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第三章:それぞれの力
水と新たな出会い。
しおりを挟む二人のラブラブなデートは続きます。
今回はランチ。
名前は出てませんが特別出演してるお店があります。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「いらっしゃいませ!」
「予約している志摩です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
案内されたのはこの店に数部屋しかないという個室。
尚孝さんとのランチは誰にも邪魔されたくないからお願いしておいたんだ。
この個室はオーナーの知り合いか、V.I.Pしか利用できず、一般客は個室の存在すら明かされていないという徹底っぷり。
トイレすら、個室客専用のトイレがあり一般の客とは会うこともない。
だからこそ、安心して尚孝さんを連れてくることができる。
「なんだか素敵なお店ですね」
「ええ、実際にドイツにあるカフェと同じような雰囲気になるように作ったそうですよ」
「へぇ……その、ドイツのカフェにも行ってみたいですね」
「ええ、いつか一緒に行きましょう」
「――っ、はい!」
私の誘いに頬を染めながらも了承してくれる尚孝さんが可愛い。
注文を受けに来てくれた店員におすすめを聴きながら、いくつかの料理を注文し終えると、
「すみません、僕ちょっとお手洗いに行ってきますね」
と尚孝さんが席を外した。
その隙に、ベルンシュトルフホールディングスの次期社長の日下部透也さんに先ほどの件を音声データとこっそり撮影しておいた女性二人の顔写真も込みで報告を入れておいた。
ベルンシュトルフの顧問弁護士の磯山先生にも報告を入れておこうか迷ったのは、今、一花さんの事件で最近共犯として捕まった女性の息子を預かっているという話を貴船会長から伺っていたからだ。
余計な仕事を増やしてしまうのではないかと考えたが、それでもやはり今回の件は彼女たち個人だけの話ではない。
LGBTQの保護に手厚いというベルンシュトルフの評判を地に落とすと言っても過言ではない暴言を吐いたのだから、これは顧問弁護士である磯山先生の耳にも入れておくべきだろう。
一瞬ためらいはしたが、やはり伝えないという選択肢はなく、磯山先生にも報告を入れておいた。
すぐに日下部次期社長からは
<ご報告ありがとうございます。情報を精査してすぐにご返信差し上げます>
と簡潔ながらも頼もしい言葉が返ってきた。
これで安心だな。
あいつらを絶対に逃すつもりなんてない。
「すみません、お待たせしてしまって」
ちょうどいいタイミングで尚孝さんが戻ってきた。
「一人で寂しかったので、抱きしめてもいいですか?」
「えっ? はい。ふふっ。唯人さん、可愛いです」
少し甘えてみると、尚孝さんの方から私の胸に擦り寄ってきてくれる。
そんな彼を包み込むように抱きしめると、尚孝さんの方からキスをねだるように顔を向けてくれた。
「んっ……」
チュッと重なり合うだけのキスで留めたのは、このまま外に出したくなくなるから。
それでも私たちは幸せに満ち溢れていた。
「お待たせしました」
それからすぐに料理が運ばれてきた。
美味しそうなドイツ料理の数々に尚孝さんの目が輝いている。
料理と一緒にビールも運ばれる。
やっぱりドイツ料理にビールは欠かせない。
「あ、でも唯人さん、車が……」
「ふふっ。大丈夫です。これはノンアルですから。でも雰囲気作りにはいいでしょう?」
昼間から尚孝さんと乾杯してランチを食べる。
もちろんお互いに食べさせあって。
「んっ! このソーセージ。すっごく美味しいです!」
大きなソーセージを頬張っている尚孝さんをみると、どうにも興奮してしまうが、そんなことを口にして嫌われたくはない。
可愛く食べる姿を目に焼き付けて、美味しいランチはあっという間に食べ終わった。
デザートでも頼もうかというタイミングで、扉がノックされる。
返事をすると先ほど注文をとりに来てくれた店員が中に入ってきた。
「こちら、オーナーからのサービスです」
そう言って出してくれたのは、さっぱりとしたチーズケーキの『Käsekuchen』と「黒い森のさくらんぼ酒ケーキ」という意味を持つ『Schwarzwälder Kirschtorte』
「いただいていいんですか?」
「はい。ぜひお召し上がりください」
ここのオーナーとは、この店がオープンした頃からの仲だが、私が誰かを連れてきたことがないから、きっとお祝いに出してくれているのだろう。
「では遠慮なくいただきます」
そういうと、店員は笑顔で部屋を出ていった。
「いただきましょうか、尚孝さん」
「すっごく美味しそうです」
お互いにケーキを食べさせ合いながら、幸せそうな尚孝さんをたっぷりとこの目に焼き付ける。
