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序章

第零話 Message

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 君がこれを見ている時の私は、どのような人になっているのでしょうね。忘れたくない記憶ばっかりが手からポロポロこぼれて行くのを黙って見ているしかない私は、本当に無力なのだと思い知らされました。今日君が頑張って踏み出した一歩を、私は忘れてしまう。君のことも時々わからなくなる。でも、君を忘れる時もあれば、失って行く記憶の中で鮮明に思い出す時もあるのです。大切に君を抱きしめたこと、泣いてる君の涙がどうしても止まらなかったこと、喧嘩したことを教えてくれたこと、一緒に笑いあったこと、君の寝顔を愛おしく眺めていたこと。無くしてくものが多い割には、まだこの頭も必死に働いてくれているということですね。君を思うと誰にもあげたくないと箱に閉じ込めておきたくもなる。けれど、君は外に飛んで行って好きな世界を見て来てください。忘れっぽい私だけど、お話を聞かせてください。その時だけを楽しみに待っていす。
記憶の間できっと君を思い出します。
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