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第三章 川中島の戦い
武功改め。
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時は戦国時代。
それは揺るぎない事実だった。
1ヶ月程前、桶狭間にて今川軍と激戦。義元の首を跳ねて、今川家を滅亡させて・・・。
世の中は大混乱。それと共に、織田家当主の織田信長は一大名として天下取りを模索。
うつけと呼ばれていた彼女だったが、本当に天下を取るのではと囁かれ始めていたのもこの時期からであったのだろう。
と、このようにそれぞれの国、それぞれの大名、それぞれの民達は戦乱の毎日を過ごし続けていた。
···今、織田家はこれまでに無いピンチに見回れていた。
ピンチと聞けば「これはヤバイ」「大変なのか!?」と、私ですらそう思い浮かぶのが常識である。
勿論、一般人、ましてや天才と言われる人種ですらそう考えるのが相当だろう。
だがしかし、後の魔王「織田信長」は一人、この状況を毎日を大笑いしながら楽しそうに構えていた。
ー 今現在、織田家には同盟国が居ない。
と言うのも、四方八方から攻撃を受けている訳ではないのだが。
南には今川より独立を果たした「松平元康」が大名、松平家。
北には同盟国でもありながらも、父・道三を殺し、裕太によって殺されてしまった義龍から家督を継いだ「斎藤龍興」が大名、斎藤家。
また東に最強の騎馬傭兵集団を構える「武田信玄」が大名の武田家が牙を向けていた。
そして悲しいことに、今川家の滅亡後、一門であった「関口広重」が家督を継ぎ、改名して「今川氏真」を名乗り、今川家を再興させた。
ただし、太原雪斎は勿論、重臣の朝比奈泰能ですら今川家を離れると言う異例の事態。
今川家も大変だなぁ...。
ー ところで俺は珍しい事に、城内に居た。
「やっぱり、人が多いよ~」
「本当ですね···まるでお祭り騒ぎになってますよ」
ここは清洲城城内。
今日は何気なく人が多く行き来していた。
そんな中、二人の女子(おなご)が訪れていた。
「しかし、信勝様も敵の将を撃破なられましたよね。お見事です!」
と、女の子は信勝を盛り立てる様に敬称して話した。
しかし、何時ものように天然パワーとして出されている信勝のほんわかさで弾き返えされていく。
「そんな~。さーちゃんの方が私より何倍も頑張ってたって~。本当に五十人は斬ってたかもだよ。前線での指揮も上手だし~。岡部親綱を討ち取ったんでしょ?凄いよ~」
「ほ、褒めて頂けるなんて····!恐縮です!」
と、彼女は嬉しそうに敬礼して微笑みを見せた。
服装がなんだか軍隊に居そうな・・・いや、絶対こんな服装だろ。
白っぽい軍服を着て肩の辺りに織田家の家紋が付いていた。
下には短い赤のスカートを履いており、何処と無く信長を思い浮かべさせられる格好だった。
「と、言うことだ。出来るか?」
俺は佐久間信盛と共に行動をしていたので、そこまでしか話は聞き取れなかったが、何やら桶狭間の時の話でもしていたのであろう。
「お、おう。出来る。出来るぜ。とりあえず、奉行に間違えが無いか見張っておけば良いんだよな」
信盛は俺の言葉を聞くと頷く。
「その通りだ。お主もそういうものを見て学べ、と言う私の配慮からのものだ。頼んだぞ」
彼女はそう言うと、俺の右肩を叩き、即座にその場から立ち去った。
「・・・信盛も忙しそうだなーっと、そろそろ行かないとな」
俺は信盛に言われたままの場所へ向かって小走りで向かう。
目的地に着くと、そこは戦場へと様変わりしていた。
「私は今川兵を約百を倒し···」
「飯尾連竜殿を討ち取ったにございまする!」
「私は大高城に一番乗り······」
「雑兵を倒!」
と、その場に4つの窓口が置いてあり、何れにも話を聞いているようであったが、それぞれが大声で
他の人の声を掻き消すかの如くで話すため、何をいっているのか聞き取ることが出来ない。
