15 / 79
相澤 克己の現実
しおりを挟む
高校に入ってから周りの環境は大きく変わった。見知った奴等が殆ど居ない事が何よりだった。小中学時代とは違い生徒数もかなり多い。大人しくしていれば目立つ事はない。
校則の緩さが幸いし、周りの奴等もパーマやカラーで色気づいている。その中に交じってしまえば、俺の存在も普通のように思えてくる。
相変わらず、前髪で目元を隠して俯向きがちに他人と視線を合わせない癖は抜けない。高校に入ったからといって、いきなり変われるものでもない。
既に、俺の人生は全てが誤りでしかない。生まれた時から…何もかもが全部間違っているのだから。
……今更、何が変わるというのだ……
……今更、どうしろと言うのだ……
……俺は道を踏み外した……
……そんな事は分かっている……
……本当は気付いている……
……こんな生き方など間違っている……
《俺が望んだ訳じゃない!》
《何もかも全部、周りの奴等のせいだ!》
《俺がこんな風になったのも全部だ!》
「んっ…はあぁ…っ!ああっ…出る…!」
激しく右手を動かして一気に頂点を駆け抜ける。身体の中にあるドロドロしたものを全て吐き出すように、最後の最後まで一滴残らず搾り出す。俺はこの瞬間が最高に好きだ。
「んっ…、うぁ…ぁぁ……」
長い長い余韻を残して喉の奥まで震わせる。尚も右手を動かしながら貪欲に快感を喰らい尽くす。
「ハア…っ、ハアハアハア…」
激しい呼吸を繰り返し、そのまま床にゴロリと寝転び大の字になって目を閉じる。ジットリと汗ばんだ身体から力が抜けてゆく。
鍵をかけた自室の中で全裸になって思いきり自慰行為にふけるのが俺の日課だ。床の上にぶちまけたドロリとした液体を指先ですくい取って確認する。身体の中にある汚れを出した証だ。
気怠さに身を浸して目を閉じる。そして、そのまま暫く眠る。余計な事を考えなくて済むように、嫌なものを全て追い払うように、そうする事で自分自身を慰めている。
俺は男を相手にセックスをする。ターゲットは気に食わないノンケ野郎共だ。どいつもこいつも「自分はまとも」だと思っていやがる。だが、一皮剥けば中身は同じ卑猥で低俗な奴等ばかりだ。
苦悩を知らないお気楽なバカ共の「普通の人生」を破壊して傷付けてやるのが俺の復讐だ。
《お前等の人生にも傷をつけてやる!》
ある時は、善人面して俺に近寄って来た奴を相手にした。
ある時は、真面目な優等生面した奴をまんまと陥れてやった。
ある時は、お気楽で幸せそうな顔した奴をドン底に突き落としてやった。
俺が色目を使って誘えば直ぐにその気になりやがる。男の俺に興奮して勃起してやりたがる。まるで覚えたてのサルのように浅ましい。中には童貞野郎も居た。女と経験がある奴でも俺の身体の虜になる。やりたい盛りの野郎共は興味本位で手を出してくる。相手が女だろうが男だろうが、突っ込んで気持ち良ければそれで良いのだ。
セックスなんてそんなものだ。俺の身体も受け入れる事には慣れている。ノンケ相手のセックスに気持ち良さなど有りはしないが、俺には興奮さえあれば良い。俺の身体にのめり込むバカ共を見下す優越感、最後に無惨に切り棄てる時の達成感、それがあれば充分だ。
そうやって1人ずつ復讐という名の制裁を加えて来た。中学時代は周りに知られる事もなく密かに実行出来た。周りの奴等はガキ共ばかりだったからだ。思春期だけに心のダメージも大きい。そして、自分がしでかした事を誰にも相談出来ずに苦悩する結果となるのだ。
だが、高校生にもなると大人びて見える奴等が多くなった。俺を変に中傷する声も無ければ、余り関心を示して来る事もなかった。そして、俺も独りで居る事に慣れていた。周りを遮断して、俺は独りの世界で息を潜める。
……もう、友達など必要無い……
……信じられるものなど何も無い……
……何もかも全てが偽り……
……俺が自らの手で全て破壊した……
……もう、二度と戻れない……
……過ぎた日々は戻らない……
《復讐しかないだろ!》
《もっと復讐してやる!》
俺は自分に怒りを込める。行き場のない感情を周りにぶつける。傷付いた心など棄ててしまった。過去の俺など必要無い。もう、俺は汚れている。汚れた身体に取り戻せる心などは無いのだ。
そうやって、胸の奥に怒りの炎を燃やし続ける。そうしなければ耐えられないような気がした。
……置き去りにされた俺の心が……
