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今更だわ…

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翌年、私は10歳になりました。
少しは背も伸びたんですよ…少しは…

そして、お兄様にも婚約者が出来ましたの!
キャロライン・グリゲイル侯爵令嬢です。 私と同い年なのですよ。

もちろんクリスティアナも去年、クロード・ローウェン侯爵子息と婚約。
私はそのクリスティアナの紹介で、ミリアンナ・マーヴェル伯爵令嬢ともお友達になれました。

今日のお茶会で、キャロラインのお友達を紹介して貰うんです。
確かお名前はスザンヌ・ドランダム公爵令嬢ですわ。
皆、同い年で嬉しいなぁ。



「スザンヌ・ドランダムと申します。カストリア家のお茶会に呼んで頂いて、とても嬉しいですわ」

「フェリシア・カストリアです。お会い出来て光栄ですわ。私の事はフェリシアと呼んで下さると嬉しいです」

「では、私の事もスザンヌと呼んで下さいね」

そう言って…にっこり笑った顔が、とても可愛らしい少女でした。

そうして5人でのお茶会を何度かもよおしていたのですが、我が家でやるときは毎回の様に殿下方が来るものだから、他の4人のお屋敷でする様にしていたら……まったく…はぁぁ…

自分達が参加出来ないからと、全員に王宮への招待状が届いたのよ…

その内、ヴェルド殿下は側近候補を2人、クィンザ殿下は御友人を1人連れて参加する様になって、10人程のそこそこ中規模的なお茶会になっている。

男女交えてのお茶会なので、時折お兄様も参加する様になりました。
ゲイルはもちろん、相手をするのが面倒臭いと疾風はやてのままで参加です。
王宮に呼ばれた時だけは、姿を消して付いて来てくれていますが…


そしてクィンザ殿下の御友人、トリスタン・アヴァイン公爵子息とスザンヌ・ドランダム公爵令嬢が婚約。
翌年にはヴェルド殿下のもう1人の側近候補、シルグランド・ケルンスト侯爵子息とミリアンナ・マーヴェル伯爵令嬢が婚約した。

まぁ、これだけ一緒にお茶会で顔を会わせていれば、好き合うのも仕方ない事ではあるなぁ…
殿下方を見ればある程度分かると思いますが、この国は比較的自由恋愛が許されているのです。



更に時は流れて今、私は15歳になりました。

9歳の時に、フェンリルの加護を貰い…陛下とお父様、そして私の3人での契約を交わして以来、安心していたのか…ゲームの事を考えない生活をしていた。

けれども最近、お茶会メンバーの男性陣の顔が段々…あの時映像で見たものに近付いて来てやっと気付いた…
皆、攻略対象者だったのだ…

名前とかはよく覚えていなかったから迂闊うかつだったわ。
あと居ないのは、留学生である隣国の第2王子だけである。



「フェリシア? どうしたんだ?」

「ヴェルド殿下……何でもありませんわ…」

「熱でもあるのでは?」

クィンザ殿下が額に手を当ててくる。

「体調は悪くありませんのよ…今度の魔力検査の事を考えていて…つい」

今日は王宮で3人だけのお茶会です。

お2人は相変わらず優しい…
他の攻略対象者達も私に紳士的だわ…

この人達が、いつかあのゲームの様になってしまうなんて…
やっぱりおかしい…他の方々もそれぞれ婚約者に対して紳士的ですもの。

私はともかく、皆は政略的な婚約関係では無いのだものねぇ…

もしかして、これも今までとは違う所なのかしら…?
攻略対象者の婚約者までは覚えていませんし…


「あの……色々気になりまして、今日はおいとましても宜しいでしょうか?」

「ああ。帰ってゆっくりした方がいい」

「ええ。兄上、今日は僕が送って行きます」

「そうだな、俺はこの後、学園の用事があるから頼む」

「無理を言って申し訳ありません…」

「いや…俺で分かる事なら教えるからな…? 気にむ前に言えよ?」

「はい」

「ではフェリシア。行きましょうか」

「ええ」

私はそのまま、クィンザ殿下に送って頂きました。




屋敷に戻ると、疾風はやてが姿を現して話しかけて来た。

『今日は気もそぞろだったな』

「ええ…久しぶりにゲームの事が気になってしまって…」

『あゝやはりか…もう断頭台へ送られても死なないと思うが…何が気になるのだ?』

「ヴェルド殿下の側近2人と、クィンザ殿下の友人は攻略対象者だった」

『まぁ、驚きはしないな…お前の周りにつどう時点で可能性は高かったし』

「あの優しい人達が、何故人が変わったかの様になるのかしら…」

『考えられるとすれば……魅了魔法か洗脳だな』

「魅了魔法……」

疾風はやてそばに来て寝そべる…
私も座り込んで疾風はやてもたれ掛かる…フカフカで気持ち良い…

「でも、魅了ってそんなに強力なの? 権限も無いのに裁判もしないで処刑してしまう程?」

『恐らく魅了を掛けた上で、言葉巧みに洗脳してしまうのだろう』

(そんな……それじゃあヒロインって、悪役そのものじゃない…)

『ゲームであれば、それで良かったのだろうな…』

「悪役令嬢を断罪して、ヒロインが幸せになるゲームだものね…」

『その後も続くのであれば、幸せかどうか…国が傾くかも知れんな…』

「ええっ!?」

『当然だろう…? 下位貴族の底辺だぞ…男爵位は。 その令嬢が成人してから王妃教育を受けたとしても、身に付く訳が無い』

「そうか……だから吸収しやすい年齢から学ばないといけないんだ」

『まぁ心配するな。 知らない事とは言え、何年も俺と接して来たんだ…易々やすやすと魅了魔法等には掛からんよ』

「そうなの!?」

『お前……俺が神獣だと分かってるか? 全員の近くに居たから、精神系の魔法耐性は上がっている筈だ』

「ちょっと待って…じゃあ、今一番危険なのって…残りの攻略対象者?」

『他にも居るのか!?』



「…隣国の第2王子……」




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