「うわ·····」
少々口に出してしまったが、聞こえるほどではない。とにかく大勢がまだまだと長い行列を作り、終わるまでにあとどれくらい掛かるのかと言うまで並んでいた。
「あら、裕太じゃない」
突然誰かに名前を呼ばれたので、後ろを振り向むく。
そこに立っていたのは、扇子を片手に持っている丹羽長秀。
「あぁ、丹羽さんか···一体これ、どうなってるんだ?」
織田四天王ならこの状況、何をしているのか分かっているはずだ。
ならば先決に、長秀み聞けばいいと思った俺は質問してみる。
「全ては貴方が軸に回ってきた結果よ。これは『武功改め』といって、桶狭間での合戦において、どれだけ功績を上げただとかを記した紙を此処に提出しにくるの。ただし、偽りの場合もあるから···そこは重臣達も揃って決めるところなのよね」
なんだか難しい話をしてるけど、武功改めって言うのか。
それをすることで、階級もどんどん上がっていくし、出世し放題···。
って、俺は昇格したのに家が変わらないってどういうことなんだろ。
「あ、そう言えば。俺達は記した紙を渡しに行かなくてもいいのか?」
「言ったでしょう?貴方が軸に回ってきた結果よって。前の軍評の時、私達はおとがめを受けた。つまり、重臣と貴方は渡しにいかなくてもいい。でも、それ以外は皆武功改めをしに行くのよ。覚えておきなさい。戦の終わった後には、必ずこういうことがあるの」
俺は何回か戸惑いつつも頷いて「分かった」と言った。
長秀は、左手を握って口を抑えながら少し笑うと、「じゃあ、頑張ってね」と言うと、その場を後にする。
ふぅ。と肩の力を抜く。
雲ひとつない青空だなぁと思って、俺は空を無意識に見上げて居た頃。
「織田勘重郎信勝、武功改めに参りました~」
「同じく池田勝三郎恒興、武功改めに参ったぞ!」
いつもはほんわかしている信勝が大声で話すなんて!?
とも思いつつ、襖の角から二人の紙を見つめていると・・・?
「確か、池田様は信長様の乳姉妹だったか」
後ろの方より、なにやらこそこそと話し声が聞こえた。
それは揺るぎない事実だった。
1ヶ月程前、桶狭間にて今川軍と激戦。義元の首を跳ねて、今川家を滅亡させて・・・。
世の中は大混乱。それと共に、織田家当主の織田信長は一大名として天下取りを模索。
うつけと呼ばれていた彼女だったが、本当に天下を取るのではと囁かれ始めていたのもこの時期からであったのだろう。
と、このようにそれぞれの国、それぞれの大名、それぞれの民達は戦乱の毎日を過ごし続けていた。
···今、織田家はこれまでに無いピンチに見回れていた。
ピンチと聞けば「これはヤバイ」「大変なのか!?」と、私ですらそう思い浮かぶのが常識である。
勿論、一般人、ましてや天才と言われる人種ですらそう考えるのが相当だろう。
だがしかし、後の魔王「織田信長」は一人、この状況を毎日を大笑いしながら楽しそうに構えていた。
ー 今現在、織田家には同盟国が居ない。
と言うのも、四方八方から攻撃を受けている訳ではないのだが。
南には今川より独立を果たした「松平元康」が大名、松平家。
北には同盟国でもありながらも、父・道三を殺し、裕太によって殺されてしまった義龍から家督を継いだ「斎藤龍興」が大名、斎藤家。
また東に最強の騎馬傭兵集団を構える「武田信玄」が大名の武田家が牙を向けていた。
そして悲しいことに、今川家の滅亡後、一門であった「関口広重」が家督を継ぎ、改名して「今川氏真」を名乗り、今川家を再興させた。
ただし、太原雪斎は勿論、重臣の朝比奈泰能ですら今川家を離れると言う異例の事態。
今川家も大変だなぁ...。
ー ところで俺は珍しい事に、城内に居た。
「やっぱり、人が多いよ~」
「本当ですね···まるでお祭り騒ぎになってますよ」
ここは清洲城城内。
今日は何気なく人が多く行き来していた。
そんな中、二人の女子(おなご)が訪れていた。
「しかし、信勝様も敵の将を撃破なられましたよね。お見事です!」
と、女の子は信勝を盛り立てる様に敬称して話した。