……何処かで泣いているのだろうか……
校則の緩さが幸いし、周りの奴等もパーマやカラーで色気づいている。その中に交じってしまえば、俺の存在も普通のように思えてくる。
相変わらず、前髪で目元を隠して俯向きがちに他人と視線を合わせない癖は抜けない。高校に入ったからといって、いきなり変われるものでもない。
既に、俺の人生は全てが誤りでしかない。生まれた時から…何もかもが全部間違っているのだから。
……今更、何が変わるというのだ……
……今更、どうしろと言うのだ……
……俺は道を踏み外した……
……そんな事は分かっている……
……本当は気付いている……
……こんな生き方など間違っている……
《俺が望んだ訳じゃない!》
《何もかも全部、周りの奴等のせいだ!》
《俺がこんな風になったのも全部だ!》
「んっ…はあぁ…っ!ああっ…出る…!」
激しく右手を動かして一気に頂点を駆け抜ける。身体の中にあるドロドロしたものを全て吐き出すように、最後の最後まで一滴残らず搾り出す。俺はこの瞬間が最高に好きだ。
「んっ…、うぁ…ぁぁ……」
長い長い余韻を残して喉の奥まで震わせる。尚も右手を動かしながら貪欲に快感を喰らい尽くす。
「ハア…っ、ハアハアハア…」
激しい呼吸を繰り返し、そのまま床にゴロリと寝転び大の字になって目を閉じる。ジットリと汗ばんだ身体から力が抜けてゆく。
鍵をかけた自室の中で全裸になって思いきり自慰行為にふけるのが俺の日課だ。床の上にぶちまけたドロリとした液体を指先ですくい取って確認する。身体の中にある汚れを出した証だ。
気怠さに身を浸して目を閉じる。そして、そのまま暫く眠る。余計な事を考えなくて済むように、嫌なものを全て追い払うように、そうする事で自分自身を慰めている。
俺は男を相手にセックスをする。ターゲットは気に食わないノンケ野郎共だ。どいつもこいつも「自分はまとも」だと思っていやがる。だが、一皮剥けば中身は同じ卑猥で低俗な奴等ばかりだ。
苦悩を知らないお気楽なバカ共の「普通の人生」を破壊して傷付けてやるのが俺の復讐だ。
《お前等の人生にも傷をつけてやる!》
ある時は、善人面して俺に近寄って来た奴を相手にした。
ある時は、真面目な優等生面した奴をまんまと陥れてやった。
ある時は、お気楽で幸せそうな顔した奴をドン底に突き落としてやった。
俺が色目を使って誘えば直ぐにその気になりやがる。男の俺に興奮して勃起してやりたがる。まるで覚えたてのサルのように浅ましい。中には童貞野郎も居た。女と経験がある奴でも俺の身体の虜になる。やりたい盛りの野郎共は興味本位で手を出してくる。相手が女だろうが男だろうが、突っ込んで気持ち良ければそれで良いのだ。
セックスなんてそんなものだ。俺の身体も受け入れる事には慣れている。ノンケ相手のセックスに気持ち良さなど有りはしないが、俺には興奮さえあれば良い。俺の身体にのめり込むバカ共を見下す優越感、最後に無惨に切り棄てる時の達成感、それがあれば充分だ。
そうやって1人ずつ復讐という名の制裁を加えて来た。中学時代は周りに知られる事もなく密かに実行出来た。周りの奴等はガキ共ばかりだったからだ。思春期だけに心のダメージも大きい。そして、自分がしでかした事を誰にも相談出来ずに苦悩する結果となるのだ。
だが、高校生にもなると大人びて見える奴等が多くなった。俺を変に中傷する声も無ければ、余り関心を示して来る事もなかった。そして、俺も独りで居る事に慣れていた。周りを遮断して、俺は独りの世界で息を潜める。
……もう、友達など必要無い……
……信じられるものなど何も無い……
……何もかも全てが偽り……
……俺が自らの手で全て破壊した……
……もう、二度と戻れない……
……過ぎた日々は戻らない……
《復讐しかないだろ!》
《もっと復讐してやる!》
俺は自分に怒りを込める。行き場のない感情を周りにぶつける。傷付いた心など棄ててしまった。過去の俺など必要無い。もう、俺は汚れている。汚れた身体に取り戻せる心などは無いのだ。
そうやって、胸の奥に怒りの炎を燃やし続ける。そうしなければ耐えられないような気がした。
……置き去りにされた俺の心が……
……何処かで泣いているのだろうか……
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる