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フリードの末路、そして未来へ…
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朝食が終わって、お父様に談話室へ呼ばれた。
「セレンディア、昨夜殿下が捕らえられたよ」
「え、フリード様が? 何故ですの?」
舞踏会以来、お会いしてなかったですが…何があったのでしょう。
「グレン君への襲撃と誘拐、監禁、殺人未遂の罪だね」
「………はああああっ!?」
え?? 昨日? え?
「はっ! グレンはっ? 怪我はっ? 今どこですのっ!?」
わたくしは立ち上がりお父様に詰め寄る。
「落ち着きなさい! グレン君は無事だから!」
「無事………」
「ああ、多分もうすぐここへ来るよ…」
良かった……でも直接確かめるまでは安心出来ませんわね。
「けれど、フリード様は何故グレンを襲ったのかしら…?わたくしに腹を立てるのなら分かりますけど…」
「それだけセレンディアに執着していたんだよ。君の婚約者に納まったグレン君を排除したかったのだろう」
「お嬢様の婚約を陛下に聞いたのでしょう、フリード様は昨日学院に来ていた様です」
お父様と話していると、お茶を淹れてくれていたカイがわたくしの疑問に答えてくれた。
「グレン様はお嬢様に害が及ばない様に、フリード様の敵意がご自分へ向くよう振舞っておられました」
「だから昨日あんなに甘々だっ…「甘々?」…っ!! な、何でもありませんわ!」
「………まぁいい…」(…甘々だとっ!? 彼奴め……)
どうしましょう、お父様の笑顔が真っ黒ですわ…カイに何とか…無理ですわね…顔逸らして肩が震えてますわ…
―――王宮にて、国王(オウグスト)side―――
「フリードよ…お前には失望したぞ、この様な浅慮な者を王太子にしておく事は出来ん。王位継承権剥奪の上、北の塔への幽閉を命じる!」
「なっ!? あそこは確か王族の重罪人が入る所ではありませんかっ! 何故私がそんな所へ!?」
「お前は、自分が何をしたのか分かっていないのかっ!!」
「未来の王妃を奪った愚か者へ制裁を加えただけではありませんかっ!」
「制裁だと? 誘拐と監禁! 2度の襲撃と殺人未遂! これは只の犯罪だっ!! それと、セレンディア嬢の事はお前の責任だ!!」
「ぐっ……」
「しかも、相手は王位継承権を持つ隣国の公爵家嫡男だぞ!!」
「なっ!? 只の公爵子息ではっ!!?」
「お前に説明しても無駄だな…第2王子が王位を継ぎ子を儲けるまで北の塔で幽閉し、その後、処刑か永久強制労働かは新国王の采配に任せる事とする! 衛兵! この者を連れて行け!!」
「「「はっ!!!」」」
「父上ええええっ!!!!」
一体どこで教育を間違ったのであろうか……
第2王子がまだ幼い故、これから教育を施して行けるのは逆に良かったと思うべきか…
はぁぁ…あと10年は退位出来ぬわな……
とにかく、まずは隣国へ使者を送らねばならん…
フリード様が処罰されて3ヶ月後、わたくし達は最高学年になりました。
相も変わらず5人で仲良く穏やかな日々を送っています。
それと最近、気のせいでなければカイとリリィが良い感じに思えます。
2人にはお世話になってるから、幸せになって欲しいですわね…
「お嬢様、グレン様がお迎えに来られました」
「ありがとうリリィ、今行くわ」
階段を下りて行くと、玄関にグレンとお兄様が居ました。
「グレン、お待たせしました」
「セレン、やっぱりカイを連れて行った方が…」
「お兄様…」
今日はグレンと初めて街へ出掛けるんです。
初デートなんです。
カイを連れて行ったら台無しですわ…
「大丈夫ですよ、シリウス殿。 セレンディアは私が守ります」
「しかしだな…」
「平気です、お兄様。グレンからは離れませんから」
「いや、だから、それが…」
「シリウス」
お母様が見かねて来てくれた様です。
「母上…」
「彼なら大丈夫ですわよ。ねぇ、グレン君…?」(もし手を出そうものなら…分かっているわよねぇ?)