しかし、何時ものように天然パワーとして出されている信勝のほんわかさで弾き返えされていく。
「そんな~。さーちゃんの方が私より何倍も頑張ってたって~。本当に五十人は斬ってたかもだよ。前線での指揮も上手だし~。岡部親綱を討ち取ったんでしょ?凄いよ~」
「ほ、褒めて頂けるなんて····!恐縮です!」
と、彼女は嬉しそうに敬礼して微笑みを見せた。
服装がなんだか軍隊に居そうな・・・いや、絶対こんな服装だろ。
白っぽい軍服を着て肩の辺りに織田家の家紋が付いていた。
下には短い赤のスカートを履いており、何処と無く信長を思い浮かべさせられる格好だった。
「と、言うことだ。出来るか?」
俺は佐久間信盛と共に行動をしていたので、そこまでしか話は聞き取れなかったが、何やら桶狭間の時の話でもしていたのであろう。
「お、おう。出来る。出来るぜ。とりあえず、奉行に間違えが無いか見張っておけば良いんだよな」
信盛は俺の言葉を聞くと頷く。
「その通りだ。お主もそういうものを見て学べ、と言う私の配慮からのものだ。頼んだぞ」
彼女はそう言うと、俺の右肩を叩き、即座にその場から立ち去った。
「・・・信盛も忙しそうだなーっと、そろそろ行かないとな」
俺は信盛に言われたままの場所へ向かって小走りで向かう。
目的地に着くと、そこは戦場へと様変わりしていた。
「私は今川兵を約百を倒し···」
「飯尾連竜殿を討ち取ったにございまする!」
「私は大高城に一番乗り······」
「雑兵を倒!」
と、その場に4つの窓口が置いてあり、何れにも話を聞いているようであったが、それぞれが大声で
他の人の声を掻き消すかの如くで話すため、何をいっているのか聞き取ることが出来ない。
「うわ·····」
少々口に出してしまったが、聞こえるほどではない。とにかく大勢がまだまだと長い行列を作り、終わるまでにあとどれくらい掛かるのかと言うまで並んでいた。
「あら、裕太じゃない」
突然誰かに名前を呼ばれたので、後ろを振り向むく。
そこに立っていたのは、扇子を片手に持っている丹羽長秀。
「あぁ、丹羽さんか···一体これ、どうなってるんだ?」
織田四天王ならこの状況、何をしているのか分かっているはずだ。
ならば先決に、長秀み聞けばいいと思った俺は質問してみる。
「全ては貴方が軸に回ってきた結果よ。これは『武功改め』といって、桶狭間での合戦において、どれだけ功績を上げただとかを記した紙を此処に提出しにくるの。ただし、偽りの場合もあるから···そこは重臣達も揃って決めるところなのよね」
なんだか難しい話をしてるけど、武功改めって言うのか。
それをすることで、階級もどんどん上がっていくし、出世し放題···。
って、俺は昇格したのに家が変わらないってどういうことなんだろ。
「あ、そう言えば。俺達は記した紙を渡しに行かなくてもいいのか?」
「言ったでしょう?貴方が軸に回ってきた結果よって。前の軍評の時、私達はおとがめを受けた。つまり、重臣と貴方は渡しにいかなくてもいい。でも、それ以外は皆武功改めをしに行くのよ。覚えておきなさい。戦の終わった後には、必ずこういうことがあるの」
俺は何回か戸惑いつつも頷いて「分かった」と言った。
長秀は、左手を握って口を抑えながら少し笑うと、「じゃあ、頑張ってね」と言うと、その場を後にする。
ふぅ。と肩の力を抜く。
雲ひとつない青空だなぁと思って、俺は空を無意識に見上げて居た頃。
「織田勘重郎信勝、武功改めに参りました~」
「同じく池田勝三郎恒興、武功改めに参ったぞ!」
いつもはほんわかしている信勝が大声で話すなんて!?
とも思いつつ、襖の角から二人の紙を見つめていると・・・?
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後ろの方より、なにやらこそこそと話し声が聞こえた。
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