俺達の行方【番外編】

穂津見 乱

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暗闇の中で…

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真っ暗な闇が俺達を包み隠す。まるで、この世界に2人だけのように…。

弘人の温もりが俺を包み込む。頭も心も身体も熱く解ける。何度もねだる俺に応えてくれる弘人の口唇が優しく甘く溶けてゆく。冷え込む夜の闇の中、身体は熱く火照ってゆく。

「弘人、ありがとな。」

その胸に顔を埋めて小さく言う俺を、強く優しく抱きしめてくれる弘人の身体。その指先が髪を撫でてくれる。俺は甘えるように身を委ねる。

「弘人…、弘人…、弘人…。」

何度もすり寄って小さく名を呼ぶ。その度に、俺の頭の天辺にチュッと軽いキスが降ってくる。やがてそれは、額に、目尻に、鼻の頭に、頬に…軽く優しく舞い降りてくる。

「弘人、もっと…。」

俺はまたキスをせがむ。弘人がクスッと小さく笑って、その口唇が応えてくれる。髪の毛を撫でながら優しくキスをしてくれる。

《弘人…、嬉しい。幸せ…》

俺の心がますます満たされてゆく。

髪の毛までもが性感帯のようそビリビリ感じてしまうほど、俺は弘人にゾッコンだ。こんな風にキスをされたら一溜りもないだろう。案の定、それがダイレクトに下半身にきた。ウズウズとぐずっていた股間が一気に勃起する。慌てて少し腰を引く。

《うわっ!?こんな時に勃つなよ!バカ!》

自分の股間に向かって心の中で叱咤する。勝手に発情した股間が情けなくて恥ずかしい。何度も抱きしめた弘人の身体、俺の身体はその温もりを覚えている。安心しきった俺の失態だ。

《クソッ!俺はバカかよ!マジ情けねぇ…。こんな状況で勃つなんて…最悪だろ!》

「剛?」

問いかけるような弘人の声。俺は恥ずかしくなって俯向いた。

「んっ…、ああっ…っ!」

いきなり弘人の手に股間を掴まれて腰がビクンと跳ねた。真っ暗な闇の中でその感覚だけが脳に伝わる。もの凄く感じてしまい思わず声が出てしまった。恥ずかしさに全身がカーッと熱くなる。

「あ…、悪い…、弘人…ごめん、俺…」

勃起したそこをズボンの上から握られて、焦った俺はしどろもどろで取り乱してしまう。弘人の手から逃れようと腰を捩る。

「剛、動くなよ。」

弘人の優しい声。

「あ、いや…でも……っん、あぁ…っ!」

戸惑いながら言葉に詰まる俺、股間が更に刺激を感じて声が漏れる。思わず弘人の身体にしがみつく。

「あ…っ、ぁあ……、弘…人…。」

熱い吐息と小さな喘ぎが口唇を震わせる。俺は甘くて深い溜め息を吐く。

「剛、ちょっと…脚、開いて。」

闇の中で弘人の身体がモゾリと動く。その膝が俺の太腿の間に割って入ってきた。俺は大人しく股を軽く開く。心臓がドキドキする。目を閉じて弘人に身を任せる。

ベルトを外す音、ファスナーが下ろされる音、窮屈だった股間が解放される感覚に思わず身体の力が抜ける。

「ハァ…ァァ……」

俺は熱い溜め息を漏らす。

「ぅ……、ん…っ……ぁぁ……」

弘人の手がズボンの中に侵入してくる。トランクスの上からなぞられる指先の感覚に腰が小さく悶えてしまう。俺の口から遠慮がちに漏れる小さな声。

ズボンの中で少し動きにくそうな弘人の手、グイッと掴まれて指先がなぞり上げてくる。その感覚に身体の奥が熱く疼く。

「ぁああ……っ!」

声が漏れる。もっと掴んで欲しくてグッと押し付ける。弘人の両手がズボンにかかる。

「剛、ちょっと腰上げろ。」

言われるままに腰を少し浮かせると、下着ごとズボンが尻の半分まで引き下ろされた。解放された俺のモノが一気に反り勃つ。

公園のベンチの上で剥き出しになる。普通では有り得ない事だが、真っ暗な闇に包み隠されて恥ずかしさはない。逆に、期待と興奮でより熱く激しく脈打つ。

「弘人…。」

俺の声が低く甘く響いて闇に溶けてゆく。
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