬鹿にしたの!」
あたしはイライラの勢いでまくし立てた。
「『ハーフは中途半端でどっちつかず、馴染み切れない』とか言ったんだよ!? 全然そんなことないし! ほんと失礼!!」
朱虎がうちに来た時「半外人の捨て子が組長に取り入った」って言って朱虎に意地悪をする人が何人かいた。朱虎は黙っていたけど、ある時おじいちゃんの耳に入って、そいつらは全員こっぴどく叱り飛ばされた。
「朱虎は俺が拾ってきた俺の身内だ。身内を悪く言うこた、この俺が許さねぇぞ馬鹿野郎が!」
障子越しに聞いたおじいちゃんの声。横に並んでいた朱虎は黙ってうつむいてたけど、赤い髪が細かく震えていたのを覚えている。
あの時あたしは、この赤髪の男の子を守らなきゃいけないって思ったんだ。
朱虎はカッカしてるあたしを妙な顔をして見つめていた。
「……そんなことで怒ったんですか?」
「何よそんなことって! めちゃくちゃ腹が立ったんだからねホントに!」
「自分がハーフってわけでもないでしょう」
「そりゃあたしは違うけど……!」
ため息をついた朱虎は視線を切ってスマホを取り出した。
「とにかく、あとは自分が始末をつけます。オヤジまで話が行っちまったら大ごとになりますからね」
「大ごとって……」
「また甲冑騒ぎってことです」
あたしはその時、ようやくハッとした。
「え!? も、もしかしてあたしのやったことが原因で抗争になっちゃうかもしれないの!?」
スマホをタップしながら朱虎が軽く眉を上げる。
さーっと頭から血の気が引くのが分かった。
「嘘……あたしもしかして、すごく大変なことしちゃったの?」
「やっとご理解いただけたようで何よりですよ」
「抗争なんてヤダ! どうしよう朱虎!」
「すぐにご連絡したうえで、詫びを入れに伺います。何とか自分の身一つで収めますよ」
「朱虎の身って……ま、まさか小指切っちゃうの!?」
「指で済むなら可愛いもんですが。……お嬢、ここからは電車で帰れますね?」
ってことは、それ以上の目に遭うってこと!?
「駄目っ! あ、あたしも行く!」
「必要ありません。駅まで送りますからお嬢はまっすぐ帰って下さい」
「あたしがやったことなんだから、あたしが責任とる! ゆ、指切らなきゃいけないんなら、あたしが……」
「馬鹿言わないでください」
朱虎は不意に真剣な顔になってあたしを見つめた。
「お嬢の身体を傷つけられるわけないでしょう」
「でも……!」
スマホを取ろうとしたけど、朱虎はあたしを片手一本で簡単に押さえ込んでしまった。
口を大きな手でふさがれる。
「こういうのは、お嬢の世話係である自分の仕事なんです」
「むぐぐっ」
「電話の間くらい、少しは大人しくしていてください」
もがいているあたしをよそに、朱虎はスマホを耳に当てた。
「――もしもし。獅子神さんですか、不破です。今しがたお嬢から話を伺いました」
あたしと話すときとは全然違う、穏やかだけどどこかぴんと張り詰めた口調。
「うちのお嬢が獅子神さんに大変失礼な振る舞いを行ってしまい、誠に申し訳ございません。全て世話係である自分の責任です」
「む、ぐぐっ……」
「すぐにそちらへ詫びを入れに伺います。自分のような者で恐縮ですが、そちらのお気が済むようどんなケジメでもきっちり受けさせていただきますので」
違う、朱虎のせいじゃない――と怒鳴りたいのに、朱虎の手は完璧にあたしの口を塞いでしまっている。
いっそ噛みついてやろうか。
そう思った時、朱虎の声が戸惑ったようにトーンを変えた。
「えっ……いえ、そんなことは。水を浴びせたのはうちのお嬢です、獅子神さんは何も……いえ、そのようなことではありませんが」
朱虎が眉をひそめる。電話の向こうで一体何を言われてるのか全然分からないけど、怒っているという感じでもないみたいだ。
何だか嫌な予感がして、胸がざわりとした。
「いえ……とんでもありません、ですが……はい。もちろんです、そうご提案頂けるのでしたらこちらとしては……はい」
え、提案?
ホントに何の話になってるの?
「明日の日曜ですか、空いています。承知いたしましたが……本当によろしいんですか? ……はい。……では、失礼いたします」
通話を終えた朱虎は奇妙な顔になっていた。胸騒ぎが大きくなる。
「ど、どうしたの? なんて言われたの、朱虎?まさか、東雲会に身売りしろとか」
「もう一度仕切り直しさせてほしい、と」
「……は?」
仕切り直しって、何を?
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