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王立学園入学式

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今日は学園の入学式です。


(とうとうこの日が来たのね…)

私達は身支度を整えて、朝食をりに食堂へ来た。


「おはよう、シア、ゲイル」

「「おはようございます」、お兄様」

ゲイルはあいさつをすると、さっさと席に着いた。

「フェリシア、おはよう。制服…似合ってるよ」

「おはようございます、お父様。学園が制服で良かったですわ」

「おはよう、フェリシア。ドレスで通うと大変ですものね」

「フェリシアとゲイル君は、食事のあと書斎へ来なさい」

「「分かりました」」




朝食が終わり、私達は書斎へやって来た。

「さて……今朝、早馬が来たのだが…3日前に、学園へ入学する女生徒が1人増えたらしい」

「!? まさか…」

「アリエル・インジャスタ男爵令嬢だそうだ」

「マクシム殿が以前調べた時は、該当する令嬢は居なかったと…」

「1ヶ月前にインジャスタ男爵が庶子を引き取ったらしい」

「入学直前になって分かるなんて…」

「だが、1ヶ月前ではほとんど平民と変わらないぞ」

「学園側もそれを理由に渋っていたらしいが…貴族になったのだから通う権利は有ると、押し切られたようだ」

転生者わたしというイレギュラーな存在が現れたから、ヒロインの設定も変わったのかも知れないわね…」

「入学が許可されたという事は、当然魔力を持っているのか…」

「魅了の魔力じゃなければいいのだけど…」

「はぁ、分かった。 最大で警戒しておこう」



          ◇



お父様と話した後…私はお兄様、ゲイルと3人で馬車に乗り学園へ向かっています。


「シア、父上と何を話してたんだい?」

あら…何て答えようかしら……ん~。これしか無いわねぇ。

「魔力の事ですわ、お兄様…」

「あぁ、そうだね。いくら魔道具で抑えたと言っても、まだ多いからなぁ」

「ええ。 王族のヴェルド殿下でも4千ですもの…」

「だが、同じ効果の魔道具を着けると、魔力が安定しなくなるからな」

「まぁ学園で魔力の数値化はしないからいいけど、指輪は外さないように気を付けて…」

「分かりましたわ」

そうして3人で話している内に、学園の馬車止まりに着いた様です。


ちょっと驚きましたわ……

正面玄関に殿下方がおられますが…やはり私を待って居たのでしょうか。


「よく来たな、フェリシア」

「待ってましたよ、フェリシア」

「……おはようございます。ヴェルド殿下、クィンザ殿下」

「「おはよう」」

「では行くぞ。 講堂はこっちだ」

ボソッ「案内なら僕がやるのに…」

後ろでお兄様がボソボソ言ってますわ…

講堂に入ると、席までヴェルド殿下が連れて行ってくれましたが。

「……何故そのまま隣に座るのですか!?」

「兄様は自分の席へ行ってください」

「チッ……どこでも「「良い訳ありません」」…分かった…」

私とクィンザ殿下に言われてすごすごと2年の席へ行きましたわ。

『くっくっ……なつかれてるな』

(はぁ…無責任な事言わないでよ…)



そして学園長の挨拶に始まり、粛々と入学式が進んで行きました。

爵位毎に席が並んでいる筈だから、ヒロインの席は後ろの方ね…

確か、他のゲームの様なピンク色の奇抜な髪じゃ無かったと思うから…
これと言って特徴が無いのよねぇ。

(どうやって探そうかしら…)

『例の女生徒か?』

(ええ。 一目でわかるような特徴が無いのよね…)

ゲームだと、攻略対象の2人とヒロインと私は同じSクラスだったけど。
1ヶ月前に男爵家へ引き取られたなら…無理じゃない?
ヒロインを名指しで誰かに聞く訳にもいかないし…

(向こうから関わって来るのを待つしか無いかなぁ…)




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