アスパラポエム

ワオーン

1 高台でポーズを決める像は　いつも　独りで英雄気取り
沢山の人に　描かれて　写真の中　囲われている　誰からも名前を呼ばれるけど　雨の日に傘をさしてくれる人は　いない　像だから濡れても　色が変わるだけだと思われている　乾いたらまた元通り　頬のあとには　気づかない　その夜に　オオカミが隣にきて　きれいな月を見上げていたんだ　眼を逸らすと　ワオーンって遠吠えをあげるから　像は　気になったんだ

☆ワオーンワオーンワオーンワオーン　オオカミ語は　わからない　

ワオーンワオーンワオーンワオーン　

像じゃなければ　

この石化の魔法が解ければ　

ギュッとギュッと抱きしめてあげられるのにな　

２スラム街でゴミを漁るオオカミは　いつも　独りで空腹
沢山の人に　石を投げられて過去の傷　抱えている　誰にも縛られることはないけれど雨の日に帰る家はない　オオカミだから濡れても　野生だから生きていけると思われている　乾いたらまた元通り　頬のあとには　気づかない　その夜に　月に照らされる像を見つけて　寝所を見上げると　人が独り　

いや　かたい像か　

☆ワオーンワオーンワオーンワオーン　これは喰えない　

ワオーンワオーンワオーンワオーン　

像じゃなければ　

この石化の魔法が解ければ　

むちゃくちゃに　喰ってやるのにな　

３月下の高台に　英雄とオオカミ　石化の魔法が解ければと　

星の雨が降る　

☆いたい　いたい　

いっしょに　いたい　

独りよりは　マシさ　

痛い　遺体　

いっしょに　いたい　

ならば　腹の中へおいでよ　

ワオーン　ワオーン　ワオーン　和音