いつも暖かいお母様の笑顔が恐いのは何故でしょう…?
「は、はい…お任せ下さい……」(こ…恐い…3人の中で1番恐いかも知れない…)
「ではお母様、お兄様、行って来ます」
「行ってらっしゃい」
「気をつけて…グレン、セレンを頼む…」
「ええ、お任せください」
わたくし達は馬車に乗り込み、待望の街へ向かって走り出した。
街へ着くと、迎えの場所と時間を決めて馬車を帰しました。
ちょっと恥ずかしいけどグレンと手を繋いで歩く…
中央の噴水広場には沢山の屋台なんかも出ていて、何だか凄く懐かしい感じがする…
前にもこうやって誰かと手を繋いで屋台を巡った様な…ズキン…
「セレンディア、何か食べるかい?」
「……ん…」
「どうした?」
「何でもないの…ちょっと頭痛がしただけ。もう平気よ」
「初めて街に来たから興奮したのかもね…少しベンチで休もう」
2人でベンチに腰掛けて街並みを見つめる。
「落ち着いた?」
「うん。…あのね、ずっと前にもこうやって、誰かと街へ来た様な気がしたの……お祭りだったのかなぁ。あんな風に屋台が沢山出ててね、夜空に咲く花火が綺麗だった……」
「………」(貴族令嬢は花火大会なんか見に出られない…これは、沙耶華の記憶だ…)
「誰だったんだろう……凄く安心出来て、暖かい人だった気がする……」
「…そっか……」(沙耶華……)
「あっ! ごめんね!? 急に変な事言いだして…」
「いや……君の大事な思い出だったんだろうね…」
「これからはグレンと沢山、素敵な思い出を作って行くんですわ」
「あぁ、沢山作って行こう…愛してる、セレンディア…心から君を……」
グレンがわたくしの手にキスを落としました。
「わ、わたくしも…あ、愛してますわ、グレン…」
―――完―――
追記―――これから2人で幸せを育んでいく中、セレンディアが沙耶華の記憶を思い出すかは……皆さんの想像にお任せします。
「セレンディア、昨夜殿下が捕らえられたよ」
「え、フリード様が? 何故ですの?」
舞踏会以来、お会いしてなかったですが…何があったのでしょう。
「グレン君への襲撃と誘拐、監禁、殺人未遂の罪だね」
「………はああああっ!?」
え?? 昨日? え?
「はっ! グレンはっ? 怪我はっ? 今どこですのっ!?」
わたくしは立ち上がりお父様に詰め寄る。
「落ち着きなさい! グレン君は無事だから!」
「無事………」
「ああ、多分もうすぐここへ来るよ…」
良かった……でも直接確かめるまでは安心出来ませんわね。
「けれど、フリード様は何故グレンを襲ったのかしら…?わたくしに腹を立てるのなら分かりますけど…」
「それだけセレンディアに執着していたんだよ。君の婚約者に納まったグレン君を排除したかったのだろう」
「お嬢様の婚約を陛下に聞いたのでしょう、フリード様は昨日学院に来ていた様です」
お父様と話していると、お茶を淹れてくれていたカイがわたくしの疑問に答えてくれた。
「グレン様はお嬢様に害が及ばない様に、フリード様の敵意がご自分へ向くよう振舞っておられました」
「だから昨日あんなに甘々だっ…「甘々?」…っ!! な、何でもありませんわ!」
「………まぁいい…」(…甘々だとっ!? 彼奴め……)
どうしましょう、お父様の笑顔が真っ黒ですわ…カイに何とか…無理ですわね…顔逸らして肩が震えてますわ…
―――王宮にて、国王(オウグスト)side―――
「フリードよ…お前には失望したぞ、この様な浅慮な者を王太子にしておく事は出来ん。王位継承権剥奪の上、北の塔への幽閉を命じる!」
「なっ!? あそこは確か王族の重罪人が入る所ではありませんかっ! 何故私がそんな所へ!?」
「お前は、自分が何をしたのか分かっていないのかっ!!」
「未来の王妃を奪った愚か者へ制裁を加えただけではありませんかっ!」
