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第107話:兄弟2
しおりを挟むリオルートの目には、愛那がライツに特別な感情を持っているように見えた。
「さすがは運命の恋人同士。恋人のふりも不自然さは感じなかったしな」
からかうのではなく本気でそう思ったのだろう兄の顔を見て、ライツは小さく息を吐いた。
「嫌われてはいないと思います。だが、声が・・・・・・」
「ん?」
「マナの好きな男と俺の声がそっくりだと聞いて、慎重になるべきだと考えました。ただでさえいきなり異世界へ来て帰ることの出来ないと知った彼女は、明るく振る舞っていますが、心の中に不安定な感情を抱えています」
それを聞いたリオルートは顔を曇らせた。
「・・・・・・そうか。伯父上が異世界召喚を実施したと聞いた時は驚いた。この国を救うための決断だったのだろうが、さらに召喚した救世主様に嫌われるような言動をとってしまうとは、庇い立てする言葉も見つからない」
「反省はしていましたよ。おかげでマナをこのルザハーツ領へすんなり連れて来ることも出来た。マナが許すと言うまでは、伯父上とレディルには彼女を会わせないと俺が勝手に決めました」
リオルートがフッと小さく笑う。
「そんなおまえのおかげか、マナは随分とこの世界に協力的だな? 魔物の討伐にもかなり積極的に見えた」
「そうですね。ずいぶんと意欲的で俺も不思議に思いました。マナの境遇を考えれば、この世界に対し非協力になってもおかしくない。だけどそうならなかったのは、ただ単に正義感が強い彼女の性格と、そしてその心根が優しいからだと思いますよ。俺の存在は関係ありません」
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