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一章 自由に生きるためには
12話 見ぃつけた
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「やっと着いたね!」
「キキッ♪」
山の頂上を目指して数日。
ついに麓まで転移で来られるようになった。
遠くから見るとそんなに高い山に見えなかったが、近くで見るとそれなりに標高がありそうだった。
スキルレベルが上がったとはいえ、ほとんど景色の変わらない森の中に転移で戻るのは想像以上に場所の正確なイメージが難しく、前日まで進んだ場所にピンポイントで戻るというのが出来なかった。
これまで、自宅以外の場所から自宅への転移を徹底的に練習していたので、盲点だった。
まぁ、危険が迫った時に一瞬で安全な場所へ帰れるという安心感を取ったので仕方ないが。
しかし、それは単純な方法で解決した。
進んだ地点の適当な木に分かりやすく数字をナイフで書いておいたのだ。
数字が刻んである木をイメージするだけで、その木の前に転移することができた。
つまり、転移付近の全体的なイメージは必要なく、何か自分にとって分かりやすい目印をつけておけば簡単に転移できるということに気が付いた。
自宅への転移はもう完璧で、ほんの一瞬で出来るようになっているが、慣れない場所や景色が変わらない森の中などへの転移は今後も目印を活用していこうと思う。
さて、1から始めて山の麓近くの木には7の数字が刻んである。
だいたい毎日2時間程度歩き進めていったので、最初の地点から徒歩14時間前後といったところだろう。
まぁ、毎日の体力づくりのおかげで後半になるにつれ、歩くスピードも上がっていたと思うけど。
基本レベルは上がっていないが、HPとMPは順調に増えているのだ。
魔力循環もコツを掴んだので、意識的に常に循環させるようにしている。
そのうち無意識に出来るようになるだろう。
そんなこんなで、ついに麓に到着したので次は頂上を目指そうと思っているのだが、近くで見てもあまり緑がなく岩肌が見えているところが多い。
これならば、と思い見えている範囲で周囲に危険がなさそうなところを見つけ、その場所に転移するイメージをする。
すると、一瞬で景色が変わり元居た場所から50mほど登った場所に転移していた。
「よし、成功!!森の中だと足元がよく見えないから、この方法は使わなかったんだよね~。転移したらそこに落とし穴が!とか笑えないもんねぇ~」
「ウキッ」
同意するようにユキが鳴いてくれる。
可愛い。優しい。
落とし穴は冗談にしても、足元の見えない場所に直接転移するというのは、何があるか分からないのでやめておいたのだ。
スキルに頼って油断するのは大変よろしくない。
しかし、この山は場所を選べばこの方法で安全に登っていけそうなので使うことにした。
とは言っても、ちゃんと足元が見える範囲で短い距離の移動を繰り返すことにする。
そんな調子で転移を繰り返すこと数回。
ちょうど山の中腹くらいの場所に、洞窟を発見した。
入り口が結構広い。
そっと中を覗いてみるが、不自然なほど暗くて真っ暗だった。
「これって、もしかして…」
「ウキ?」
「ダンジョンじゃない?!」
「ウキキキィ?」
確認はしていないが、間違っていないと思う。
「これは、一旦確かめなければ!ユキ、私から絶対に離れないでね!」
テンションの上がった私は、ユキが頷いたのを確認して、慎重に足を踏み入れた。
洞窟に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったのが分かった。
転移をした時と似た感覚だった。
おそらく、ダンジョン内に入ったのだろう。
高さ3メートルほど、横幅4メートルほどの狭い通路が続いている。
その証拠に、後ろを振り返ると外の景色は全く見えず、それどころかただの壁になっていた。
閉じ込められた?!と一瞬焦ったが、そうではない。
後ろの壁の真横に何やら手をかざすような人工物があり、試しに手をかざしてみると洞窟の外に出られた。
この世界の一般的な知識によると、ダンジョンとは異空間に存在すると考えられていて、ダンジョンと現実とを結ぶ出入口のことをダンジョンゲートと呼んでいるようだ。
ダンジョンに入る時はそのまま入り、出るときは先ほどの装置に手をかざす。
フォルティナ様いわく、ダンジョンはこの世界の神々が、この世界の繁栄のために作り出しているものであり、そこで手に入れることが出来るドロップアイテムなどが実際に人々の生活の一部を支えているそうだ。
もちろん、ドロップが便利な分、手に入れるためにはそれ相応の危険もあるのだが。
