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第二王子サイラス・カイザード ⑧

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翌日、今私は王宮の執務室で仕事をしている。

「殿下、そろそろ休憩なさっては?」

ルシウスが心配そうに声を掛けてきた、流石に休憩無しはダメらしい。

「……そうだな」

「ゲイル…茶を入れてくれ」

ライアンが侍従に指示を出した時、扉をノックする音がした。



「お仕事中に申し訳ありませんわね」

「いや、丁度休憩にしようとしていたから構わない」

フォスティナが此処へ来るのは久々だな……

「昨日の事をお聞きしようと思いまして伺いましたの」

「やはり、その事か」

「ええ、事前の話し合いでは破棄ではなく解消だったと……受け答えが変わりますので咄嗟に言葉が詰まってしまい………昨日、何か御座いましたの?」

フォスティナの提案では、婚約破棄と国外追放を言う筈だったのだが。

何故だか嫌だと思ってしまい、婚約解消と国外追放にしていた。 本当にする訳ではないし、過程は違えど結果は同じだというのにな……

「準備の為にアイリスを控室に呼んだ時にな…」

「何がありましたの?」

「………嗤ったんだ。……これで婚約を破棄して国外追放できますねと言って」

「まぁ…」

「怖気が湧いたよ。 万が一にでも失敗して、強制力から抜け出せなければ、私は……」


フォスティナを永遠に失うことになる―――――


「お前の言う通りアイリスの望む終わりにしなくてはと…」

「そうでしたの…今、彼女は?」

「あぁ、我が国の王族と、知らぬとはいえ隣国の次期皇族を陥れ謀ったのだ。 ライアンの父親が憤慨してな…」

「では騎士団長が直々に?」

フォスティナがそう言ってライアンを見ると遠い目をしていた。

「色々言っているらしいぞ? 自分はこの世界のヒロインだとか、お前の事を悪役令嬢だとか」

「そうですか…」

「そういえば、お前の兄は調査機関に居たのだな、知らなかったぞ」

「あら……お兄様は諜報部門ですわ、潜入や変装も得意なんですのよ」

「そ、そうなのか……」

「ええ、ふふっ…」

「っ!!」


体温が僅かに上がった気がした――――――



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