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第114話:祭壇
しおりを挟むライツと愛那、モランとナチェルの四人が最上階に到着すると、階段を上りきった正面に飾り細工が施されている大きな扉が見えた。
その大き過ぎる扉を見上げた愛那は(え? これどうやって開けるの? 一人じゃ無理じゃない? あれ? ドアの取っ手が無い?)と頭の中で次々と疑問が浮かぶ。
「この扉は魔道具で出来ていて、契約者しか開くことが出来ないんだ」
愛那の手を離したライツが扉へと近づき、右手を突き出し触れる。
すると扉が光を放ち、次の瞬間には扉が消えていた。
「ええっ!?」
驚いた愛那が思わず声を上げる。
(魔道具って、魔法の道具のことだよね。どうやって作られるんだろう?)
「マナ」
差し出されたライツの手に愛那は右手を乗せ、歩き出す。
無くなった扉の奥にはキラキラと輝く祭壇があった。
「ここって・・・・・・」
「神が祀られている場所だ」
(やっぱり)
愛那がグッと力を込め正面を見据えた。
ナチェルに聞いた話では、この世界の神は、創造神の一人だけで名前は特にないらしい。『マナ様のいた世界には、神様に名前がおありになるのですか?』と驚かれたくらいだ。
神を表す記号のような文字が正面中央の壁に刻まれている。
ライツと共に歩み寄りながら、愛那は緊張を気合いでごまかしていた。
(ま、負けないッ! 神様、私はあなたに言いたいことがたくさんあるんだから!)
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