とにかく、ちゃんと行き来が出来ることを確認した私は、もう一度ダンジョンへと足を踏み入れた。
「キキッ♪」
山の頂上を目指して数日。
ついに麓まで転移で来られるようになった。
遠くから見るとそんなに高い山に見えなかったが、近くで見るとそれなりに標高がありそうだった。
スキルレベルが上がったとはいえ、ほとんど景色の変わらない森の中に転移で戻るのは想像以上に場所の正確なイメージが難しく、前日まで進んだ場所にピンポイントで戻るというのが出来なかった。
これまで、自宅以外の場所から自宅への転移を徹底的に練習していたので、盲点だった。
まぁ、危険が迫った時に一瞬で安全な場所へ帰れるという安心感を取ったので仕方ないが。
しかし、それは単純な方法で解決した。
進んだ地点の適当な木に分かりやすく数字をナイフで書いておいたのだ。
数字が刻んである木をイメージするだけで、その木の前に転移することができた。
つまり、転移付近の全体的なイメージは必要なく、何か自分にとって分かりやすい目印をつけておけば簡単に転移できるということに気が付いた。
自宅への転移はもう完璧で、ほんの一瞬で出来るようになっているが、慣れない場所や景色が変わらない森の中などへの転移は今後も目印を活用していこうと思う。
さて、1から始めて山の麓近くの木には7の数字が刻んである。
だいたい毎日2時間程度歩き進めていったので、最初の地点から徒歩14時間前後といったところだろう。
まぁ、毎日の体力づくりのおかげで後半になるにつれ、歩くスピードも上がっていたと思うけど。
基本レベルは上がっていないが、HPとMPは順調に増えているのだ。
魔力循環もコツを掴んだので、意識的に常に循環させるようにしている。
そのうち無意識に出来るようになるだろう。
そんなこんなで、ついに麓に到着したので次は頂上を目指そうと思っているのだが、近くで見てもあまり緑がなく岩肌が見えているところが多い。
これならば、と思い見えている範囲で周囲に危険がなさそうなところを見つけ、その場所に転移するイメージをする。
すると、一瞬で景色が変わり元居た場所から50mほど登った場所に転移していた。
「よし、成功!!森の中だと足元がよく見えないから、この方法は使わなかったんだよね~。転移したらそこに落とし穴が!とか笑えないもんねぇ~」
「ウキッ」
同意するようにユキが鳴いてくれる。
可愛い。優しい。
落とし穴は冗談にしても、足元の見えない場所に直接転移するというのは、何があるか分からないのでやめておいたのだ。
スキルに頼って油断するのは大変よろしくない。
しかし、この山は場所を選べばこの方法で安全に登っていけそうなので使うことにした。
とは言っても、ちゃんと足元が見える範囲で短い距離の移動を繰り返すことにする。
そんな調子で転移を繰り返すこと数回。
ちょうど山の中腹くらいの場所に、洞窟を発見した。
入り口が結構広い。
そっと中を覗いてみるが、不自然なほど暗くて真っ暗だった。
「これって、もしかして…」
「ウキ?」
「ダンジョンじゃない?!」
「ウキキキィ?」
確認はしていないが、間違っていないと思う。
「これは、一旦確かめなければ!ユキ、私から絶対に離れないでね!」
テンションの上がった私は、ユキが頷いたのを確認して、慎重に足を踏み入れた。
洞窟に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったのが分かった。
転移をした時と似た感覚だった。
おそらく、ダンジョン内に入ったのだろう。
高さ3メートルほど、横幅4メートルほどの狭い通路が続いている。
その証拠に、後ろを振り返ると外の景色は全く見えず、それどころかただの壁になっていた。
閉じ込められた?!と一瞬焦ったが、そうではない。
後ろの壁の真横に何やら手をかざすような人工物があり、試しに手をかざしてみると洞窟の外に出られた。
この世界の一般的な知識によると、ダンジョンとは異空間に存在すると考えられていて、ダンジョンと現実とを結ぶ出入口のことをダンジョンゲートと呼んでいるようだ。
ダンジョンに入る時はそのまま入り、出るときは先ほどの装置に手をかざす。
フォルティナ様いわく、ダンジョンはこの世界の神々が、この世界の繁栄のために作り出しているものであり、そこで手に入れることが出来るドロップアイテムなどが実際に人々の生活の一部を支えているそうだ。
もちろん、ドロップが便利な分、手に入れるためにはそれ相応の危険もあるのだが。
とにかく、ちゃんと行き来が出来ることを確認した私は、もう一度ダンジョンへと足を踏み入れた。
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