「制裁だと? 誘拐と監禁! 2度の襲撃と殺人未遂! これは只の犯罪だっ!! それと、セレンディア嬢の事はお前の責任だ!!」
「ぐっ……」
「しかも、相手は王位継承権を持つ隣国の公爵家嫡男だぞ!!」
「なっ!? 只の公爵子息ではっ!!?」
「お前に説明しても無駄だな…第2王子が王位を継ぎ子を儲けるまで北の塔で幽閉し、その後、処刑か永久強制労働かは新国王の采配に任せる事とする! 衛兵! この者を連れて行け!!」
「「「はっ!!!」」」
「父上ええええっ!!!!」
一体どこで教育を間違ったのであろうか……
第2王子がまだ幼い故、これから教育を施して行けるのは逆に良かったと思うべきか…
はぁぁ…あと10年は退位出来ぬわな……
とにかく、まずは隣国へ使者を送らねばならん…
フリード様が処罰されて3ヶ月後、わたくし達は最高学年になりました。
相も変わらず5人で仲良く穏やかな日々を送っています。
それと最近、気のせいでなければカイとリリィが良い感じに思えます。
2人にはお世話になってるから、幸せになって欲しいですわね…
「お嬢様、グレン様がお迎えに来られました」
「ありがとうリリィ、今行くわ」
階段を下りて行くと、玄関にグレンとお兄様が居ました。
「グレン、お待たせしました」
「セレン、やっぱりカイを連れて行った方が…」
「お兄様…」
今日はグレンと初めて街へ出掛けるんです。
初デートなんです。
カイを連れて行ったら台無しですわ…
「大丈夫ですよ、シリウス殿。 セレンディアは私が守ります」
「しかしだな…」
「平気です、お兄様。グレンからは離れませんから」
「いや、だから、それが…」
「シリウス」
お母様が見かねて来てくれた様です。
「母上…」
「彼なら大丈夫ですわよ。ねぇ、グレン君…?」(もし手を出そうものなら…分かっているわよねぇ?)
いつも暖かいお母様の笑顔が恐いのは何故でしょう…?
「は、はい…お任せ下さい……」(こ…恐い…3人の中で1番恐いかも知れない…)
「ではお母様、お兄様、行って来ます」
「行ってらっしゃい」
「気をつけて…グレン、セレンを頼む…」
「ええ、お任せください」
わたくし達は馬車に乗り込み、待望の街へ向かって走り出した。
街へ着くと、迎えの場所と時間を決めて馬車を帰しました。
ちょっと恥ずかしいけどグレンと手を繋いで歩く…
中央の噴水広場には沢山の屋台なんかも出ていて、何だか凄く懐かしい感じがする…
前にもこうやって誰かと手を繋いで屋台を巡った様な…ズキン…
「セレンディア、何か食べるかい?」
「……ん…」
「どうした?」
「何でもないの…ちょっと頭痛がしただけ。もう平気よ」
「初めて街に来たから興奮したのかもね…少しベンチで休もう」
2人でベンチに腰掛けて街並みを見つめる。
「落ち着いた?」
「うん。…あのね、ずっと前にもこうやって、誰かと街へ来た様な気がしたの……お祭りだったのかなぁ。あんな風に屋台が沢山出ててね、夜空に咲く花火が綺麗だった……」
「………」(貴族令嬢は花火大会なんか見に出られない…これは、沙耶華の記憶だ…)
「誰だったんだろう……凄く安心出来て、暖かい人だった気がする……」
「…そっか……」(沙耶華……)
「あっ! ごめんね!? 急に変な事言いだして…」
「いや……君の大事な思い出だったんだろうね…」
「これからはグレンと沢山、素敵な思い出を作って行くんですわ」
「あぁ、沢山作って行こう…愛してる、セレンディア…心から君を……」
グレンがわたくしの手にキスを落としました。
「わ、わたくしも…あ、愛してますわ、グレン…」
―――完―――
追記―――これから2人で幸せを育んでいく中、セレンディアが沙耶華の記憶を思い出すかは……皆さんの想像にお任せします。
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