上 下
21 / 44

問題発生!?

しおりを挟む
お兄様とヴェルド殿下の会話が聞こえて来て、何の事だろうと気になって尋ねてみた。

「ヴェルド殿下。2人とは、クロード様とシルグランド様の事ですの?」

「あぁ。2人で、ある女生徒にかまけてしまってな…側近の役目を果たしていなかったんだ」

私は思わずゲイルを見た。

(その女生徒がヒロインかも知れないわね)

『トリスタンが図書室に居るならば、一緒に居る可能性が高いな。
今から行って顔だけでも確認して来た方が良さそうだ。フェリシアはここで待っていろ』

(分かったわ)

私はヴェルド殿下の方へ向き直り、会話を続けた。

「だから彼等は騎士団でしごかれているのね」

「あ、俺忘れ物したみたいだ…取って来るから待っててくれ」

「ええ。行ってらっしゃい」

ゲイルは、殿下に聞こえる様に言いながらヒロインを確認しに行った…

クロード達が騎士団から戻って来るのに1週間かかる筈だから、魅了に掛かっていたとして…どれくらい解けているかしらね…

「ヴェルド殿下の側近2人と、クィンザ殿下の御友人…その女生徒は随分と殿下方に近しい者達と親しくしているのですねぇ」

「何か意図いとがあると思うか?」

私はお茶をひと口飲んでカップを置く。

「分かりませんが…いくら学園内で身分は関係ないとは言っても、殿下方は別ですわ。 ましてやその殿下方に近しい者へ近付くならば、警戒はしておいた方が宜しいと思いますわ」

「シアの言う通りだね。僕等はその為にこのピアスをしているのだから」


隣国の第2王子はどうなっているのかしら…?

「トリスタン様もそうだとして…3人だけですの? その令嬢が近付いているのは」

私の問い掛けに、お兄様が微妙な顔をしていますわ…

「それがね…僕の友人とも交流があるらしいんだ」

「まあ! お兄様の!?」

まさか…

「隣国の第2王子なんだけどね…」

「それは…」

やはり隣国の第2王子…
というか…お兄様と友人関係でしたのね…知らなかったわ。

でもそうなると…殿下方やお兄様は、私の魔力で作った指輪があるから、余程強力でない限り魅了には掛かりにくい。

あとの3人も疾風はやての影響があるから、完全に魅了に落ちるには時間が掛かる筈よね…


「隣国のとはいえ、第2王子が市井で育った令嬢と懇意にするのはどうかと思うけどね…」

「そうだな…確かまだ男爵に引き取られて二月ふたつきほどだったな」

「…この学園では、確かに身分は平等ですわ。 ですが、聞けばその御令嬢は貴族になってまだ日が浅い…礼儀をわきまえた子息令嬢の平等と、その御令嬢のかかげる平等は全く異なる物だと思いますわ」

「フェリシアの言う通りだ…ジルベール、忠告はしたのだろう?」

「しましたが…僕もずっと付いている訳ではありませんから…」

ヒロインが本当に魅了魔法を使っているなら、他人の忠告など意味が無いでしょうね…しかも、疾風はやての影響を全く受けていない第2王子では…


『フェリシア! ヒロインらしき女子おなごとトリスタンが一緒に居るのを見てスザンヌがキレたぞ!』


しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」 そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。 「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」 「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」 「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」 「は?」 さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。 荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります! 第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。 表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

侯爵令嬢の置き土産

ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。 「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

他には何もいらない

ウリ坊
恋愛
   乙女ゲームの世界に転生した。  悪役令嬢のナタリア。    攻略対象のロイスに、昔から淡い恋心を抱いている。  ある日前世の記憶が戻り、自分が転生して悪役令嬢だと知り、ショックを受ける。    だが、記憶が戻っても、ロイスに対する恋心を捨てきれなかった。

【完結】ヒロインであれば何をしても許される……わけがないでしょう

凛 伊緒
恋愛
シルディンス王国・王太子の婚約者である侯爵令嬢のセスアは、伯爵令嬢であるルーシアにとある名で呼ばれていた。 『悪役令嬢』……と。 セスアの婚約者である王太子に擦り寄り、次々と無礼を働くルーシア。 セスアはついに我慢出来なくなり、反撃に出る。 しかし予想外の事態が…? ざまぁ&ハッピーエンドです。

処理中です...