開拓島〜最強の不老不死になって、誰の指図も受けずに自由に生きます!〜

SaLi

文字の大きさ
上 下
12 / 24
一章 自由に生きるためには

12話 見ぃつけた

しおりを挟む
「やっと着いたね!」
「キキッ♪」


山の頂上を目指して数日。
ついに麓まで転移で来られるようになった。
遠くから見るとそんなに高い山に見えなかったが、近くで見るとそれなりに標高がありそうだった。


スキルレベルが上がったとはいえ、ほとんど景色の変わらない森の中に転移で戻るのは想像以上に場所の正確なイメージが難しく、前日まで進んだ場所にピンポイントで戻るというのが出来なかった。

これまで、自宅以外の場所から自宅への転移を徹底的に練習していたので、盲点だった。
まぁ、危険が迫った時に一瞬で安全な場所へ帰れるという安心感を取ったので仕方ないが。

しかし、それは単純な方法で解決した。
進んだ地点の適当な木に分かりやすく数字をナイフで書いておいたのだ。
数字が刻んである木をイメージするだけで、その木の前に転移することができた。


つまり、転移付近の全体的なイメージは必要なく、何か自分にとって分かりやすい目印をつけておけば簡単に転移できるということに気が付いた。
自宅への転移はもう完璧で、ほんの一瞬で出来るようになっているが、慣れない場所や景色が変わらない森の中などへの転移は今後も目印を活用していこうと思う。


さて、1から始めて山の麓近くの木には7の数字が刻んである。
だいたい毎日2時間程度歩き進めていったので、最初の地点から徒歩14時間前後といったところだろう。

まぁ、毎日の体力づくりのおかげで後半になるにつれ、歩くスピードも上がっていたと思うけど。
基本レベルは上がっていないが、HPとMPは順調に増えているのだ。

魔力循環もコツを掴んだので、意識的に常に循環させるようにしている。
そのうち無意識に出来るようになるだろう。


そんなこんなで、ついに麓に到着したので次は頂上を目指そうと思っているのだが、近くで見てもあまり緑がなく岩肌が見えているところが多い。
これならば、と思い見えている範囲で周囲に危険がなさそうなところを見つけ、その場所に転移するイメージをする。

すると、一瞬で景色が変わり元居た場所から50mほど登った場所に転移していた。

「よし、成功!!森の中だと足元がよく見えないから、この方法は使わなかったんだよね~。転移したらそこに落とし穴が!とか笑えないもんねぇ~」

「ウキッ」

同意するようにユキが鳴いてくれる。
可愛い。優しい。


落とし穴は冗談にしても、足元の見えない場所に直接転移するというのは、何があるか分からないのでやめておいたのだ。
スキルに頼って油断するのは大変よろしくない。


しかし、この山は場所を選べばこの方法で安全に登っていけそうなので使うことにした。
とは言っても、ちゃんと足元が見える範囲で短い距離の移動を繰り返すことにする。

そんな調子で転移を繰り返すこと数回。
ちょうど山の中腹くらいの場所に、洞窟を発見した。

入り口が結構広い。
そっと中を覗いてみるが、不自然なほど暗くて真っ暗だった。


「これって、もしかして…」

「ウキ?」

「ダンジョンじゃない?!」

「ウキキキィ?」

確認はしていないが、間違っていないと思う。

「これは、一旦確かめなければ!ユキ、私から絶対に離れないでね!」

テンションの上がった私は、ユキが頷いたのを確認して、慎重に足を踏み入れた。


洞窟に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったのが分かった。
転移をした時と似た感覚だった。
おそらく、ダンジョン内に入ったのだろう。

高さ3メートルほど、横幅4メートルほどの狭い通路が続いている。

その証拠に、後ろを振り返ると外の景色は全く見えず、それどころかただの壁になっていた。
閉じ込められた?!と一瞬焦ったが、そうではない。
後ろの壁の真横に何やら手をかざすような人工物があり、試しに手をかざしてみると洞窟の外に出られた。


この世界の一般的な知識によると、ダンジョンとは異空間に存在すると考えられていて、ダンジョンと現実とを結ぶ出入口のことをダンジョンゲートと呼んでいるようだ。
ダンジョンに入る時はそのまま入り、出るときは先ほどの装置に手をかざす。


フォルティナ様いわく、ダンジョンはこの世界の神々が、この世界の繁栄のために作り出しているものであり、そこで手に入れることが出来るドロップアイテムなどが実際に人々の生活の一部を支えているそうだ。
もちろん、ドロップが便利な分、手に入れるためにはそれ相応の危険もあるのだが。


とにかく、ちゃんと行き来が出来ることを確認した私は、もう一度ダンジョンへと足を踏み入れた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】

ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」  ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。  理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。  追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。  そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。    一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。  宮廷魔術師団長は知らなかった。  クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。  そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。  「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。  これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。 ーーーーーー ーーー ※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝! ※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。 見つけた際はご報告いただけますと幸いです……

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

処理中です...