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確信、確定、絶対そうでしょ
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陛下との謁見を終えて、私達は屋敷へ帰って来ました。
フェルが居たのには驚きましたが、殿下達の噂を知って休暇を貰って来たと聞いた時は嬉しかったわ。
明日も早朝から訓練が有るらしいので、あまり遅くまでは此処に居られないとの事で…
「姉様が元気そうで安心したよ」
「心配してくれてありがとう、フェル…」
「僕…今は頼りないけど、姉様を守れるくらいに強くなるから」
「フェルは頼りなくなんか無いよ…来てくれて嬉しかった」
「へへっ。 じゃ、父上、母上」
「あぁ。 気を付けて帰りなさい」
「頑張りなさい。 体調には気を付けてね」
「はい! 兄様、今度は負けませんから」
「楽しみにしてるよ」
フェルは私達に手を振って、騎士団宿舎へ帰って行きました。
馬車が見えなくなった時、お母様が振り返り…
「さぁ。 あなた達はこれから何か密談があるのでしょう? わたくしは部屋でゆっくりして来ますわね」
「お母様…っ」
「オリヴィア…」
「ふふっ。 いつか話してくれると嬉しいわ」
と言って、穏やかに微笑みました。
「ありがとう、オリヴィア…」
お母様が部屋へ向かい、姿が見えなくなってからお父様が言いました。
「では、密談の時間だ」
◇
書斎へ移った私達は先ず、お兄様へ陛下との謁見内容を話した。
「では、実質、シアは婚約者候補からは外れたのですね。父上」
「ああ。 外交問題に障りが出るから、表向きだけ婚約者のままだがな」
「それで、殿下達を元に戻す方法が……シアの魔力を2人に…ですか」
「契約獣魔である俺がフェリシアの魔力を扱ってもいいのだが…本人から流した方が効果は高い」
そう、私自身が殿下達へ直接魔力を流し込む…
但し…繰り返し魅了魔法を掛けられている事を踏まえて、複数回に分けて行う事になった。
魅了が未知の魔法である為、確実に元に戻ると言う保証は無いけど…
出来る事からやってみないと…
「シアが直接、となると…危険ではないでしょうか? 恐らくアルフォードより敵意が強い筈です」
「それなのだが、陛下の話だと殿下達は夕食の後で2時間ほど講師が就いているらしい。 その時、魔法で眠らせる事になっている」
「そうですか。 それなら安心です」
ずっと眉間に皺が寄っていたお兄様、ほっとしたのか…やっと表情が柔らかくなりました。
あ、もうひとつ伝えておかなくては!
「お兄様。 私の魔力を流し込むのは殿下達だけではありませんよ?」
「え?」
「お前と、隣国の王子もだ」
「僕とアルフォードにも…?」
「そうだ。 殿下達と違って2人は正気だからな…フェリシアの銀の魔力をかなり多めに流し込む」
「シルフも万能では無いからな…取れる予防措置はしておいた方がいいだろう。 前例が無いから分からんが、もし魅了が防げなくても……記憶の改竄はされないで済むかも知れんしな」
お父様とゲイルが説明したあと、お兄様が少し考え込む様に俯きました。
「………殿下達にシアの魔力を多めに流すとどうなるのかな…?」
この問いにはゲイルが答えて、私の方を向いた。
「まぁ…体験した方が早いな。 フェリシア、ジルベールに魔力を流してみろ。 そうだな…直径20センチの水球程度でいい」
「分かったわ………………」
お兄様に触れて、ゲイルが言ったくらいの魔力を流し込んだ。
「っ!! これはっ……!」
「違和感があるだろう…他人の魔力が入るとそうなる。しかもフェリシアの魔力は特別製だ」
「成程…これでは怪しまれてしまうね」
「気付かれない様にするには、ティーカップ1杯分程度の魔力だな」
「少ないね…」
「複数回に分けるのはこの為でもある」
「あともうひとつ聞きたい事があるんだけど…」
「何だ?」
「インジャスタ男爵令嬢は……彼女も、転生者なのかな…」
あゝ…やっぱりそこに行き着くよね~。
「俺はそう確信してるよ。 トリスタンとアルフォードの記憶改竄、その時点でほぼ確定だろう」
