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私、学院に通います
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「お父様、学院へ通う事にしました」
「そうか、良く決心したね」
また頭を撫でてくれます…お父様撫でるのが好きなのかな?
「それでですね、お母様に少しでもマナーを教えて貰えたらと思って…」
「わかった。 マリアンナは今お茶会で出掛けているから、帰って来たら伝えよう」
「それと今日ね、グレンが私と親しかった女の子を連れて来てくれるの」
「ああ! そう言えば伝えるのを忘れていたっ。 君宛に手紙が来てたんだけど意識が戻って無かっただろう? だから私が返事を書いて送っていたんだ…すまん……」
「じゃあ、今日来るのがその手紙をくれた人かも知れないですね。 楽しみだなぁ」
そしてその日グレンが連れて来たのは、侯爵令嬢のルチアーナ・マグリットと伯爵令嬢のカナリア・シャンタス。
私と3人で良くお茶会をしていたらしい。 2人とも私が記憶を失った事をとても悲しんでたけど、カイと話した様にこれから沢山思い出を作ろうと涙ながらに慰めてくれた。
我が家での非公式なお茶会という事で、王太子殿下の悪口や今迄の鬱憤をここぞとばかりに話して皆で盛り上がった。
そんなこんなで私の中では、婚約者だった王太子はとんでもなく馬鹿ではないかという結論が出た。
この国やこの世界の事はまだ全然分からないけど、この結論だけは絶対覆らないだろうと思う。
「お母様、お帰りなさい」
「あらあら…ただいま、セレンディア」
お母様を抱きしめて迎えると、やはり最初の時の様にふんわり抱き返してくれました。
ん~。やっぱり良い匂いがする。
「今お父様に聞きましたよ。マナーを学びたいんですって?」
「そうなんです。 私、学院に行く事にしたんですけど…いくら不敬罪を無効にしてくれると言っても、やっぱり少しは自分も努力はするべきかなって…」
「そうね、必要のない諍いを避けるのは大事なことですもの」
「あと言葉遣いも教えて下さい。 私の喋り方はとても貴族とは言えないでしょ?」
「わかりました。 セレンディアがこんなにやる気なんですもの、お母様に任せなさい」
「よろしくお願いします」
こうして貴族のマナーや言葉遣いを習う事が決まった。
けど不思議とマナーは身体が覚えているみたいで、ほとんど座学で理解すれば出来る様になった。
という事で残るは言葉遣い。 これが意外と難関だった。 何度舌を噛みそうになった事か。
―――1ヶ月後―――
「お嬢様、 グレン様がいらっしゃいました」
「入って頂いて」
「やぁ、セレンディア。 久しぶりだね」
「お久しぶりですわね、グレン」
「お、 言葉遣い…直したんだね」
「ええ、お母様に猛特訓されましたわ」
「じゃあ、後は学院で実践あるのみか」
「うっ……緊張させないで下さいぃ」
「くくっ…悪いっ、 まぁ俺は砕けてる喋り方も好きだけどな」
うううっ……そんな綺麗な顔で爽やかな笑顔なんて卑怯ですぅ。
「やめて下さいませ。 被った仮面が剥がれてしまう…ます……わ」
「ぶはっ!」
そんな気持ち良く吹き出さなくても……もうっ!
「グレン様…あまりお嬢様を揶揄わないでやって下さい」
「悪かった、カイ。 ごめんね?セレンディア」
つんっ!
「いじわるする人にはケーキあげませんっ」
「可愛かったから、つい?」
「っ!!」
首を傾げて微笑むなあああっ。 どっちが可愛いのよぉ。
―――フリードside―――
こんな筈じゃ無かった!!
「くそっ! いつになったら処分が解かれるんだっ!!」
ガンッ!っとテーブルを蹴り飛ばす。
いつまでも閉じ込められていては何も出来ないではないか。
「何が婚約の白紙撤回だっ!」
今更冗談ではないっ。ここまで来て白紙などと!
私の今迄の努力が水の泡ではないか!
記憶が無い? 上等だ! 以前の様なセレンディアではないという事だ。
上手く宥め賺してもう一度婚約し直せば良いっ。
ウィンガザル公爵が少々邪魔だが此方は王族。 セレンディアさえ肯けば何とでもなる!
―――メリンダside―――
ファルシオン学院に入学してフリード様を見た時ピンときたわっ。
あたしは男爵令嬢でフリード様は王太子殿下。
そしてフリード様の婚約者、公爵令嬢セレンディアとくれば。
異世界転生。 あたしはヒロイン。 攻略対象の王太子殿下。
セレンディアは悪役令嬢なんだわっ!
ここは恐らく乙女ゲームか小説の世界なのだろう。
フリード様はあたしに夢中だし、セレンディアを蔑んでるみたいだし。
この間なんかセレンディアを思い切り引っ叩いてたし。
そういえば、あれからセレンディアの姿を見ないけど何してるのかしら。
フリード様もあの後しばらくしたら学院に来なくなったし。
忙しいのかな? 王太子だもんね、色々やる事があるんだろうなぁ。
でも2人が居なきゃ何もイベントが進まないじゃない。
まぁこの乙女ゲームはやった事ないから、どれがイベントなのかは分かんないんだけど。
あと長くて1年半くらいかぁ。
多分あの2人がどっちか卒業する時のパーティーが、断罪イベントの舞台なんだろうなぁ。
「うふふっ」
とっても楽しみだわぁ
「そうか、良く決心したね」
また頭を撫でてくれます…お父様撫でるのが好きなのかな?
「それでですね、お母様に少しでもマナーを教えて貰えたらと思って…」
「わかった。 マリアンナは今お茶会で出掛けているから、帰って来たら伝えよう」
「それと今日ね、グレンが私と親しかった女の子を連れて来てくれるの」
「ああ! そう言えば伝えるのを忘れていたっ。 君宛に手紙が来てたんだけど意識が戻って無かっただろう? だから私が返事を書いて送っていたんだ…すまん……」
「じゃあ、今日来るのがその手紙をくれた人かも知れないですね。 楽しみだなぁ」
そしてその日グレンが連れて来たのは、侯爵令嬢のルチアーナ・マグリットと伯爵令嬢のカナリア・シャンタス。
私と3人で良くお茶会をしていたらしい。 2人とも私が記憶を失った事をとても悲しんでたけど、カイと話した様にこれから沢山思い出を作ろうと涙ながらに慰めてくれた。
我が家での非公式なお茶会という事で、王太子殿下の悪口や今迄の鬱憤をここぞとばかりに話して皆で盛り上がった。
そんなこんなで私の中では、婚約者だった王太子はとんでもなく馬鹿ではないかという結論が出た。
この国やこの世界の事はまだ全然分からないけど、この結論だけは絶対覆らないだろうと思う。
「お母様、お帰りなさい」
「あらあら…ただいま、セレンディア」
お母様を抱きしめて迎えると、やはり最初の時の様にふんわり抱き返してくれました。
ん~。やっぱり良い匂いがする。
「今お父様に聞きましたよ。マナーを学びたいんですって?」
「そうなんです。 私、学院に行く事にしたんですけど…いくら不敬罪を無効にしてくれると言っても、やっぱり少しは自分も努力はするべきかなって…」
「そうね、必要のない諍いを避けるのは大事なことですもの」
「あと言葉遣いも教えて下さい。 私の喋り方はとても貴族とは言えないでしょ?」
「わかりました。 セレンディアがこんなにやる気なんですもの、お母様に任せなさい」
「よろしくお願いします」
こうして貴族のマナーや言葉遣いを習う事が決まった。
けど不思議とマナーは身体が覚えているみたいで、ほとんど座学で理解すれば出来る様になった。
という事で残るは言葉遣い。 これが意外と難関だった。 何度舌を噛みそうになった事か。
―――1ヶ月後―――
「お嬢様、 グレン様がいらっしゃいました」
「入って頂いて」
「やぁ、セレンディア。 久しぶりだね」
「お久しぶりですわね、グレン」
「お、 言葉遣い…直したんだね」
「ええ、お母様に猛特訓されましたわ」
「じゃあ、後は学院で実践あるのみか」
「うっ……緊張させないで下さいぃ」
「くくっ…悪いっ、 まぁ俺は砕けてる喋り方も好きだけどな」
うううっ……そんな綺麗な顔で爽やかな笑顔なんて卑怯ですぅ。
「やめて下さいませ。 被った仮面が剥がれてしまう…ます……わ」
「ぶはっ!」
そんな気持ち良く吹き出さなくても……もうっ!
「グレン様…あまりお嬢様を揶揄わないでやって下さい」
「悪かった、カイ。 ごめんね?セレンディア」
つんっ!
「いじわるする人にはケーキあげませんっ」
「可愛かったから、つい?」
「っ!!」
首を傾げて微笑むなあああっ。 どっちが可愛いのよぉ。
―――フリードside―――
こんな筈じゃ無かった!!
「くそっ! いつになったら処分が解かれるんだっ!!」
ガンッ!っとテーブルを蹴り飛ばす。
いつまでも閉じ込められていては何も出来ないではないか。
「何が婚約の白紙撤回だっ!」
今更冗談ではないっ。ここまで来て白紙などと!
私の今迄の努力が水の泡ではないか!
記憶が無い? 上等だ! 以前の様なセレンディアではないという事だ。
上手く宥め賺してもう一度婚約し直せば良いっ。
ウィンガザル公爵が少々邪魔だが此方は王族。 セレンディアさえ肯けば何とでもなる!
―――メリンダside―――
ファルシオン学院に入学してフリード様を見た時ピンときたわっ。
あたしは男爵令嬢でフリード様は王太子殿下。
そしてフリード様の婚約者、公爵令嬢セレンディアとくれば。
異世界転生。 あたしはヒロイン。 攻略対象の王太子殿下。
セレンディアは悪役令嬢なんだわっ!
ここは恐らく乙女ゲームか小説の世界なのだろう。
フリード様はあたしに夢中だし、セレンディアを蔑んでるみたいだし。
この間なんかセレンディアを思い切り引っ叩いてたし。
そういえば、あれからセレンディアの姿を見ないけど何してるのかしら。
フリード様もあの後しばらくしたら学院に来なくなったし。
忙しいのかな? 王太子だもんね、色々やる事があるんだろうなぁ。
でも2人が居なきゃ何もイベントが進まないじゃない。
まぁこの乙女ゲームはやった事ないから、どれがイベントなのかは分かんないんだけど。
あと長くて1年半くらいかぁ。
多分あの2人がどっちか卒業する時のパーティーが、断罪イベントの舞台なんだろうなぁ。
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