ああ、今日のランチはここにして正解だったな。
今回はランチ。
名前は出てませんが特別出演してるお店があります。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「いらっしゃいませ!」
「予約している志摩です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
案内されたのはこの店に数部屋しかないという個室。
尚孝さんとのランチは誰にも邪魔されたくないからお願いしておいたんだ。
この個室はオーナーの知り合いか、V.I.Pしか利用できず、一般客は個室の存在すら明かされていないという徹底っぷり。
トイレすら、個室客専用のトイレがあり一般の客とは会うこともない。
だからこそ、安心して尚孝さんを連れてくることができる。
「なんだか素敵なお店ですね」
「ええ、実際にドイツにあるカフェと同じような雰囲気になるように作ったそうですよ」
「へぇ……その、ドイツのカフェにも行ってみたいですね」
「ええ、いつか一緒に行きましょう」
「――っ、はい!」
私の誘いに頬を染めながらも了承してくれる尚孝さんが可愛い。
注文を受けに来てくれた店員におすすめを聴きながら、いくつかの料理を注文し終えると、
「すみません、僕ちょっとお手洗いに行ってきますね」
と尚孝さんが席を外した。
その隙に、ベルンシュトルフホールディングスの次期社長の日下部透也さんに先ほどの件を音声データとこっそり撮影しておいた女性二人の顔写真も込みで報告を入れておいた。
ベルンシュトルフの顧問弁護士の磯山先生にも報告を入れておこうか迷ったのは、今、一花さんの事件で最近共犯として捕まった女性の息子を預かっているという話を貴船会長から伺っていたからだ。
余計な仕事を増やしてしまうのではないかと考えたが、それでもやはり今回の件は彼女たち個人だけの話ではない。
LGBTQの保護に手厚いというベルンシュトルフの評判を地に落とすと言っても過言ではない暴言を吐いたのだから、これは顧問弁護士である磯山先生の耳にも入れておくべきだろう。
一瞬ためらいはしたが、やはり伝えないという選択肢はなく、磯山先生にも報告を入れておいた。
すぐに日下部次期社長からは
<ご報告ありがとうございます。情報を精査してすぐにご返信差し上げます>
と簡潔ながらも頼もしい言葉が返ってきた。
これで安心だな。
あいつらを絶対に逃すつもりなんてない。
「すみません、お待たせしてしまって」
ちょうどいいタイミングで尚孝さんが戻ってきた。
「一人で寂しかったので、抱きしめてもいいですか?」
「えっ? はい。ふふっ。唯人さん、可愛いです」
少し甘えてみると、尚孝さんの方から私の胸に擦り寄ってきてくれる。
そんな彼を包み込むように抱きしめると、尚孝さんの方からキスをねだるように顔を向けてくれた。
「んっ……」
チュッと重なり合うだけのキスで留めたのは、このまま外に出したくなくなるから。
それでも私たちは幸せに満ち溢れていた。
「お待たせしました」
それからすぐに料理が運ばれてきた。
美味しそうなドイツ料理の数々に尚孝さんの目が輝いている。
料理と一緒にビールも運ばれる。
やっぱりドイツ料理にビールは欠かせない。
「あ、でも唯人さん、車が……」
「ふふっ。大丈夫です。これはノンアルですから。でも雰囲気作りにはいいでしょう?」
昼間から尚孝さんと乾杯してランチを食べる。
もちろんお互いに食べさせあって。
「んっ! このソーセージ。すっごく美味しいです!」
大きなソーセージを頬張っている尚孝さんをみると、どうにも興奮してしまうが、そんなことを口にして嫌われたくはない。
可愛く食べる姿を目に焼き付けて、美味しいランチはあっという間に食べ終わった。
デザートでも頼もうかというタイミングで、扉がノックされる。
返事をすると先ほど注文をとりに来てくれた店員が中に入ってきた。
「こちら、オーナーからのサービスです」
そう言って出してくれたのは、さっぱりとしたチーズケーキの『Käsekuchen』と「黒い森のさくらんぼ酒ケーキ」という意味を持つ『Schwarzwälder Kirschtorte』
「いただいていいんですか?」
「はい。ぜひお召し上がりください」
ここのオーナーとは、この店がオープンした頃からの仲だが、私が誰かを連れてきたことがないから、きっとお祝いに出してくれているのだろう。
「では遠慮なくいただきます」
そういうと、店員は笑顔で部屋を出ていった。
「いただきましょうか、尚孝さん」
「すっごく美味しそうです」
お互いにケーキを食べさせ合いながら、幸せそうな尚孝さんをたっぷりとこの目に焼き付ける。
ああ、今日のランチはここにして正解だったな。
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