だよね…ゲーム通りに進めたいって感じがありありだもの…
フェルが居たのには驚きましたが、殿下達の噂を知って休暇を貰って来たと聞いた時は嬉しかったわ。
明日も早朝から訓練が有るらしいので、あまり遅くまでは此処に居られないとの事で…
「姉様が元気そうで安心したよ」
「心配してくれてありがとう、フェル…」
「僕…今は頼りないけど、姉様を守れるくらいに強くなるから」
「フェルは頼りなくなんか無いよ…来てくれて嬉しかった」
「へへっ。 じゃ、父上、母上」
「あぁ。 気を付けて帰りなさい」
「頑張りなさい。 体調には気を付けてね」
「はい! 兄様、今度は負けませんから」
「楽しみにしてるよ」
フェルは私達に手を振って、騎士団宿舎へ帰って行きました。
馬車が見えなくなった時、お母様が振り返り…
「さぁ。 あなた達はこれから何か密談があるのでしょう? わたくしは部屋でゆっくりして来ますわね」
「お母様…っ」
「オリヴィア…」
「ふふっ。 いつか話してくれると嬉しいわ」
と言って、穏やかに微笑みました。
「ありがとう、オリヴィア…」
お母様が部屋へ向かい、姿が見えなくなってからお父様が言いました。
「では、密談の時間だ」
◇
書斎へ移った私達は先ず、お兄様へ陛下との謁見内容を話した。
「では、実質、シアは婚約者候補からは外れたのですね。父上」
「ああ。 外交問題に障りが出るから、表向きだけ婚約者のままだがな」
「それで、殿下達を元に戻す方法が……シアの魔力を2人に…ですか」
「契約獣魔である俺がフェリシアの魔力を扱ってもいいのだが…本人から流した方が効果は高い」
そう、私自身が殿下達へ直接魔力を流し込む…
但し…繰り返し魅了魔法を掛けられている事を踏まえて、複数回に分けて行う事になった。
魅了が未知の魔法である為、確実に元に戻ると言う保証は無いけど…
出来る事からやってみないと…
「シアが直接、となると…危険ではないでしょうか? 恐らくアルフォードより敵意が強い筈です」
「それなのだが、陛下の話だと殿下達は夕食の後で2時間ほど講師が就いているらしい。 その時、魔法で眠らせる事になっている」
「そうですか。 それなら安心です」
ずっと眉間に皺が寄っていたお兄様、ほっとしたのか…やっと表情が柔らかくなりました。
あ、もうひとつ伝えておかなくては!
「お兄様。 私の魔力を流し込むのは殿下達だけではありませんよ?」
「え?」
「お前と、隣国の王子もだ」
「僕とアルフォードにも…?」
「そうだ。 殿下達と違って2人は正気だからな…フェリシアの銀の魔力をかなり多めに流し込む」
「シルフも万能では無いからな…取れる予防措置はしておいた方がいいだろう。 前例が無いから分からんが、もし魅了が防げなくても……記憶の改竄はされないで済むかも知れんしな」
お父様とゲイルが説明したあと、お兄様が少し考え込む様に俯きました。
「………殿下達にシアの魔力を多めに流すとどうなるのかな…?」
この問いにはゲイルが答えて、私の方を向いた。
「まぁ…体験した方が早いな。 フェリシア、ジルベールに魔力を流してみろ。 そうだな…直径20センチの水球程度でいい」
「分かったわ………………」
お兄様に触れて、ゲイルが言ったくらいの魔力を流し込んだ。
「っ!! これはっ……!」
「違和感があるだろう…他人の魔力が入るとそうなる。しかもフェリシアの魔力は特別製だ」
「成程…これでは怪しまれてしまうね」
「気付かれない様にするには、ティーカップ1杯分程度の魔力だな」
「少ないね…」
「複数回に分けるのはこの為でもある」
「あともうひとつ聞きたい事があるんだけど…」
「何だ?」
「インジャスタ男爵令嬢は……彼女も、転生者なのかな…」
あゝ…やっぱりそこに行き着くよね~。
「俺はそう確信してるよ。 トリスタンとアルフォードの記憶改竄、その時点でほぼ確定だろう」
だよね…ゲーム通りに進めたいって感じがありありだもの…
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