19 / 49
第二章 元冒険者、弓の騎士になる
19:不穏な予感、リッカルドからの手紙
しおりを挟むそして、ついにその時はやってきた
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。


大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。


何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる